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999 〜狂犬の夏〜
 
アル・サラントニオ編
『999 〜狂犬の夏〜』
田中一江・夏来健次 他訳
創元推理文庫584-03
ISBN4-488-58403-9
840円

999
シリーズ

『999 〜妖女たち〜』
『999 〜聖金曜日〜』
『999 〜狂犬の夏〜』


『999 〜狂犬の夏〜』

 シリーズ第3段。参加作家は、『死霊たちの宴』でも印象的な作品をものしていたねぇ、のジョー・R・ランズデール、トマス・リゴッティ、スティーヴン・スプライル、『聖なる血』以来日本じゃとんと作品が紹介されなくて悲しいトマス・F・モンテルオーニ、デニス・L・マッカーナン、『エクソシスト』でオスカーもらってるらしいウィリアム・ピーター・ブラッディ。

 最終巻だけあって、収録作品数こそ少ないものの、そのどれもがレベルの高い今回の999。ジョー・R・ランズデール『狂犬の夏』は、1930年前半のアメリカ南部を舞台とした連続殺人事件を織り交ぜた、少年の視点からの描写が冴えるある種ノスタルジックな一品。親子の絆を絡めた吸血鬼もののスプライル『ヘモファージ』、ある種お約束な手堅い古典的ホラーのマッカーナン『闇』もよし。ブラッディ『別天地館』は…むぅ、最近これと同じネタをかましてたホラー映画があったじゃん…ほら、あれ…。
 この巻で拾い物だったのは、まずトマス・リゴッティ『影と闇』。作品自体が他の作家とは明らかに違う雰囲気を放ってる。現在までラヴクラフトが生きていたりしたら書きそうな作品。ラヴクラフトの原神話みたいな味がべったりと感じられますです。この時点で既にワタシに否やはないのですが(笑)。「怪奇の詩人」なんて呼ばれちゃったりしてますが、作品を読んだ後では確かに頷ける話ではある。一読あれ。
 でもでも、この巻で一番の…というか、このシリーズ通して一番の出来かもしれない、と思わされたのは、トマス・F・モンテルオーニの『リハーサル』。ホラーアンソロジー収録作品なのにちっとも怖くないのがアレですが許す。『震える血』におけるデイヴィッド・J・ショウの『赤い光』みたいなもので(笑)。ほんとにトワイライト・ゾーン風の話だけれど、ワタシなんぞ読んでると色々思い出してしまって涙なくしては読めないです。不思議なやり直しの機会を与えられた男の、親と子の絆のおはなしです。ええ話や…。大のお気に入り。

 というわけで、3冊通してとても良質のホラーアンソロジーでした。ごちそうさま。

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