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グレッグ・イーガン の作品 『宇宙消失』 『順列都市』 『祈りの海』 |
『宇宙消失』 2034年、太陽系は、突如として出現した正体不明の暗黒球体<バブル>に包み込まれた。夜空からは星空は消え、人々は恐慌状態に陥る。だが、バブルは消えることはなかった。バブルの由来に関して諸説乱れ飛ぶが決着のつかないまま、34年の月日が流れ…現在、2067年。元警察官で、現在は探偵業のようなものを営んでいるニックは、匿名の依頼人から、病院から消えた障害を持った女性を探し出す依頼を受ける。ニックは調査にとりかかるが、そこには…。 最初、「ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF」なんてことが本の裏のあらすじに書いてあるから、てっきり普通のハードSFなのかと思って読もうとしたら、見事に狙いをはずされるわたくし。序盤の展開、これ、どっからどう見ても、エフィンジャーばりの電脳ハードボイルドにしか見えません(笑)。いや、わたしゃこういうの好きなんですけど。主人公のニックは、のっけから脳内のモッド(脳につける追加モジュールみたいなもんなんだろ、きっと)にインストールされた数々のアプリケーションをばりばりと使ってるし、情景描写はサイバーパンクな感じだし、展開はマトモにハードボイルドだし。個人的に一番ツボだったのは、この世界の警官には装備が必須のモッド、P1からP6のPシリーズモッド。体の生化学反応を調節できたり、感覚処理能力を増強したり、反射能力を高めたり…。ああ、P3モッドさえあれば、ワタシもばりばり受験勉強がはかどったのに(笑)。ボクも鼻腔噴霧器で鼻の中にナノマシンを噴射して脳みそにモッドを作りたいよぅ。イーガン、ケレン味はばっちりだね(笑)! ところがこれが中盤以降になると、突如としてまっとうなハードSFに大変身。極秘開発中のモッド<アンサンブル>とは?バブルとは一体何か?バブルの存在意義が明らかになったときには、久々にそのネタにぞくっと来ましたですよ。こういう作品はホントに久しぶりだなぁ。アンサンブルにまつわるネタも豪快で面白いし、いいなぁ、これ。個人的には、ラストはもっと盛り上げてド派手にかましてくれたら嬉しかったけど(笑)。 ともかく、久々にSFらしいSFという意味でとてもオススメできる作品。そういうのに飢えている人は買いだ! |
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