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999 〜妖女たち〜
 
アル・サラントニオ編
『999 〜妖女たち〜』
白石 朗・梶元靖子 他訳
創元推理文庫584-01
ISBN4-488-58401-2
780円

999
シリーズ

『999 〜妖女たち〜』
『999 〜聖金曜日〜』
『999 〜狂犬の夏〜』


『999 〜妖女たち〜』

 シリーズ第1弾。参加作家は、俺的最高級作家(笑)キム・ニューマン、ジョイス・キャロル・オーツ、この人ホラーも書くのか(「いさましいチビのトースター」のイメージが強かった)トマス・M・ディッシュ、スティーヴン・キング、ニール・ゲイマン、T・E・D・クライン、俺的期待の新星チェット・ウィリアムスン、編者であるアル・サラントニオ、ティム・パワーズ、ベントリー・リトル、エリック・ヴァン・ラストベーダー。各人の詳しい紹介は、各作品の冒頭のサラントニオの文章に譲りますです(サラントニオ本人の作品だけは、ジョー・R・ランズデールが紹介文を書いている)。さぁ、アナタは何人に心当たりがある(笑)!? とりあえず、特に印象に残った作品をいくつか挙げていきます。

 冒頭を飾るのが、我らがキム・ニューマンの『モスクワのモルグにおける死せるアメリクァ人』。モスクワの赤の広場でゾンビが行列を作ってるだけ、という、たったそれだけの内容で、実はオチすらとってつけたようなカンジですらあるのだが、にもかかわらずニューマンの手にかかるとそれなりに読めてしまうというのが恐ろしい(笑)。っていうかニューマンさん、アナタの作品中では、なんで脇役に至るまでたった二言三言で見事にキャラが立ってしまいますデスカ!? 人物から風景からなんでこんなに生き生きするデスカ!? まさにニューマン節。ワタシはこのニューマン節に浸ってさえいれば満足なので、後のことはどうでもいいです(笑)。
 この本で最大の拾い物作品は、チェット・ウィリアムスンの『≪新十二宮クラブ≫議事録とヘンリー・ワトスン・フェアファックスの日記よりの抜粋』。互いに敵意むき出しの企業間競争にちょっとした礼節と善意を加えるべく、ヘンリー・ワトスン・フェアファックスによって設立された、フェアファックス自身も含む12社それぞれの企業のトップによって構成される美食クラブ、新十二宮クラブ。ところがいざ集まってみると、礼節と善意どころかとんでもないことに…。この巻に収録されている全作品の中でも爆笑ものの一品であり、しかも一番怖い一品でもあるという稀有な作品。上品さの影に隠されたきっついブラック・ユーモアが最高ッス。トマス・M・ディッシュの『フクロウと子猫ちゃん』もなかなか。児童書のような雰囲気すら漂わせながらも、よく読んでいくとじわじわと怖さが理解できてくるという技巧派な一品。技あり一本。うまい。
 一方、実はオチや内容がさっぱり理解できなかったっちゅうのもありますです(爆)。ベントリー・リトルの『劇場』は分からないなりに実に異常さが際立っていてヨイのですが、結構量があるのに最後の最後でオチがよく分からなかったジョイス・キャロル・オーツ『コントラカールの廃墟』や、全編通してさっぱり分からなかった(笑)ティム・パワーズ『遍歴』は…。ワタシの読解力落ちてますか!? ワタシがお子様ですか!? あうー。

 しかし、どれもこれも、この場では「その他の」で括られてしまう可哀想な(笑)他の作品も、なかなか読ませる逸品揃い。おすすめです。今後の展開が楽しみですね。

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