ジャック・ヨーヴィル『吸血鬼ジュヌヴィエーヴ』

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 『ドラッケンフェルズ』の冒険を乗り越えたジュヌヴィエーヴと劇作家のデドレフ・ジールックは、今はデドレフの劇場のあるアルトドルフで共に暮らしている。デドレフは、ドラッケンフェルズ事件の顛末を演劇化した作品を皮切りに、いまや天才劇作家の名を欲しいままにしていたが、ジュヌヴィエーヴは、彼の作品の傾向が次第に陰惨な傾向を帯びていくことに不安を覚えていた。一方、かつてドラッケンフェルズ城が存在した場所で、ある存在が目覚め、デドレフとジュヌヴィエーヴを狙って動き始めた…。『ドラッケンフェルズ』のその後のデドレフとジュヌヴィエーヴを描く『流血劇』、人里離れた館での怪異『永遠の闇の家』、刺客に仕立てられたジュヌヴィエーヴが、暗殺対象の粗暴な伯爵の元で体験する人間模様『ユニコーンの角』の、ジュヌヴィエーヴに関係する中篇3編を収録。

 この期に及んでまさか出るとは思ってなかった、ジャック・ヨーヴィルことキム・ニューマンの新作。しかも、以前刊行された『ドラッケンフェルズ』の新訳と併せて一気に計3冊同時刊行。『ドラキュラ崩御』からこっち、もう二度とニューマンの作品は拝めないかと思ってたですよ…うううう…よかった…。つうかホント、何で今更(笑)。英語版Wikipediaのニューマンの項を見る限り、2000年代に入ってからは寡作っぽいからなぁ。でも短編集『The Man from the Diogenes Club』とか超読みてェ!ディオゲネス・クラブからの男とか、みんなチャールズ・ボウルガードみたいな素敵ジェントルメンなんだぜきっと!きゃー!きゃー!
 …で、『吸血鬼ジュヌヴィエーヴ』ですが、テイスト的には『ドラッケンフェルズ』のスピンオフっぽい感じ。スピンオフという意味では、もう1冊の『ベルベットビースト』の方がより適当なんですが、この『吸血鬼ジュヌヴィエーヴ』に収録されている作品も、『ドラッケンフェルズ』さえ押さえておけば、それぞれ単品でそれなりに楽しめるし。人気だなぁジュヌヴィエーヴ。されど『流血劇』のラストでえーっとなったヒトは、『永遠の闇の家』の冒頭でもっとえーっとなるでしょう(笑)。ワタシも最初に『永遠の闇の家』を読み始めた時には訳が分かりませんでした。でも最後まで読むと、オチはそれでいいのかと思いつつ(笑)今ではウォーハンマー風不条理サイコホラーとして結構お気に入り。でもやっぱり全体としては『ドラッケンフェルズ』外伝だよなぁ。でもやっぱりニューマンは手堅くて面白いんだよなぁ…。
 何はともあれ、ニューマン好きもそうでないヒトも、興味があるなら是非とも押さえておくべき一品。『ドラッケンフェルズ』読了が前提ですが(笑)。

 ところで、固有名詞の表記が途中で断りもなしに変化するとかマジ勘弁してください。スケドーニが途中から何気なくシェドーニに表記が変わってて、気づくまで鬼のように混乱したでございますですよ。校正はしっかりと!

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