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順列都市(上巻) 順列都市(下巻)
 
グレッグ・イーガン
『順列都市』(上・下)
山岸 真 訳
ハヤカワ文庫SF1289, 1290
ISBN4-15-011289-4, ISBN4-15-011290-8
上巻620円, 下巻620円

グレッグ・イーガン
の作品

『宇宙消失』
『順列都市』
『祈りの海』


『順列都市』

 記憶や人格などをコンピュータの中に転写することができるようになった近未来、金を持つ富豪たちは、自らをそのソフトウェア化された人格<コピー>とし、コンピュータが停止しない限りは死なない存在として第2の生を送っていた。だが、その<コピー>たちに対し、たとえ宇宙が終わろうとも永遠に生き続けられると説く男、ポール・ダラムが現れた。<コピー>を走らせているコンピュータはいつかは壊れる。そうなる前に、<コピー>に対する排斥運動が発生して、彼らを駆逐してしまうかもしれない。そういった問題を全て解決できるというこの男は、一体どのような手段を用意したというのか?
 一方、現実世界の物理的な構造を単純化したシミュレーション世界、オートヴァースにおいて、菌類の突然変異を起こさせることに成功したソフトウェアデザイナー、マリア・デルカは、ポールから接触を受ける。オートヴァースの物理法則に基づいた、生命を発生しうる惑星の設計を依頼されたのだ。地球に存在するハードウェアの全てを合わせた能力をも上回るプログラムの作成を依頼する意図とは…。

 ワタシ的期待のホープ、イーガンの邦訳2作目。そろそろこの人の作風も見えてきましたですね。とにかくアイデア勝負。奇想天外なアイデアをどどーんとぶっておいて、そのアイデアの勢いで話を一気に組み立てていく、といった感じ。それは『宇宙消失』では量子論だし、今回は作中で「塵理論」と呼ばれる並行世界解釈から生まれる、とんでもない不死の実現方法だったりする。ホーガンのハードSFからこの世界に入った身としては、こういうストーリー展開をしてくれる作家さんは大好き。やっぱ、個人的には、アイデアのほうが前に出てくる話は好きだし、最近はハードSFとかでも物語重視の作品が多くて、アイデアで勝負してくれる作品ってのはなかなかないからねぇ。
 だから、この作品を読むときの姿勢としては、ストーリーのほうは、極端な話、あくまでもアイデアを見せていくための道具、と思いながら読むのが良いのではないかと(笑)。実は塵理論とオートヴァースは直接の関係はなかったりするし(オートヴァースが必要な理由。いいんか?それで本当にいいんか(笑)?)、相変わらず最後のほうは駆け足っぽい感じで終わっちゃうし。でも、やっぱり個々のネタが面白いから許せちゃうんだよなぁ。っていうか、許す(笑)。
 ともかく、ワタシ的には、読んだぶん思いっきり楽しませていただいたので満足満足。めくるめくアイデアに幻惑されたい人に。でも、幻惑されすぎないように気をつけたほうがいいかも。塵理論のアイデアが重点的に書かれている下巻の頭のほうを何度も読んだけど、まだ塵理論が理解できたかどうか確信がないッス(笑)。

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