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ゲーム・プレイヤー
 
イアン・M・バンクス
『ゲーム・プレイヤー』
朝倉久志 訳
角川文庫ハ-20-1
ISBN4-04-288601-9
895円

イアン・バンクス
の作品

『蜂工場』
『ゲーム・プレイヤー』


『ゲーム・プレイヤー』

 高度な宇宙文明圏<カルチャー>。人類とAIとが共存し、死ぬことも病気になることもない世界である。ジュルノー・モラット・グルケーは、そんな<カルチャー>文化圏の中でも、およそあらゆるゲームに精通した最高のゲーム・プレイヤーだ。そんな彼のもとに、<カルチャー>の部局の一つである<コンタクト>からの接触があった。<カルチャー>とは異なる文明圏、アザド帝国で行われる究極のゲームに参加してみないかというのだ。アザド帝国では、帝国全体がそのゲームを中心に動いているらしい。グルケーは迷うが、さる事情から<コンタクト>の依頼を引き受けなければならない立場に追い込まれる。旅立つグルケー。行き先のアザド帝国で待ち受けるのは、グルケーすら経験したことのない複雑精緻極まりないゲーム…。

 「上のあらすじ、松本零士の表紙絵と全然関係ないやんけ」と思ったアナタ、アナタは正しい。この本には、別にハーロックのコスプレした人も主人公の横にかしずく美女もおりませんです。つまりは本の内容を全く反映していない表紙絵というわけで(笑)。これは角川が悪いのか松本零士が悪いのか…むう。
 だが中味は本物。いやー久々に、いかにもSFらしいSF読んだわい。宇宙規模で広がる人類の版図、高度だけどどこかやぼったい感じのする(笑)ガジェット群、異質感を存分に感じさせる異文化…なんつーか、SFって聞いたときに「これだ!」と思い浮かぶイメージそのままで嬉しくなってきますですね。ワタシだけですか。
 しかししかーし、それは別にこの本がただのSFステロタイプという意味ではないぞ。この本の最大の特徴は、その巧みなストーリーテリング。設定だけなら割と地味めな話なのに、読んでる間はちっとも飽きさせないのだ。いろいろなガジェットや、アザド帝国の文明の解説や描写も楽しいし、何より、中盤以降の「ゲーム」の描写がいい。異質な文明の異質なゲームに身を賭して挑んでいるような緊張感や、技量の壁を突破した時の快感がよく描けてるし、ゲームに熟達しているはずのアザドのプレイヤーを、新参者のエイリアンたるグルケーが打ち倒していくさまは、さながら無敵の戦士が多数の敵をバタバタなぎ倒していくかのようなカッコよさ。最後は文明と文明のぶつかり合いにまで昇華するアザドのゲーム、まさにタイトルに相応しいデス。

 そんなわけで、『蜂工場』のようなギャフンオチが隠れてるわけではないけど(笑)、最近読んだSFの中では出色の出来のよさと面白さを兼ね備えてる逸品。オススメ!

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