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聖なる血
 
トマス・F・モンテルオーニ
『聖なる血』
中原尚哉 訳
扶桑社ミステリー0593
ISBN4-594-02317-7
800円

トマス・F・モンテルオーニ
の作品

『聖なる血』
『破滅の使徒』


『聖なる血』

 若くしてすでに人望厚い優れた神父、ピーター・カレンツァ。彼はある日、強盗に襲われる。死をも覚悟した瞬間、奇蹟が起こった。手から稲妻がほとばしり、強盗を焼き殺してしまったのだ。その直後、ピーターはバチカンに召集された。そこでピーターは衝撃の事実を知ることになる…。
 核心となるネタは第1章であっさり割れてしまうが、まあここでは伏せておこう。言われてみれば、今まで何で誰もやらなかったんだろうと思えさえするネタだが、実際にやっちゃうとなるとこれは結構なインパクト。無神教が幅を利かせる日本はともかく、テレビゲームですら神様を冒涜する可能性のある事象は自主規制してしまう、海の向こうの方々の衝撃やいかに。この設定、気に入った。
 などというものを土台として、話は展開していく。キリスト教に詳しい人なら、巻末の解説に指摘されるまでもなく、ストーリー展開が何をなぞっているかは明白。そんなことには疎い僕としては、前半は「触手(タッチ)」を連想させる。しかし中盤から物語はぐぐっと暗く妖しい方向へとむかっていくのだ。なかなかスリリングな話だ。それだけに、終盤が、どーも駆け足の印象がぬぐえないのが悔やまれる。もう少し紙幅をついやしてでも、最後まで丁寧に書き込めば、僕好みのダークなオカルトスリラーになったのに(笑)。
 しかしそれでも、なかなか怖い思いをさせてくれる作品。これは、最初のアイデアの勝利だな。うん。本当にこの本に書かれているようなことができたら、怖いどころじゃないからね。

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