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地を継ぐ者
 
ブライアン・ステイブルフォード
『地を継ぐ者』
嶋田洋一 訳
ハヤカワ文庫SF1356
ISBN4-15-011356-4
840円

ブライアン・ステイブルフォード
の作品

『地を継ぐ者』


『地を継ぐ者』

 ナノテクノロジー技術の発達によって、人類がいよいよ不死の存在に近づこうとしている22世紀。仮想環境デザイナーのデーモンは、ある日唐突に警察の訪問を受ける。テロ集団エリミネーターが、デーモンの父親、コンラッド・ヘリアーを探し出し暗殺しようとしているというのだ。コンラッド・ヘリアーは、かつて人類に不妊の疫病が広がったときに、人工受胎技術を確立し人類を絶滅の危機から救った偉人だ…しかし、彼は50年も前に既に死んでいる!エリミネーターは何を企んでいるのか。デーモンは父の足跡を追ううち、否応なく陰謀に巻き込まれていく…。

 久々にあんまり聞いたことのない作家の作品だし、あらすじや序盤の展開のツカミ、もうちょっと不死のユートピア達成っちゅう世界設定とか、結構良さげな要素が揃ってたので楽しみにしてたんだけど…。読了した今、実は結構評価に困ってマス…。
 物語の提示してるテーマは結構面白いものがあるのだな。物語が進むに見えてくる、人類が不死に近い存在に至る過程の内実とかには、どんでん返し的なネタも仕込んであっておおっと思うし、不老不死の人間がどのように地球を継承していくべきかについて、登場人物たちが議論する内容もなかなか興味深い。いろんな勢力が入り乱れて陰謀を巡らせるのも権謀術数な雰囲気が出ていてマル。
 ただ、問題はストーリーの方。重要人物が誘拐されたり、主人公に危機が迫ったりと、アクションシーンも交えて物語にメリハリをだそうとはしてるけど、この話、余分な要素を全部取り除くと…「オヤジに反発してフリーターで生活してた主人公が、考え直して真っ当な職に就くまで」ってだけの話だよ(涙)! おかげでラストがうやむやなことうやむやなこと。終わりにはきっちりとカタルシスを求める性質のわたくしとしては、正直かなりがくりと来たですよ。むー。

 正直、ワタシみたいなエンターテイメント指向の人間にはいささかキッツイ作品だけど、一方、ミステリが好きな人とか、思考実験が好きな人とか、入り組んだ設定を読み解いてくのが好きな人には良い作品かも。好みですね。

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