クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』

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 朧な太陽のもと、魔術や降霊術が横行する地球最後の大陸ゾティーク。その大陸を舞台に、死体を食らう神が君臨する街、人体が接ぎ木された奇怪な庭園、死者の帝国を築く降霊術士、魔術で誘惑する妖姫などを題に取った短編17篇を収録。

 ......クラーク・アシュトン・スミスというと、最近手に入れられる作品といえば、もっぱらクトゥルフ神話関係の短編になるかと思うわたくし。しかもワタシの思い出せる限り、『彼方からのもの』以外はほとんど全部ヒューペルボリアのお笑い系というアレっぷり。いや、クトゥルフ抜きでもそれなりの筆致なのに内容はお笑い系。かろうじてマトモなのは『白蛆の襲来』くらい?『アマタウスの遺言』も、首を切っても首を切っても、都度より酷い姿で復活してくる罪人に「またお前か」タグを付けざるを得ないレベルだったという。ヒドい(笑)。だのに今回の『ゾティーク幻妖怪異譚』は正統派ダークファンタジーっぽいじゃないですか。ワタシからすると一体何があったんだCAスミス、と言わざるを得ません。いやそれ逆!

 で、『ゾティーク幻妖怪異譚』なんですが、これはいい。すごく骨太の幻想文学作品でしたですよ。年代的にはラヴクラフトあたりとほぼ同年代であろうに、これだけ上品に死と官能を振りまけるのはすごいな。この年代にはもっと素朴な描写が主流だと思ってたけど、あるところにはあるもんだ。いやワタシが知らなかっただけですけど......。というか、ヒューペルボリア系の話はホントリラックスして書いてたんだなスミス......。あと、この短篇集の収録数もステキですね。しっかりした作品がたっぷり17篇詰まってるおかげで読み応え十分、お腹も(いい意味で)いっぱいに。こういう類の作品が好きなら是非に。うーん、『イルーニュの巨人』とかも探して読んでみるべきか......。

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