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ロバート・J・ソウヤー の作品 『ターミナル・エクスペリメント』 『さよならダイノサウルス』 『スタープレックス』 『フレームシフト』 『ゴールデン・フリース』 『フラッシュフォワード』 |
『ゴールデン・フリース』 国連宇宙局の宇宙旅行都市計画の一環として、地球から47光年離れたエータ・ケフェイ星系の第4惑星コルキスをめざす、恒星間宇宙船<アルゴ>。その<アルゴ>の制御を何もかもまかなっているコンピュータ、長い宇宙の旅の間、人間たちをまもるはずだったコンピュータ、イアソンは、ある時、一人の女性科学者を殺した。何故? 多くの人々が彼女の死を自殺だと判断するなか、彼女の前夫、アーロンだけが彼女の死に疑問を持つ。疑惑に迫ろうとするアーロン、それを阻もうとするイアソン。彼女の死の真相は、彼女の死によって闇に葬られようとしている真相とは…。 いまをときめくソウヤーの出世作。長らく入手困難な時代が続いていたけど、最近復刊したので、大きな本屋なら手に入るかも。 さて、結構前から評判だけは聞いていたので、どんなもんかと実際に読んでみたらば、あら、確かにおもろいわ、これ。裏のあらすじでは「彼女を殺したのは誰だ?」みたいな感じもするけど、犯人役はプロローグであっさり明らかになるので犯人探しとかその手の本じゃないッスね(笑)。この本のキモは、やっぱりコンピュータのイアソンとアーロンの腹の探りあいでしょう。なにせイアソンは宇宙船<アルゴ>のすべての機能を統括しているので、妨害のためにいろいろな手段をとれる身。アーロンの妨害のために、ほんとうに色々な手を使ってくるのだ。基本的な部分はミステリ仕立てだけど、ここらへんが見事にSFならではの仕掛けでよきかなよきかな。 他にも、恒星間宇宙船での生活描写や、地球に送られてきた異星人からと思しき通信など、いろんな要素が入っていてなかなか楽しく読めます。でも、その異星人からのメッセージで、いつものソウヤーの病気(笑)が出てないか? メッセージ解読の過程がかなり面白かったんで、ゆくゆくはこれも物語の重要な要素になるのかとおもいきや…およよ。 でもまぁそれはそれ、前評判通りの面白い本です。本屋で見かけたら押さえとくとよいかも。 |
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