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群青神殿
 
小川一水
『群青神殿』
ソノラマ文庫968
ISBN4-257-76968-8
552円

小川一水
の作品

『群青神殿』


『群青神殿』

 俊機とこなみは、神鳳鉱産所属の中深海長距離試錐艇・デビルソードのパイロットだ。現在は、海底に眠る新世紀の燃料、メタンハイドレートの試掘を行っている。試掘は順調に進んでいたが、ある日、試掘を成功させ、支援母船に戻った二人を待っていたのは、海上保安庁からの緊急調査の依頼だった。八丈島近傍の海上を航海中だった自動車運搬船が、原因不明のトラブルで消息を絶ったというのだ。デビルソードは調査に向かう。だがしかし、それはただの始まりに過ぎなかった。俊機とこなみ、そして世界中の人々の前で、海が未知の姿を現し始めていた…。

 あえて断言しよう、この作品は傑作であると(笑)!だらーだらーと本読んでる中にも、たまにこういう本があるから本を読むのは止められんやね。小川一水の持ち味っぽい爽快なストーリーに、今回はさらにセンスオブワンダーなネタが合体した結果、まるで『サターン・デッドヒート』のごとき最高さわやかハードSFに極まっていてわたくし絶頂。誰もが楽しく読めるテンポのいいストーリー展開に思わず感心のアイデア、こいつはいいぞ。本当にいいぞ。

 この本で本当わくわくさせられるのは、世界中の海を震撼させるトラブルの正体。いやぁ、このネタは面白ぇ!つうかこういうのは普通「宇宙からやってきた」とか言って逃げるだろ(笑)!それをこの小川一水さんは、ごりごりごりと一から構築していってしまうのですよ。海にはまだまだ人知を超えた神秘を語る余地があったのだなぁ。マジ感心。トラブルの正体が徐々に見えてくるのが、それだけでも文句なしに楽しいし、後半になって、それら個々のアイデアが収束していったり、ストーリーの重要な鍵となっていくのを見るのはもっと楽しい。こういう楽しさを味わわせてくれる作品ってのも久しぶりだなぁ。他の描写のディテールも、ガジェットから政情描写に至るまで、緻密なのにさりげなくて鼻につかないのがよきかなよきかな。6連装エアガンとスキャット最高(笑)。
 しかもそれだけでなく、この作品はおはなし自体もちゃんと面白いところがミソ。登場人物もすげぇ個性が強いのに嫌味がないんだよなぁ。昨今のヤングアダルトには珍しい(笑)男前の俊機、ヤツメウナギがにょろにょろにょ〜、の海が大好きなこなみ(可愛いなぁ)、おおらかという言葉がぴったりの(でもやるときはやる)神鳳鉱産のクルーたち、年の功で若者を導くナイスじじいのアルワハブなどの役者が揃いも揃って、さわやかラブはあるわドンパチングはあるわヘコむわ盛り上がるわの大騒ぎ。最後にダンチェッカーさながらの大演説でずばずば謎の全てを解いていった上に、序盤でさりげなく振ったネタにまできっちり決着つけていくラストは、まるで在りし日のホーガンが蘇ったかのようですよ(笑)!読後感もとびきり爽やか。お見事。

 いや、もうワタシはこの作品を今年度最高の収穫の一つに入れてますですよ?娯楽もハードSFもみーんな詰め込んで楽しめる、誰が読んでも楽しいこと間違いナシの逸品。絶対読め!

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