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サムライ・レンズマン
 
古橋秀之
『サムライ・レンズマン』
徳間デュアル文庫
ISBN4-19-905092-2
733円

古橋秀之
の作品

『サムライ・レンズマン』


『サムライ・レンズマン』

 シン・クザク。日系アルタイル人。束ねられた長い髪。腰には超重物質の刃を焼きこんだ特製の日本刀。彼こそが神秘のアルタイル柔術を極めた盲目の超戦士、《サムライ・レンズマン》なのだ!彼は麻薬組織ズウィルニクの影に、かつて伝説のレンズマン、キムボール・キニスンにより滅ぼされたはずの宇宙海賊ボスコーンの影を感じとる。捜査の過程で知り合ったアルデバランの女鉱夫、キャット・モーガンや、マッコウクジラのレンズマン、ジョナサンらと共に謎を探るクザクが、そして銀河連盟全体が直面する最大の宇宙的危機とは…。キニスンやヴァンバスカーク、ドラゴン・レンズマンのヴォーゼルや、リゲルのレンズマン、トレゴンシーらも危機に立ち向かう。サムライ・レンズマン、クザクの剣がほとばしる!

 SF者なら誰もが知ってるし、SFを読み始めた人でもいつかはその名前にぶち当たるSFの金字塔のひとつがレンズマン・シリーズ。とはいえ、今でこそ創元で復刊が開始されたものの、シリーズ全部のことを考えると、まだまだ入手が容易とは言いがたいし、それゆえ「実は名前しか知らないッス」という人がいても全然不思議じゃないのもまた事実。というか、すいません実はワタシも名前しか知らないッス(笑)。

 そんなわけで、半ば教養のために買ったような(おい)この作品ではありますが…すいませんワタシが悪うございました。これ、めちゃくちゃ面白いです。こういうエンターテイメントを待ってたんだよわしは(笑)!
 この作品の素晴らしいところは、古き良き時代のテイストと今風の文体や構成をいいとこ取りして、ちゃんバランスよく仕上げてるところ。昔の作品は今読むと稚拙なところもあるけれど、それをも上回る、単純明快・勧善懲悪といった、ある意味エンターテイメントの精髄みたいな勢いが生き生きしてるし、そこに今風のメリハリの利いた展開や個々のキャラのけれん味あふれる性格付けが入れば無敵。この作品、そこらへんをかなり上手くやってます。舞台や展開がぼこぼこ広がってくのはレンズマンという舞台設定ならではだし、ストーリーは笑ったり泣いたり手に汗握ったりとまったく飽きさせない。個人的には、ビルとキャットのモーガン姉弟のエピソードが印象に残ってる。何でレンズマンでじーんときてるんだよワタシは!こういうのが現代の作家(つうか、古橋秀之)ならではの描写のきめ細やかさだよなぁ。
 でもそれよりなにより、「サムライ・レンズマン」という題材を決めた時点で勝ってるよなぁ、もう(笑)。レンズマンの世界にサムライがいるってだけでも何かアンバランスで笑えるよぅ。クザクのキャラクターが、いかにも海の向こうの人が考えそうなそれになってるのはもはや確信犯でしょう(キニスンがクザクを試すシーンと、キャットに迫られて切腹しようとするシーンは最高!)。いいなぁ。

 人によってはタイトルで色物めいた印象を受けるかもしれないけど、その実は作者のレンズマンに対する愛があふれまくってる傑作なので、読まないのは絶対に損!レンズマン未経験者でも全然問題なし…というか、むしろこの作品でレンズマンに触れられるのは幸せなのではなかろうか(笑)。きっちりスペオペしながらも誰もが楽しめる愉快痛快エンターテイメント。読め!

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