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ふたりジャネット
 
テリー・ビッスン
『ふたりジャネット』
中村融 編訳
奇想コレクション 河出書房新社
ISBN4-309-62183-X
1900円

テリー・ビッスン
の作品

『ふたりジャネット』


『ふたりジャネット』

 SF界きっての短編の名手と呼ばれている(らしい)テリー・ビッスンの短編集。ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作『熊が火を発見する』、ATMをネタにしたばかバナシ『アンを押してください』、時間旅行ユーモアロマンス『未来から来たふたり組』、ひょっこりひょうたん島と化した英国を舞台とした渋い一品『英国航行中』、表題作『ふたりジャネット』、臨死体験の世界を探索する科学者と盲目の画家の物語『冥界飛行士』、《万能中国人ウィルスン・ウー》シリーズ『穴のなかの穴』、『宇宙のはずれ』、『時間どおりに教会へ』…の、全9編を収録。

 何の気なしに手にとってはみたものの、なんか各界で賞を総なめ状態の『熊が火を発見する』とか、表題作の『ふたりジャネット』とかが、あんまり(正直言うと、全然(笑))ピンとこなかったわたくし。だから最初はハズレ品を引いてしまったかと思ったさ。でも『英国航行中』あたりから面白くなってきたので読み続けるわたくし。アメリカの姪を気にかけつつも孤独に暮らす年老いた男を載せて、航行する英国が向かう先は…。ちょっとほろ苦い爽やさの雰囲気漂う佳作。で、やっぱり『冥界飛行士』を気に入るわたくし。この短編集にしてはダークで、一番幻想的な作品かも。
 でも、基本的にばかバナシ好きなので、この短編集で一番気に入ったのは、《万能中国人ウィルスン・ウー》シリーズ。何か謎に行き当たるごとに、がーっと意味不明な方程式をずらずら書いて「この現象はこの式の示すとおりこういうことなんだよ!」的な説明をして、周囲の人間をおいてきぼりにしたまま突っ走るウィルスン・ウーが愛らしすぎです(笑)。話自体は本当にバカ話としか形容しようのないもので、自然にどこでもドアが発生してしまったり、宇宙が収縮に転じたり、時間の流れが乱れちゃったりしてるんですが、あくまで主人公がウーに振り回されたりしてるうちに解決してしまっているあたりがとってもステキにばかバナシ。『宇宙のはずれ』での宇宙の乱れの解決法には爆笑してしまいましたですよ。ぴるぴるぴるぴる。ごっ。そんなだけど、ただのドタバタ喜劇に堕していないところも好印象。ある意味、ナントカ博士がすごい技術や知識でがんばる古き良き日のジュブナイルSFの今風アレンジかも。

 表紙がとてもお洒落風味なので逆に見逃しがちですが(笑)、硬軟取り揃えて楽しめる一品。おもろいです。

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