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鵺姫真話
 
岩本隆雄
『鵺姫真話』
ソノラマ文庫912
ISBN4-257-76912-2
571円

岩本隆雄
の作品

『星虫』
『鵺姫真話』
『イーシャの舟』
『ミドリノツキ』


『鵺姫真話』

 高校生、川崎純は失意のどん底だった。宇宙移民を目指す『進化計画』のパイロット要員になるという夢を、緑内障による視力低下によって打ち砕かれたのだ。故郷の日本へ戻った純は普通の高校生活を始める。そんな時、純は姫森神社の境内で、小学生の男の子が巨大な生首に追いかけられているのを目撃する。耳のあたりからコウモリの羽を生やした生首…それは、姫森神社の言い伝えに聞こえる「鵺姫」そのものでは?そして、純は止める間もなく彼らに巻き込まれ…なんと時代を超えてしまった!生首に追いかけられていた小学生のまさる、途中で出会った泣き虫の中学生ひろしと共に、過去に放り出されてしまった純の未来は…。

 既に昔刊行された作品をリメイクした『星虫』『イーシャの舟』と違い、こちらは世界設定こそ同じなものの完全な新作。とりあえず、『星虫』と世界観がリンクしているのならば買わないわけにはいくまいて。
 さて、今回の『鵺姫真話』は、分類するならタイムトラベルもの。タイムトラベルものの楽しみといえば、なんと言っても、時代が異なるが故の苦境を主人公たちがどう乗り切るかと、過去と現在とのつながりがストーリーにどう生きてくるか。その点、この本は大丈夫。時代劇のような過去に飛ばされても主人公たちはちゃんと頑張るし成長もするしで楽しめるッス。しかし何より、この本で一番面白いのは、序盤中盤でばら撒かれた伏線が、終盤に至って、全てあるべき位置に収束してくその過程でしょう。よくこれだけの伏線を混乱させることなくまとめ上げたなぁ。終盤は「おおっ、そうきたか!」の連続。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんかも、序盤の登場人物のなにげない愚痴までが後の伏線になってて感心したけど、感覚的にはそれに似てるかな。っていうか、まさるアンタ格好良すぎだよ(笑)!男ならこうありたいものでございますですね。
 ジュブナイル的な味わいのタイムトラベルものが好きなら文句無しにおすすめ。読むと吉。

 …ところで、岩本隆雄の作品には、妙に格闘戦能力に秀でたヒトが多いと思うのはワタシだけでしょうか。純も戦国時代の人間をばったばったなぎ倒してるし(おおげさ)、外山大なんて超絶戦闘力だし。まぁカッコいいからいいや(笑)。

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