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星虫
 
岩本隆雄
『星虫』
ソノラマ文庫907
ISBN4-257-76907-6
571円

岩本隆雄
の作品

『星虫』
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『星虫』

 高校生、氷室友美の夢は、宇宙飛行士になること。幼い頃、種子島でロケットの打ち上げを見てから…そして、ある人に励まされてから、ずっとそうだったのだ。僅かな希望を捨てずに日々トレーニングに励む友美は、ある晩、空から降り注ぐ光の群れに出くわす。次の日の朝、彼女の額には宝石めいた物体が張り付いていた。それが「星虫」。世界中の人間に星虫は取り付いていた。感覚を増強してくれる効果をもたらす星虫に人々は夢中になるが、やがて星虫は人々の額の上で成長を始め…。

 評判に聞いたとおりの良い作品。星虫を巡って、主人公の友美の周りではいろいろな出来事が起きるけれど、なによりも、作品を貫く前向きの姿勢が気持ちいい。読み進めていけば、地球の眺めに友美たちと同じことを思える気すらするし、久しぶりに気持ちのいいラストを読んだ気もする。
 一言で言うと「夢」のおはなし。この作品を名作たらしめているのは、やっぱり登場人物たちが持っている、夢を貫こうとする姿勢、夢を諦めず追いかける姿勢じゃなかろか。例えわずかな希望でも、いつかは自分も宇宙に旅立てると信じて頑張る友美の夢。寝太郎を装いながら待っていた広樹の夢。父親の遺志を継いで宇宙を目指す秋緒の夢。「星虫」自体が夢のメタファーのような気もする。夢は初めのうちはいろいろな希望を見せるけれど、貫くのは難しい。事切れる星虫のように、捨てるのは簡単なものだけれど、最後まで夢を持ちつづけることができれば、星虫のように宇宙に飛び出すこともできるかも。できるとも。
 良い作品です。なんかいつものワタシ調子ではないですが、いいじゃん、たまにはこんなのでも。

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