アルフレッド・ベスター『ゴーレム100

book_Bester_GOLEM_100.png
 22世紀、ニューヨークの成れの果ての巨大都市、富裕層が贅を尽くす一方、都市下層で溢れかえる貧困層では殺人や強盗が常態化している都市ガフで、突如理解不能の超現実的な連続殺人事件が発生した。蟲が生きたままの人間を喰らい、巨大な化け物が現れ、死体が冒涜的に弄ばれる。有能な警察隊長インドゥニですら困惑するような状況だ。一方、都市の上層では、香水製造会社CCC社が、秘蔵っ子の天才科学者ブレイズ・シマの謎の遁走に悩まされていた。そしてシマの精神分析のために呼ばれた最高の精神工学者グレッチェン・ナン。彼ら3人は、やがてそれぞれの成り行きから、連続殺人事件の元凶である存在を追求することになる。鍵は富裕層の有閑蜜蜂レディたちの集会。彼女らが戯れに行った悪魔召還の儀式で、悪魔とは別の何かが生まれ出でたのだ!3人は現実世界から精神世界へと追跡の手を広げ、遂にその存在――「ゴーレム100」と接触する...。

今更ベスターの新作が出るとはつゆとも思ってなかったわたくしですが、出るもんですよベスターの新作。しかもハードカバー(まぁ国書刊行会だからな!)だからどうしようかと思ってたんだけど、ぱらぱらめくってみたら、なんか妙な活力に溢れまくってる文章だったので即購入。いやはや。
 とりあえず冒頭から、相変わらずのヘンな語感と訳者泣かせな台詞回しのベスター節が健在で嬉しい限り。しかも前半はミステリ仕立て...と言えないこともない展開で、実は『虎よ!虎よ!』よりも『分解された男』の超能力捜査ストーリーが好きだったわたくしにはまさにご褒美です。でも今回、他にも増して色々下品だ(笑)。いや褒めてるんだけど。なんか全編に渡って、人間の三大欲求にドライブされた原始的な活力が話の源になってるような感じですね。自分でも何が言いたいのかさっぱりですが、とにかくそんな感じなのです。しかも途中でいきなり絵本になったりしてベスター心底やりたい放題(笑)。最初、いきなり何が起こったのかと思ったぞ。そして、終盤まで何とかゴーレム100を追跡し阻止する話になってたのに、最後の最後で明後日の方向にステップアップして飛んでいってしまう物語。しかも戻ってこないし(笑)。一番不思議なのは、こんだけやりたい放題なのにも関わらず、ちゃんと面白いことだったりする(笑)。これ、ベスター以外だったら、絶対に面白くもなんともない単なる訳分からん物語で終わってたんじゃないかと思うわたくし。ベスターはすごいな...。

 癖はあるけど、たまにはこういうのもいいかもしれないと思ったり思わなかったり。最近毒にも薬にもならないような作品多いし、時々はこういうアクの強めな作品を読むのもオツかもだ。こんなんばっかでも困るけど(笑)。

コメントする

Powered by Movable Type 6.0.1