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マインドスター・ライジング(上巻) マインドスター・ライジング(下巻)
 
ピーター・F・ハミルトン
『マインドスター・ライジング』(上・下)
竹川典子 訳
創元SF文庫719-01, 719-02
ISBN4-488-71901-5, ISBN4-488-71902-3
上巻780円, 下巻780円

ピーター・F・ハミルトン
の作品

『マインドスター・ライジング』


『マインドスター・ライジング』

 地球温暖化による海面上昇と、かつての社会主義政権による産業破壊による傷からようやく立ち直りつつある近未来の英国。グレッグ・メンダルは元・実験的特殊部隊マインドスター隊の大尉である。マインドスター隊は人工の超感覚者により構成される部隊であり、グレッグは他人の感情を読み取ることができる。現在はフリーランスの彼を、英国最大の企業であるイヴェント・ホライズン社が招聘した。軌道上の記録水晶体工場に対する巧妙な破壊工作があり、グレッグの力を借りたいというのだ。グレッグはその超感覚を生かし事件を解決するが、しかしそれはより大きな陰謀の入り口でしかなかったのだ。グレッグは特異な能力を持つ仲間たちと共に、陰謀を企む者たちを追い詰めていく…。

 ビッグネームな人たちの続編か、ブームの尻馬に乗っかったような作品群ばかりが出てくる昨今の海外SF出版事情にあって、久しぶりの聞いたことない作家さんの手になる作品(笑)。話の道具立ては、超能力者にサイバーパンクにギブスン言うところの人格構造体となにやらお約束。メインのお話は、超大企業と他企業との企業間抗争とそれに伴う陰謀といったあんばいで、一見の印象は、総じてパンツァーもデルタもジャックインもない『ハードワイヤード』みたいな感じ。つうか、そんな『ハードワイヤード』に存在意義はあるのか(笑)。
 …と思ったりもしたのだけれど、ストーリーテリング自体が割としっかりしているので、気がつくと結構のめり込んで読んでいたりしたのであった。超能力といってもあくまでも添え物程度で、本筋は情報と推理で一歩一歩黒幕をあぶりだしていくという楽しさにあるわけで。それに、道具仕立てがありきたりといっても、そこにある種のお約束めいた楽しさがあるのも事実だったりするのであった。無駄に壮大な大風呂敷を広げて収拾ついてない話よりも、こういう地に足着いた話のほうがいいわい、というか最近こういう作品少ないので楽しかったです。地味だけど(笑)。

 本国では続編も出ているとのことなので、もし日本でも続刊が出てくれるのならば読んでみたいなぁ。まとまりのいい佳作。地味だけどな(笑)!

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