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ロバート・メイスン の作品 『戦闘マシーン・ソロ』 |
『戦闘マシーン・ソロ』 ソロ。それは米軍が20億ドルかけて開発した、初の人間型戦闘ロボットである。ケブラー繊維とカーボンファイバーを織り込んだ人工皮膚の中に、油圧駆動系と高密度集積回路を詰め込んだ学習するロボット。ソロは戦闘ロボットとして、コスタリカの某所において運用試験中だったが、あるとき、実験の不手際から、ソロは自分が抹消されると思い込み、軍から逃亡を計る。ソロが行き着いた先は地元民の村。ソロが「敵」だと認識していた彼らは、意外にも彼をかくまった…。 平成元年に発行された本なので、今や入手は難しいと思うけど、万が一見かけたら、せめて表紙だけでもとっくり眺めてやってほしいと思うわたくし。この表紙はすごいぞ。最初見たとき、背表紙に「戦闘マシーン」なんて書いてあるから、表紙絵には、一体どんなすごい形をしたメカが描いてあるのかと思いきや…なんだか、つやつやぷうな人間型ロボット(関節の継ぎ目すらほとんどない!人間の筋肉の盛り上がりまで再現!)が、鉄パイプを振りかざしている姿が…。戦闘マシーンなら、もっといろいろ他に装備する兵装ぐらいあるだろうに…何でよりによって鉄パイプ…。この表紙絵、いい味出しすぎ。これ見た瞬間、わたしゃレジにダッシュしました(笑)。 そして、最初の数ページを読んだとき、期待はまったく裏切られていないことを知りました。 「鴎が海風になぶられて啼きながら、赤いタイル敷きのテラスの上空を舞っている。鳥たちはソロがラウンジチェアから投げるパンの小片を狙って、ときおり急降下してはさっと掠めとった」…はい?もしかして、畏れ多くも米軍が20億ドルかけて開発したこの戦闘ロボットは、のほほんとテラスで椅子に座って、鳥にエサをまいているというのかな…? どこが戦闘ロボットやねん(笑)! 実はこの本、一事が万事こんな調子。特に前半部は、村人たちとソロとの心暖まるふれあい交流(爆)がメインなので、戦闘マシーンの「戦闘」の部分は忘れましょう。そもそもソロ自体、内装武器があるわけではないので、馬鹿力で弾丸が通じなくてそのままで通信ができてバッテリーで駆動する「人間」と考えてさしつかえありません(笑)。巻末には、作者による人工知能に対するごたくが並んでいますが、まんま人間風の描写をするための免罪符にしか見えないぞコレ。果てはソロと村人娘とのラブロマンスめいた描写まで出てくるし。ああ〜。 さりとて「戦闘」という部分にこだわらなければ、なかなかほのぼのとして面白いおはなしではありますね。実は結構好きだったりするんですけど、コレ。ただし、アクション描写は、予算がなかったB級SFアクション映画並みなので、あんまり期待しないようにしましょう(笑)。 追記。冗談みたいだけど、これ、ホントに映画化されてますね。マリオ・ヴァン・ピープルズ主演で、タイトルもそのものズバリ『SOLO』…じゃなくて、ビデオ化タイトルは『サイバー・ソルジャー』。捻り皆無!っていうかお前がソロなのかピープルズ(笑)! |
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