『アトリの空と真鍮の月』完了。

 ......いや、実際、かなり期待はしてたのよ?純朴な田舎の世界に、抑え気味だけどツボもしっかり押さえてるラヴクラフトなコズミックホラー風味。『果てしなく青い、この空の下で...』は確実にマイフェイバリットの一つですよ。それの直系の続編ときたら、そりゃあもうワクワクですよ。ドキドキですよ。楽しみにしてたのですよ。してたのですよ!?
 そしてインストールし、一気呵成でプレイし、攻略完了後、ひとりブチ切れるワタシの姿があったのだった。

 誰が
 ダーレスを
 やれと言った!!!

 怪異といえばせいぜいショゴス(っぽいもの)が出てくる程度、といった感じにいい感じに抑え気味だった前作と同じものを期待していたら、今作のクライマックスは旧支配者同士の怪獣大決戦だったでござるの巻。吹き飛ぶ山!暴れまわる旧支配者!そこに召喚される別の旧支配者!眷属もろとも大決戦開始!それは無いよ!君はそんな子じゃなかったはずだ!召喚ゲートが「すごく......オブリビオンの門です......」なビジュアルで涙が止まらないわたくし。しかも今回は旧神に相当する存在まで言及される始末。ダーレス化も止まりません!つうか、この作品の旧支配者、シナリオによっては普通に人間の言葉で喋ったりするし。あのダーレス先生だってそこまではしなかったぞ!ヒロインも見ると狂気に陥るGR流体人間とか、歩く旧神の五芒星みたいなのとか人外度マキシマム。俺のこの原神話的リビドーはどこにぶつけりゃいいんだよ!

■突発よいこのコズミックホラー講座:H・P・ラヴクラフトとオーガスト・ダーレス
 H・P・ラヴクラフトは1920年代アメリカのパルプ雑誌でぶいぶい言わせてた嶋田久作似のホラー作家。彼は『クトゥルーの呼び声』『ダニッチの怪』から『狂気の山脈にて』『時間からの影』などの作品で、太古の超越的な存在がいつか人類に取って代わる、といった設定の独自の神話体系の基礎を築いた。宇宙的恐怖と称される独特のテイストは非常に病んだ魅力を放っていたのだが、フォロワーにオーガスト・ダーレスがいたのが運の尽き。ダーレスは、今までの神話体系の神性を旧支配者とする一方、善なる神々・旧神という概念を導入して、一気に善悪二元論テイスト全開。おかげでエンタテイメント性は増して、今日に至るまでのクトゥルフ神話の隆盛があるわけですが、一方で、本家本元のラヴクラフト作品にあった、救いのない趣深さが綺麗さっぱり吹っ飛んでしまったため、ラヴクラフト作品及びその設定を「原神話」と呼んで、ダーレス以降のクトゥルフ神話と区別したりもします。なお念のため付け加えておくと、『果てしなく青い、この空の下で...』や本作は、あくまでクトゥルフ神話「風味」であって、神話体系と直接の関係はありませんです。
 舞台の閉鎖的な田舎も、ビジュアル的にはそんなに閉鎖された雰囲気もなく「ああ、今作は片田舎程度の雰囲気で行くのね」とか思ってたら、秋には村人が一揆を起こして堂島兄を天誅とかするし、冬になったら村人同士が殺し合うバトルロワイヤルが発生したりと、ビジュアルと地の文とのアンバランスさがたまりません。エロはエロで、半分くらいは色気もムードもへったくれもないシチュエーションで、興奮すべきなのか笑うべきなのか困ってしまってへなへなです。「先輩!セックスしましょう!」。というか、担任と義母が乱暴されてるその横で、突如ヒロインが発情したのでそのままなし崩し的にうふんあはん、とかもはや理解の域を超えてます。前作から八車文乃が再登場したものの、6年前から姿形が変わっていない件は「6年前から成長が止まっているの」の一言で流され以後ノーフォロー。ラストに至っては、こんなことは言いたくないけどちんぷんかんぷんとしか言いようがない結末でもうどうしようかと。読者の想像に任せるというと聞こえはいいけどいくらなんでも説明不足すぎだ(笑)!

 ワタシの中では、早くも2010年度の「どうしてこうなった」大賞の最有力候補。いや、単品で見たらそんなに悪くない気もするんだけど......きゅう。

コメント(1)

Okawa@風の十二方位 :

ですよねえ!

純朴な世界に忍び寄る狂気
仄かに香るクトゥルー神の影
そしてセピアのかかったあの絵がら

それが前作の良さだったのに

怪獣大決戦
水枕ダッチワイフ
頭のねじが2、3本ぶっ飛んだスポコン娘
発情したアヤナミレイ

僕の好きだった南アルプスの世界はどこに...

でも月乃と文乃は可愛かったような気が(笑)

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