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ターミナル・エクスペリメント
 
ロバート・J・ソウヤー
『ターミナル・エクスペリメント』
内田昌之 訳
ハヤカワ文庫SF1192
ISBN4-15-011192-8
800円

ロバート・J・ソウヤー
の作品

『ターミナル・エクスペリメント』
『さよならダイノサウルス』
『スタープレックス』
『フレームシフト』
『ゴールデン・フリース』
『フラッシュフォワード』


『ターミナル・エクスペリメント』

 医学博士のピーター・ホブスンは、脳の活動を完全にモニターできる特殊な脳波計を完成させた。これを使えば、人間の死の瞬間を厳密に特定できるはずだった。ところが、その脳波計の試験中、ホブスンは奇怪な現象を発見する。被験者が死ぬとき、小さな電気フィールドがその頭から抜け出ていくのを、脳波計は記録していたのである。脳波計の誤作動でも、被験者の脳の異常活動でもない。もしかして、これこそが人間の「魂」なのでは?
 さて、とりあえずこの本のさわりの部分のあらすじを書いてみたが、以後の話が「そうか、この魂の正体を探っていくことで展開していくんだな、ふむふむ」と考えた皆様、答は大外れです。以後、この魂の話はほとんど出てきません。などと書いていくと、「こいつ、これからこの本をけなすつもりだな」などといらぬ誤解を受けそうなので、前もって(最後にも念押しするつもりだけど)言っておきます。面白いです。この本。
 読んできゃすぐ分かるし、本の後ろのあらすじにも書いてあるけど、以後の話の展開は、死後の存在がどういうものか調べたいホブスンが、友人の助けを借りて作り出した、3つの自分の人格シミュレーションを中心に(つうか、ほとんどそれだけか)進んでいきます。いや、ほんとにこの小説、前後不一致もはなはだしい。魂のことなんぞ、後は終盤とラストでちらりと出てくるだけだし。にもかかわらず、面白く読めるのは、3つの人格シミュレーションの話が、これまたかなり面白いから。死後の人格、不死の人格、そしてそのままの人格。このうち一つが殺人を犯した。どの人格が?いいなあ、こういう話も。しかし、魂が実在するなどという大風呂敷を広げておきながら、それをそのままうっちゃってしまうなんて、やっぱりもったいないよう。
 しかしながら、さりげないSFガジェットの使い方、(前後不一致を除けば)巧みな話の運び具合など、結局のところ、満足に楽しんでしまいました。僕の好みで行けば、かなりいい線行ってます。おすすめ。

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