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ミクロ・パーク
 
ジェイムズ・P・ホーガン
『ミクロ・パーク』
内田昌之 訳
創元SF文庫・663-22
ISBN4-488-66322-2
980円

ジェイムズ・P・ホーガン
の作品

『星を継ぐもの』
『ガニメデの優しい巨人』
『巨人たちの星』
『創世紀機械』
『未来の二つの顔』
『断絶への航海』
『未来からのホットライン』
『造物主の掟』
『プロテウス・オペレーション』
『終局のエニグマ』
『内なる宇宙』
『マルチプレックス・マン』
『時間泥棒』
『インフィニティ・リミテッド』
『量子宇宙干渉機』
『造物主の選択』
『仮想空間計画』
『ミクロ・パーク』
『揺籃の星』


『ミクロ・パーク』

 ニューロダイン社では、社長にして科学者のエリック・ヒーバーの下、微小サイズの環境下で動作する超小型ロボットを開発している。人間が工作員<メック>と呼ばれるマイクロマシンに神経接続して直接操作するのだ。これらマイクロマシンは、元々精密作業に従事することを考えて開発されていたが、エリックの息子ケヴィンと、その友人であるタキは、既にこのマイクロマシンの持つ大きな可能性を見出していた。裏庭でも、工作員の視点からでは、巨大なサファリパークになる…。ニューロダイン社のマイクロマシン事業は順風満帆に思われた。しかし、その裏では、マイクロマシンの生み出しうる膨大な利益を狙った陰謀が進行しつつあった…。

 ホーガンの作品の大きな魅力の一つとして、苦難に直面した登場人物たちが、決して途中で諦めることなくそれらを乗り越え、最後は「正義は栄え、悪は滅びる」(笑)といった感じのスカッと爽快な大団円を迎える、っちゅうのがありますです。ガニメアン3部作の仮想戦争とか、『造物主の掟』のクライマックスとか。どうも世間的には評判がいまいちらしい『プロテウス・オペレーション』ですら、そこらへんのカタルシスがしっかりしていたのでわたしゃ大好きなんですが。あの「作戦完了しました。欠員なし」のシーンでぐっと来てしまうわたくし。
 だんだん話がそれつつあるので元に戻すと、この『ミクロ・パーク』では、最近はご無沙汰だったその辺りの燃え燃え感(笑)が久しぶりに復活していた、と言いたかったわけで。大小さまざまな工作員を小道具に、一難去ってはまた一難、さまざまな手段で困難を乗り越えていく登場人物たちの頑張りは、久々にいい感じのホーガン節でしたよ。特にあのシーン(わかる人だけわかって下さい)のティガーのカッコよさって言ったらもう!いかしてます。最高にいかしてます(笑)。やっぱりホーガンはこうでなくてはイカン。
 ただ手放しで誉めるのかといえばそうでもなくて…燃え燃え感は結構なんだけど、そっちの方に分量割きすぎ(笑)。裏表紙のあらすじなんか「サイズが違えば、物理的特性が変わる。用途が変われば、新たなビジネスの機会が生まれる」なーんて、こっちの想像力(妄想力ともいう)をかきたてることを書いておきながら、その辺りの描写は主に序盤くらいなもんで…。その後はホーガンさん、マイクロマシンなんておいしいネタを惜しげもなく、話を展開させる上でのガジェットにしか使ってません(涙)。いやイカンとは言わないけれど、せっかくのネタなんだから、もうちょっと色々と吹いてほしかったなぁ…贅沢?

 とはいえ、その点を気にしさえしなければ、久方ぶりにホーガンの魅力(の一部)がぶわっと迸っている本作。面白いです。おすすめ。

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