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天象儀の星
 
秋山完
『天象儀の星』
ソノラマ文庫902
ISBN4-257-76902-5
533円

秋山完
の作品

『リバティ・ランドの鐘』
『ペリペティアの福音』
『ラストリーフの伝説』
『ファイアストーム −火の星の花嫁−』
『天象儀の星』


『天象儀の星』

 『天象儀の星』は、『ペリペティアの福音』3部作や『ファイアストーム』などと同一の世界観に属する短編を収録した短編集。表題作『天象儀の星』の他、電磁波を「見る」ことのできる人々の暮らす街を描いた『まじりけのない光』、前宇宙時代の名匠の作品を追う贋作画家が出会った奇妙な事件『ミューズの額縁』、お菓子で知識伝達を行うふしぎな世界を舞台とした童話風の作品『王女さまの砂糖菓子』に、光子で構成された峡谷で執り行われる秘祭の顛末を描いた書き下ろし作品『光響祭』の、計5作が収録されている。

 この短編集の面白さの一つは、いかにもSF、といった道具立てと、時には幻想的ですらあるおとぎ話的な雰囲気が仲良く同居していること。物語の舞台となるのは、電磁波による極彩色の広告で埋め尽くされたメルティング・シティや、光子で構成され、ヒッグス粒子で質量を与えられた惑星カレリアのありえざる峡谷。けれど、そこで繰り広げられるのは、難しい謎解きでもありがちな大冒険でもなく、普通の人々が織り成す、少し優しくて、さわやかで、時にはちょっと残酷な、そんな物語。ある意味アンバランスだけれど、独特の味わいがある。
 またこの作品は、秋山完の作品を追いかけている人にとっては、今までの作品に出てきた要素を、違った側面から見ることができるという点でもおいしい。例えば『まじりけのない光』では、『ファイアストーム』で描かれていた大規模な太陽フレアが重要な要素となっているし、『光響祭』では、秋山完の作品世界で何度も言及される、ある現象の正体らしきものが明かされる。懐かしの人物が一人出てきて、存分に妖しい魅力を振り撒いてるし。

 今まで長編中心だったけれど、短編集でも作者の持ち味は健在。秋山完の作品が好きなら押さえておくべし。



 …以上が、bk1の識者書評に寄稿した文章。誤解を恐れずぶっちゃけて言えば、秋山完ファン向けの作品ですな(笑)。だってアキヤマスキーのわたくしとしては、作者プロフィールに書いてある秋山完のデビュー作品『まじりけのない光』『天象儀の星』『王女さまの砂糖菓子』が収録されてて、巻末には秋山完世界の年表まで載ってて、そこにまだ見ぬ発表予定のタイトルがぼこぼこ並んでたら買うしかないって(笑)。
 しかし『ファイアストーム』とか『光響祭』とかの最近の作品を見ると、秋山完は、ハードSFと見紛うばかりの道具立てと、童話かおとぎ話のようなストーリー展開の、いわば「ハードおとぎ話」とでもいった感じの独特の作風を築きつつあると思いましたです。でもだからといって一見さんお断りになってないのはさすがだし、そもそも、わたしゃその方向は大歓迎ッス(笑)。

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