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造物主の選択
 
ジェイムズ・P・ホーガン
『造物主の選択』
小隅 黎 訳
創元SF文庫・663-20
ISBN4-488-66320-6
800円

ジェイムズ・P・ホーガン
の作品

『星を継ぐもの』
『ガニメデの優しい巨人』
『巨人たちの星』
『創世紀機械』
『未来の二つの顔』
『断絶への航海』
『未来からのホットライン』
『造物主の掟』
『プロテウス・オペレーション』
『終局のエニグマ』
『内なる宇宙』
『マルチプレックス・マン』
『時間泥棒』
『インフィニティ・リミテッド』
『量子宇宙干渉機』
『造物主の選択』
『仮想空間計画』
『ミクロ・パーク』
『揺籃の星』


『造物主の選択』

 「造物主の掟」でタロイドの世界を救った、我らがインチキ心霊術師のザンベンドルフとそのチーム。またも不穏な空気が立ち込めはじめたタイタンの元で、彼らが今回相手をするのは…タロイドたちの造物主!?
 ってアンタ、いわゆる「造物主」たる異星人は、「造物主の掟」の冒頭で、さっさとノヴァに巻き込まれて絶滅しちゃってたような気が…一体どうやって今回そいつらを再登場させるのか、と思いきや…そうきたかホーガン!うまく話の整合性をとりやがったな(笑)!やってくれるわい。
 というわけで、ホーガン好きならば誰もが(もちろんワタシも)待ちわびていた、待望の「造物主の掟」の続編。よっしゃあ!

 それにしても「造物主の掟」の続編である。いやー待った待った待ちわびた。わたしゃ、ホーガンの作品でどれが一番好きか、と聞かれたら、ガニメアン3部作よりもまずこっちの方を推してしまう、ってくらいに最高級に「造物主の掟」がお気に入りなのだ。機械生命の誕生を描く傑作の導入部から、ザンベンドルフが人間やタロイドの確執を尻目に八面六臂の大活躍をするその展開、そして怒涛のラストと最高のハッピーエンド。実は「造物主の掟」は、ワタシが初めて自分の金で買ったSFにして、うちの本棚の本の第1号。この本なかりせば、その後もSFを読み続けることはなかっただろうし、ひいては今こうして皆さんに感想を伝えるこんなページを開くこともなかったはず。今でもわたしゃ、心のどこかで「初めて『造物主の掟』を読んだときの心踊る感覚よ、もう一度」なんて思いながら、次から次へとSFを漁っているのかもだ。ホーガン、貴方も罪な人ね(笑)。

 さて、ワタシがホーガンを大好きな理由の一つに、読んでいるうちに自然と顔がニヤニヤしてきてしまうような、爽快かつユーモラスな展開というのがあります。「語り部」としてのホーガンも好きなんすよ、わたしゃ。今作の解説で牧眞司氏が「プロローグもそれはそれで面白かったけど、むしろザンベンドルフが人々を手玉に取るあたりに抱腹絶倒した」といったことを書いてますが、ワタシにもその気持ちはよーく分かるぞ(笑)。ワタシ的には、その方向での傑作って言ったら、あとは「サターン・デッドヒート」くらいのもんだ。だけど、最近のホーガンは、その味がなんだか薄れてきてねぇ…それはそれでいいんだけど、かつてのホーガン作品を愛好するわたくしとしては、ちょっと寂しかったりもして…。
 しかし、杞憂。今回「造物主の選択」の前半を読んでるときは、懐かしい面々が再登場してくるのに喜びながらも、最近のホーガンにありがちな展開の鈍さが感じられて、ちょっち不安になったけど、中盤の、異星人ボリジャンの造形でまず大笑い。ヤだよ、こんな異星人(笑)。そして後半といえば、ついに「あの」ホーガンが戻ってきた!と快哉を叫びたくなるような愉快さ。うっかり教授のワイナーバウムの顛末から始まって、留守電ネタ(これ爆笑!)、相変わらずデコボコぶりを披露してくれるエスケンデロムとフレネレク、「造物主、襲来!」したはいいけど、そっちはそっちでえらいことになっちゃってるし、終いにはザンベンドルフ一世一代の大演技という爆笑の極みシーンが待っている。ザンベンドルフ、あんたは結局また舌先三寸で事を解決しちゃうのね(笑)。ザンベンドルフの面目躍如とはいえ、まさかこういう話になるとは…。いやー、さすがはホーガン。あとはラストがしっかりくくってあれば最高なんだけどねぇ…なんだか、途中打ち切りになった連載もののラストみたいな唐突な終わりかた…。どうせなら、もっとたっぷり余韻をもたせてほしかったなぁ。もしかして、また「もっとすごい何か」がやってきて、ザンベンドルフとその一党にまみえる機会があるってことか(笑)?

 久しぶりに、ワタシの好きなホーガンらしさを堪能できて満足、満足。昔の事を思えば、前半の展開が鈍いとか、思うところもないではないが、調子は上向いてきたっぽいぞ!やっぱり、ホーガンにはこういう話をもっと書いてもらいたいなぁ。

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