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フラッシュフォワード
 
ロバート・J・ソウヤー
『フラッシュフォワード』
内田昌之 訳
ハヤカワ文庫SF1342
ISBN4-15-011342-4
840円

ロバート・J・ソウヤー
の作品

『ターミナル・エクスペリメント』
『さよならダイノサウルス』
『スタープレックス』
『フレームシフト』
『ゴールデン・フリース』
『フラッシュフォワード』


『フラッシュフォワード』

 2009年4月21日、ヨーロッパ素粒子研究所(CERN)では、科学者ロイドとテオの指揮のもと、世紀の大実験が行われようとしていた。全周27キロメートルの大型ハドロン衝突型加速器を用い、ビッグバンの10億分の1秒後のエネルギーレベルを再現することで、未知なるヒッグス粒子を発見しようとしていたのだ。しかし、加速器が作動した、まさにその瞬間に起こったのは、誰も予想だにしなかった現象だった。フラッシュフォワード。なんと、全人類の意識が約2分間、21年後の未来へと飛んでしまったのだ!世界に巻き起こる大混乱。ロイドとテオも、否応なくその渦中へと巻き込まれていく…。

 というわけで、ソウヤーの新作は未来予知もの。フラッシュバックの逆だからフラッシュフォワード。ネタ的にも、こういう話なら常道の、一人二人が未来予知なんてケチ臭いことを言わずに、一気に全人類が未来のヴィジョンを見せられるというでっかいもの。こりゃ面白そうだと思いつつ、「ソウヤーはいっつもツカミのネタで期待すると中身が違うからなぁ」などとミョーな身構え方をしながら読み始めたわたくし。が…。
 ソウヤー、今回はきちんとツカミと内容がかみ合ってるじゃん(笑)!
 驚いたことに、今回はきちんとツカミがその後の展開に生きてるうえに、冗長な前フリもなく、のっけからフラッシュフォワードを起こして一気に話を進めたりと、展開もいつになくハイテンポ。やればできるじゃない、ソウヤー(笑)! とりあえず、「ツカミのネタはどこに行ったの?」などと気をもまずに読み進むことができるだけでも収穫ッス。こうなりゃ元々語りは上手いソウヤーのこと、フラッシュフォワード後の世界を小気味よく書き出していく。物語が進むにつれて明らかになっていく未来の姿は、なんかホントにそんな感じになりそうで笑えるなぁ。スピルバーグがまだスターウォーズを完結させてないとか(笑)。
 物語の核となるのは、ロイドとテオの科学者コンビ。ロイドのパートは、未来のヴィジョンで自分が現在の婚約者とは別の女性と結婚していることを知ったことによる苦悩が中心で、テオのパートは、ヴィジョンを見られなかったことで、21年後までには自分は死んでいる、しかも殺されているということまで知ったテオが、自分が殺されるその日までに犯人を探そうとする…といったミステリー風展開。個人的には、もうちょっとフラッシュフォワードの原因究明とか、そういったハードっぽい話に寄ってほしかったなぁ、などと思いつつも、そういう要素もちゃんとあるし、ソウヤーなハーレクインやソウヤーなミステリも結構面白かったので許します(笑)。終盤で眼前に広がる人類の遠未来のヴィジョンもいい感じだし。ガラスマンな未来?

 とにもかくにも、今まで読んだソウヤーの作品の中では、個人的には一番好きかも。読みやすいし、どんな人にも安心してお薦めできますです。

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