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F・ポール・ウィルスン の作品 『黒い風』 『ザ・キープ』 『触手(タッチ)』 『ナイトワールド』 『ホログラム街の女』 『マンハッタンの戦慄』 『聖母の日』 『神と悪魔の遺産』 |
『ナイトワールド』 ナイトワールド・シリーズ完結編。 いやー、やりおるなF・ポール・ウィルスン。本読んで、久しぶりに「やめられない、とまらない」のえびせん状態になりました。下巻読み終わって、ふと気づけば草木も眠る丑三つ時。早寝遅起きの睡眠野郎の私をして、夜半のここまで一息に読ませた作品は、ホーガンの中期までの作品群や「ドラキュラ紀元」、「風よ。龍に届いているか」(爆)等、きわめて少数。しかも、最近は数多く読み過ぎたおかげで、ちょっとやそっとじゃ動じまい、と思ってたところにこれだもんな。やられた。 むちゃくちゃ面白いです、この本。 深みがないと言わば言え!ステレオタイプだと思わば思え!たしかにいちいちごもっともだが、そんなこと考えるいとまもなく、楽しませてくれるぞ、この本は。 序盤、日の出が遅れるという出だしを読んだとき、思わず「おいおい」とかつっこみたくなったが、ひとたび受け入れてしまえば、昼間が徐々に短くなっていくという描写が、不気味な迫力を持って迫ってくる。そんな中、かつてのナイトワールド・シリーズの登場人物たちが次第にグレーケンのもとに集ってくる。しかし、グレーケンが「ザ・キープ」で任を解かれたために、既によぼよぼのじじいになっていたり、一部の人物がグレーケンに反発したりと、必ずしも味方が単純な一枚岩でないあたり、そうとうしたたかな作り。ラサロムが着々と復活へと準備を進め、日毎に長くなる夜は、ラサロムが野に放った殺人蟲で恐怖のどん底となる。最後はどうなるかわかっちゃいるけど、それでも破滅へひた走る感じがこちらにもじりじりと伝わってくるし、だからこそ必至に奔走する登場人物たちについつい引き込まれてしまう。最後までよくこんな予断を許さないテンションでもっていくもんだ。すげえ。 最近読んだモダンホラー系ノンストップ・エンターテイメントのなかでは、間違いなくトップクラス。読むべし!読むべし!絶対に損はしない。さあ、本屋の棚のそこらにあるナイトワールド・シリーズを全部ひっつかんでレジに走るのだ! 始末屋ジャック、何物にもとらわれないクールな態度がいいねえ。「触手(タッチ)」のアラン・バルマー医師、最後まで男前でした。ラスト、少しほろ苦。お見事。 |
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