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サイモン・クラーク の作品 『地獄の世紀』 |
『地獄の世紀』 ある日、街中で、一人の少年が、母親に斧で叩き切られ、殺された。それは始まりだった。その日を境に世界は地獄と化した。全世界の大人が、一斉に子供たちを殺し始めたのだ!街といわず家といわず、昨日まで優しかった隣人や、自分自身の親に引き裂かれ殺される子供たち。17歳の少年ニックは、そんな大人たちの手から辛くも逃れ、立場を同じくする子供たちと逃避行を始める。やがて生き残った子供たちは団結して暮らし始めるが、破滅の種は子供たち自身の中にも…。そしてニック自身も、想像だにしない運命に翻弄されることに…。 基本的に犬と子供は殺さない(笑)エンタメ業界にあって、狂った大人が全世界レベルで子供を殺すという壮大にヤバい設定で一筆仕上げてしまった作品。ところがどっこい、キワモノ極まりない舞台設定とは裏腹に、話の中身自体はとてもしっかりとしたもの。狂ってしまった大人は、さながら映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』のゾンビ状態(いや、死んでないけど)なので、そういった類のゾンビ・アポカリプス系の作品として、この物語は極めてよくできているのだ。不気味に迫り無言で殺す大人たちの怖さ、撒き散らされる理不尽な暴力と死、そんな世界を身を寄せ合って辛うじて生きていく生存者(子供)たち、されど生存者同士の中にも芽生える反目と狂気と退廃…などなど、この類の物語に欲しい要素は余さず完備。おまけに、他の作品ではうやむやにされがちな、ゾンビ…もとい、大人たちの大発狂の原因にもきっちりと説明をつけていく律儀っぷり。どのくらい律儀かというと、下巻で延々60ページ以上もその原因について対談してるというくらい律儀。対談しすぎだ(笑)! 話の展開自体も、単なるぶっ殺しシーンがだらだら続くことなく、ラブもあれば、主人公の活躍で皆が希望を取り戻すカタルシスもありの、泣かせるシーンもありのでサービス十分。〈砦〉でのエピソードは泣ける…。それに大人怖いし。この作品のゾン…もとい、大人は、一種の群体知性めいた行動をとるのでコワいです。アイルランドのコミュニティを潰した大人の戦法とか、下巻後半の「橋」とかイヤ過ぎ。うわーん。 久々に一気に読み上げてしまったエンターテイメント良作。良く出来たゾンビ系ノヴェライズか、残虐な15少年漂流記か、といったあんばいのテイスト。とにかく読んで損はないと思うので、この類の話が好きなヒトはGOだ! |
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上巻を |
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