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秋山完 の作品 『リバティ・ランドの鐘』 『ペリペティアの福音』 『ラストリーフの伝説』 『ファイアストーム −火の星の花嫁−』 『天象儀の星』 |
『ペリペティアの福音』(聖墓編・聖誕編・聖還編) 銀河最大の葬祭社団、ヨミ・クーリエ社の新米葬祭司補ティックは、宇宙会戦で犠牲になった人々の遺灰を散灰するために、銀河のゴミ捨て場の異名を持つ惑星ペリペティアへと向かっていた。しかし、ペリペティアについたティックに、枢機卿から驚愕の命令書が届く。ペリペティアに歴史上の大偉人・フォークト大帝の墳墓が発見された、ついては最高大司祭の代理として、ティックがフォークト大帝の葬儀を執り行えと…。フォークト大帝は、かつて銀河に<大いなる共生>と呼ばれる大統一時代をもたらした偉大な人物。その葬儀だけでも全銀河規模の大イベントだ。その重責が、温和でお人好しだけが取り得のティックに降りかかってきたのだ。 さらに、ペリペティアで、フォークト大帝の正当な帝位継承権を持つ少女、ファンランが発見されたことで、事態は銀河全体を巻き込んだパワーゲームの様相を呈し始める。回廊星域に属する四十九王国や、銀河の中心に位置する<連邦>が、帝位の威光を狙って動き始める。ティックの、宇宙の運命は…。 秋山完の描く物語の中でも中心的な位置を占めるペリペティア事件の顛末を描写した作品。ボリュームもたっぷりで読み応えアリ。話は、急遽大司教代理としてフォークト大帝の葬儀を執り行うことになってしまったティックと、ヨミ・クーリエ社からティックの補佐として派遣された尼僧のキャル、それに帝位継承者の少女ファンランを中心に、惑星ペリペティアそのものの謎をからめながら展開していく…んだけど、ぶっちゃけた話、ティックがらみの物語はけっこうどうでもいいです(笑)。いや、もちろん出来が悪いわけでは断じてないけど、このシリーズ、下巻でいきなり本筋とは別に傍流のエピソードが追加され、しかも本筋のティック達とは関係ないその傍流のエピソードが本筋を完全に喰ってるという、普通の作品だったらけっこう困ったちゃんな構成上の問題を抱えているのだった。むむぅ。 でも、それでもワタシがこの作品をイチオシするのは、その傍流だったはずのエピソードが猛烈に面白いから。ワタシ内では、ティック達のエピソードはまとめてアウトオブ眼中、上巻中巻がまとめて下巻のプロローグということになってます(笑)。というわけで、俺内ペリペティアの福音はこんな話になってマス…。 女帝ファンランの元に集った四十九王国の艦隊は、昨日までの対立が嘘のように連合し、またたくまに強大な大帝艦隊と化してしまった。彼らの牙の矛先は、列席しなかった残りの3国家…トランクィル廃帝政体、カレリア共和国、フリースラント市民共同体に向けられる。回廊星域に訪れる、誰も望んでいないはずの悲惨な星間戦争の危機。 しかしトランクィル廃帝政体は屈しない。敵はペリペティア軌道上に集結した大帝艦隊3万隻。一刻を争う状況下、満足な戦力を集められないトランクィル廃帝政体の最後の望みは…奇襲による一点突破。狙うは大帝艦隊の頂点、女帝ファンランの首! 決死の作戦行動が開始される。トランクィル星海艦隊を指揮するのは、かつて義賊として名を馳せ、命がけの救出劇「ヴァルキノの誇り」で回復不可能な放射線障害を負いながら、今もなお戦う船乗り、心優しきケダモノ、ケルゼン・フレーヴァング…! 下巻の冒頭、逆壊変爆弾の実験場にされてしまったコロニーの住人を命がけで救おうとする人々のエピソード「ヴァルキノの誇り」でいきなり泣きそうになるわたくし。今までの話とは全然関係ないエピソードなのに(笑)。そしてティック達がペリペティアで頑張ったりラリったり(笑)してる一方、ケルゼンの指揮のもと、トランクィル星海艦隊が組織されペリペティアに向かうまでの展開は文句無しに燃え燃え。そしてとどめがクライマックス。今まさに奇襲をかけようとしているトランクィル星海艦隊にもたらされた驚愕の情報。奇襲作戦の行く末は…。このクライマックスの展開は、『サターン・デッドヒート』の土星の遺物回収ミッションと並ぶ、SF史上屈指の名エピソードとしてワタシの胸に強く刻まれてますです。ペリペティア上でティック達が起こした神がかり的な奇跡よりも、ただ一人の女の子が起こした、人の力による奇跡のほうが、何倍も胸に迫るぞ…。 結局のところこの物語は、ペリペティア事件という大事件に巻き込まれた、ごく普通の人たちが、いかにしてそれを受け止め、その中をどう生きたか、という物語。先に触れたとおり、構成には若干問題がなくはないけどどうせいつものことだし(笑)、物語は良く出来ているのでノープロブレム。おすすめです。 あ、あと、固有名詞とかに古今東西のSF作品のパロディが時折入ってますが笑ってすませてあげましょう。「古代に波動砲」は笑ったけど(笑)。 |
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