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果てしなく青い、この空の下で…。

『果てしなく青い、この空の下で…。』
対応環境:日本語Windows95/98
ジャンル:ノベル形式アドベンチャー
発売元:TOPCAT
標準価格:8800円

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つれづれなる電脳娯楽遊戯
果てしなく青い、この空の下でふたぐん

 さて今回のお題は、ワタシの友人ユースケ氏が大プッシュ、ねもけんさんは『Kanon』『加奈 〜いもうと〜』『ONE』に続いてランキング歴代4位なんて付けちゃって、そんなこと言われたらこっちはどーすりゃいいのさオイ、てなブツ。メーカーさんはtopcatっちゅうとこ。舞台は過疎だが自然溢れる山村、ぶっちゃけて言えば「ど田舎」。しかも主人公たちがいるのは、生徒数6名という二十四の瞳状態な(今回は12の瞳だけどさ)小さな学園。最初にこれを聞いたとき、ワタシの頭の中には、

 ど田舎+小さな学園=「南アルプスの天然水」な世界

という式がすてんと成り立ってしまったのだった。先生、キスしたことありますか。のどかな村ののどかな学園。今までにない世界が味わえそうである。具体的にどんな世界かは追求しないこと。しかも、登場するのは山村育ちの純朴な(←プレイ前想像)女生徒5人。きっと、純な少年少女が少しずつ大人になっていく、大らかですがすがしい青春の愛と性が繰り広げられるに違いない(←プレイ前想像)。これだけでもう十二分に期待が膨らむというものである。具体的にどんな期待が膨らんだのかも追求しないこと。
 しかも聞くところによると、ストーリーの軸は『痕』っぽい雰囲気であると…。なんと、純朴なフリして実は伝奇物だったりしますですか!? バケモノが出てきたり血が飛び散ったりしますですか!?

 「南アルプスの天然水」な世界+伝奇物=モロにワタシ好み(爆)

 …だんだん当初想像していた世界からは離れつつあるような気がしないでもないが、それはそれ、いろいろ極めて期待できそうである。というわけで、わくわくむらむらしながらゲームをインストール。オープニングムービー…なんかちょっとノスタルジックなBGMにあわせて、「ヤマノカミ」だの古井戸だの雪の中に血まみれで立つ少女だの出てきて、思わせぶりに期待を煽ってくれる。むぅ、こりゃいけるかも…って、

 「女は調味料みたいなものだな。程々に楽しんで、あとは捨てる…ひひ」

なんて、顔に「ワルです!」と書いてあるとしか思えないようなオヤジの台詞がムービー中にあるんですけど…。

 モロにワタシ好み+鬼畜系エロオヤジ=????

 …なんだか急に、何に期待したらいいのか確信の揺らぐわたくし(笑)。


果てしなく青い、この空の下で…。
「本年度をもって本学園は閉鎖となります、皆さんどうか最後の一年間を大切に過ごして下さい」
春の始業式で先生がそう言った。覚悟はしていた事だった。
この学園が閉鎖された後には駅が出来ることになっている。
駅が出来て電車が通ればこの村ももっと発展する。と言う話もある・・
生徒数は俺を含めて6人だけ。しかも俺以外は全員が女生徒。
幼い時からずっと一緒に遊んできた女の子達も、来年にはそれぞれ離ればなれになってしまう。
最後の一年、皆はどう過ごすのだろう?

 …なるほど、過疎の村だから「幼なじみでない子を探す方が難しい」ときたか!見事なまでの幼なじみ属性封じである。封じているのか全開になっているのか意見が分かれるところだけど。
 なーんて冒頭、始業式のシーンから妙なところに感心しているわたくし。まぁそれはそれとして、とりあえずの第1印象は、やっぱり「南アルプスの天然水」(笑)。雰囲気が見事なまでにのどか、というか(いい意味で)田舎。BGMをのべつ流したりする代わりに、鳥の声やせせらぎの音などを流すってのはよいですね。雰囲気に一役買ってます。

 んで、登場人物もまたいい味出してる。一応エロゲーなので(笑)メインキャラは5人の女生徒。詳しい内容は後のキャラ別感想に譲るとするけど、性格付けがこれまたなかなか。なんつーか、キャラが立ってる、というのとはちょっと違うな。あえて言うなら「こんな村があるのなら、そこに本当にいそう」な感じデスカ?キャラの絵も良いですね。丁寧だけど素朴な感じで。個人的には、赤とか青とか黄とかの人種不明な髪の色ではないところもポイント高し(笑)。
 …と、ここまで、できるだけ冷静であろう、冷静であろうと自分に言い聞かせて書いてきましたが、そろそろ迸る煩悩が抑えきれなくなってきました。ぷちっ。

 ツボ突きすぎじゃあ、貴様らぁ(滂沱)!

 …だいたい普通のゲームだと6人くらい攻略可能キャラがいて、その中でワタシのダメ琴線に致命弾を放ってくるのは、今までだったら、せいぜいその中の一人、てな感じだったのに…。今まで、最も高い致命弾命中率を叩き出していたのは、攻略可能キャラ4人に対して致命弾命中1、すなわち命中率25%の『痕』(千鶴さん)と『ぱすてるチャイム』(コレット)だったのに…(爆)。しかるにこのゲーム、終わってみたらばなんと、攻略可能キャラ5人に対して、
 致命弾命中3、至近弾1(爆)。
 有効弾で換算すると、なんと命中率80%だ。シナリオが一つ終わるたびに、ずどどどどど音を立てて轟沈していくワタシがいる。人生24年、今日ほど自分がダメにんげんであると思ったことはありません(笑)。1発1発で見れば、さすがに千鶴さんやみさき先輩などの核弾頭級の破壊力はないものの、こうも立て続けに攻撃喰らっては、さすがに身体が持ちません(笑)。これでもし演出が洗練されてたりしたらマジやばかったッス…。

 あと、たいしたことじゃないけど、エロゲーにしては珍しく(笑)「父親」が描かれているところも特徴的。普通エロゲーだと、登場人物の家族って、大抵家庭の事情で親がいないとか、両親が二人とも単身赴任してるとか、存在感皆無の親戚の元に預けられてるとか、いても何故か母親だけで、しかも妙に美人だったりとか(秋子さんとか秋子さんとか秋子さんとか)するんだけど、このゲームでは、主人公の父親の宗介とか、悠夏の父親の辻夫とか、親子の対話(しかも父子)のシーンがときどきある。他のゲームではあまり見られないこういったシーンが、時として物語にどうでもいいリアリティを与えています。でも主人公と父親の宗介の関係はちょっといいな、と思うわたくし。

 まぁ、そんなこんなで、まっこと前予想通りの世界が展開されていったですよ。全4章構成の物語のうち、前半の春と夏の章までは。

 …物語の後半に至って物語は急展開。秋と冬は、物語を進めれば進めるほど、展開がどんどんどんどん暗い方向へ…というかエグい方向へ転がっていくのであった。中心にいるのは地上げ屋家業の元代議士、堂島さん(例のエロオヤジ)あんなことこんなことそんなこと等、何かの限りを尽くされる登場人物たち。いや『痕』っぽい、とは聞いていたのでそれなりの心構えはしてたんですが、まさかこっち方向へ走るとはねぇ…。ワタシの果てしなく青いあの空はドコ?といったあんばいである(涙)。特にバッドエンドに走ると、本当に微塵も救いがないので壮絶にいやーんな気分になれます。ハッピーエンドにならないとキツいです。頑張りましょう。

 そんなシナリオのベースとなっているネタは、村に伝わるヤマノカミ伝承。なるほど、確かに『痕』を髣髴とさせるかも。そして、シナリオが進むにつれて、主人公の前にヤマノカミ伝承の正体が少しづつ明らかに…。むぅ、これはなかなか…と思っていたわたくしの心に、徐々にもれんもれんと湧いて出る思いが一つ。
 …これ、クトゥルー神話デスカ?
 いや全部が全部そうではないけれど、このヤマノカミ関係の道具立てとか…なんかワタシのクトゥルー関連琴線(なんじゃそりゃ)に触れて触れて仕方がないんですが。その類のシーンが出てくるたびに、ラヴクラフトとかの作品思い出しまくりッス…。特に藍シナリオとか。さすがに安曇村がダニッチに似てる、とまでは言わないけど(笑)。

 さて前置きはこのくらいにして(前置き!?)、そろそろキャラ別の紹介(命中率80%の内訳とも言う)に移ろうかと思いますです。例によって、紹介順は攻略順でございます。

穂村悠夏
 村の神社、穂村神社の一人娘。主人公と一番仲がよい元気娘。一応申し添えておくと、ちゃんと巫女の格好もします(笑)。感情はストレートに表すタイプ。どつき漫才のごとき主人公に対するツッコミ、恥ずかしがると口調がオヤジ化する等、妙にワタシ好みの設定に…いや、いやいやいや…。
 一番最初に攻略開始したキャラだけど、いきなり、臆面もないお約束の嵐に打ちのめされるわたくし(笑)。スカートのまま木の上に登るのは基本。春に川で水遊びをするっちゅうシーンで、既に水着を着ているからと、主人公の目の前でいきなり服を脱ぎだすのも基本。水遊びの後、悠夏が着替えているはずの木陰から不意に「きゃああああ」と悲鳴が!主人公が駆けつけるとそこには!…という極めて古典的なシチュエーションも基本。おねむの主人公に膝枕、というのも基本。夏には、旅行先の旅館で主人公が、混浴の温泉で悠夏に身体を洗ってもらうという羨ましすぎるシーンまで登場。お、俺好みのネタを…(爆)。
 これが他のゲームならただの狙いすぎなんだけど、このゲームの場合、雰囲気的に「おおらかだから良い、さわやかだから良い」と許せてしまうところが恐ろしい(笑)。告白シーンもなんからしくてよいなぁ…。温泉と告白シーンの場合、その後がさわやかどころではなくなってますが
 秋以降、穂村神社に対するいやがらせ等、それなりにエグい展開になっていくんですが、それでも要所要所では、
「はい、妻は夫が現実の世界から逃げ出して想像の世界に入るのを止める義務があると思いますっ」
「はい、夫はそれが現実的な理論に基づいた物だと主張します」
…などと、主人公と息の合った夫婦漫才を披露。妻!夫!ワタシも一度でいいからこういうコンビを組んでみたいものです。めろめろめろ…。
 ストーリー的には、最後はハッピーでも、謎はほとんど何にも解明されてないといったあんばいですが、導入のシナリオと考えればそれもまたよいのではないでせうか。これからも主人公と悠夏には、末永くおもろい夫婦を続けていってもらいたいものです。ムチとか言ってないでさ(笑)!

芳野雨音
 悠夏とは対照的に、おっとりとした優しい少女。幼いころに両親に夜逃げされ、それ以来、自分で働いて生計を立てている。ところが今年は仕事がみつからず、仕方なく彼女は、評判の悪い金持ち・堂島の屋敷にメイドとして働きに出る…。
 このゲーム屈指のエグいシナリオ。鬼畜系おしん。雨音が無理をして堂島の家に働きに出るのには、やむにやまれぬ理由があるのだが、相手は元代議士、しかも裏世界の人間な上に好色で、屋敷にはゴクドーくんたちが蔓延しているという最悪の環境。最初はおとなしかった堂島も、次第にその毒牙を雨音に向けて…。
 見るに見かねた主人公、せめて傍で彼女を支えられたらと、自らも堂島の屋敷に働きに出るのだが、そこで見るのはまさに裏世界の生き地獄。容赦なく蹴られ殴られ、かたや雨音に迫る堂島の毒牙。ついには、堂島の行為によって壊れ始めてしまう雨音(涙)
 壊れないで、お願いだから壊れないで、ボクが傍にいるからさぁ(涙)!
 …などと思わず画面の前で懇願してしまうわたくし。秋はもう痛くて痛くてしょうがないです。他のシナリオで見られる雨音の壊れっぷりも痛くてとても見ていられないデス…。雨音を守ると誓ったあの夏の日はドコ?これでバッドエンドに流れちゃった日には泣くしかないですぜお客さん。勝利の鍵は、堂島に1回くらいは媚びを売っておくことと、たとえゴクドーくんからのものとはいえ、受けた親切は忘れずに返すことでしょうか。頑張って雨音の笑顔を取り戻してあげましょう。一人称「芳野」の真実が結構すき。そして、ハッピーエンドでの雨音と主人公の顛末に悶絶するわたくし。男なら夢見るだろ、一度なら(爆)!
 …しかし、主人公が夢の中で見た、森の奥の古井戸、溢れ出す黒い何か…ショゴスですか?っていうか、この夢って結局一体なんだったのでしょうか(笑)。

松倉藍
 安曇村の雑貨屋、松倉商店の双子の娘のひとり。明るく元気で甘えん坊。猫好き。いわゆるぺたぷに。いやぷにではないです。何を言ってるんだわし…。
 村に伝わる、ヤマノカミ伝承の正体の一端が明かされるシナリオ。そして、ホラー色…というか怪談色がひときわ強いシナリオ。猫屋敷がらみのイベントは怖すぎです(涙)。猫屋敷裏の倉庫のあのイベント…こわかったようこわかったよう。深夜にやってなくてホントによかったと思いましたですよ。いやほんとに。
 しかし、このヤマノカミ伝承の正体のネタの振り方…そしてその内容…。クトゥルー好きとして、これでどうやってクトゥルー関係を連想するなというのでしょう(涙)。オド(ODW)とかイズ=ホゥトリャ(Yzz=HwTrrra)とか名詞もなんだかそれっぽいし。猫好きっちゅうのは、たぶんネコミミの言い訳(笑)だと思うんですが、ラヴクラフトも猫好きだったということを考えると、なんか関係あるんじゃないかと勘繰ってしまいたくなるわたくし。でもたぶんなんの関係もないです(笑)。
 しかし、このシナリオのオチはなかなか秀逸だよなぁ…。お、俺好みのラブストーリーをッ…(笑)。終盤がいまいち盛り上がりに欠けるきらいのある、このゲームのシナリオの中でもかなり良い出来ッス。でも、幼児体型には興味のないわたくしとしては、これが悠夏シナリオだったり雨音シナリオだったり文乃シナリオだったらなぁ、と思わなくもなかったり(爆)。極俺的意見。

松倉明日菜
 松倉藍の双子の姉。忙しい両親に代わって松倉商店をきりもりしたりしてる。本好きのおとなしい女の子。眼鏡ッ子。八車文乃と仲が良い。主人公とは、共に文乃に頼まれた調べ物をしているうちに急接近…。
 …のはずなのだが、なんかこのシナリオ、全体が八車文乃シナリオのための盛大な前フリみたいな感じだなぁ…。というわけで深い思い入れはないです(爆)。安曇村に伝わるヤマノカミ伝承には詳しくなれるけど。にゅう。

八車文乃
 外からこの村に引っ越してきた、唯一安曇村出身ではない、都会的な雰囲気の女の子。そのせいか、皆の中に溶け込むこともなく、いつも我が道を行くといった感じで一人で行動している。なぜか安曇村のヤマノカミ伝承に通じており、いろいろ調べている様子。冬目景チックなお姿。
 物語全体の鍵を握る人物にして、他のシナリオでは常に謎めいた行動を見せ、その上フラグ立ての最大の障害として立ちはだかる(笑)八車文乃。悠夏シナリオ、藍シナリオでは、事実上、こやつとの問答で、ラストがハッピーかバッドかが決定してしまいます。主人公たちに対する要求もキッツいものばかりだし、言動も人の神経を逆撫でするようなものばかりだし、おまけに敵勢力に組するようなそぶりも見せて、いやー本気でヤな娘っこだなぁ…と思いつつゲームを進めていくわたくし。
 しかし、藍シナリオで猫が好きというちょっと可愛げのあるところを見せ、おや…と思いつつも、遂に文乃シナリオに達するわたくし。そして…
 ふ、文乃ォ〜(涙)!!
 …つ、辛い過去を背負っていたんだね…すべてはそのためだったのね…。人を試すような言動も仕方なかったんだね…あうあうあうあう。おまけに、冷たい素振りの中に垣間見える可愛げさ。主人公だけにときおり見せる微笑み。狙いすぎだが卑怯すぎだ(笑)!クライマックスの井戸のシーンでは「そこは切な系のBGMを流しておセンチムードをガンガン高めるべきところだろッ!」とフラストレーションにのたうちまわるわたくし。のたうちまわるなよ。っていうか落ち着け(笑)。しかも実は、
 良妻賢母・世話女房タイプ
だということが判明するに及んで、完全に轟沈するわたくし。ずどどどどど。
 というわけで、攻略順としてはやっぱり一番最後が良いと思われるキャラ。ちょうど話にも区切りがつくし。おとなしく幸せになりましょう(笑)。
 しかし、5人クリア時のスタッフロール後のアレは…風に乗りて歩むもの!? 今までの物語とどうつながるのかさっぱりだけど、文乃がいい味出しているので許す(笑)。

 しかし、このゲームのキモは、実は5人クリア後に選択できるおまけシナリオにあるのではないか、などと思ったりするわたくし。完全にプレイヤーの盲点をついてるよなぁ(笑)。いやぁもう笑った笑った。すっとぼけた音楽もいい味出しまくり。おまけシナリオとしては、『痕』のキノコ編以来の傑作。必見。
 さらに、全員一発でハッピーエンドクリアすると、エキスパートクリアとして、さらにおまけが追加されます。後日談好きのわたくしとしてはたまらない内容でございました。正解の選択肢を全員分覚えるのがツラいけど(笑)。セーブロードでのやり直しは効かないので本当に一発勝負です。しおりが青くなったら、その時点でエキスパートクリア失敗です。がんばりませう。


 シナリオの盛り上げ方にちょっと難があるとか、散らかした設定がまとめきれてないとか、細かいところで詰めが甘いのが残念だけれど、それでも、今後にも期待のもてる、なかなかの佳作。っていうか、シナリオを楽しみにしていたワタシが、なぜキャラクターで轟沈してマスカ(爆)?シナリオに関しては、ワタシみたいに変な知識のおかげで変な免疫がある人間でなければ、きっちり楽しめますのでご安心あれ。でも、その変な知識に興味がある人向けに、下にちょっとまとめておいたのでご参考までに。いやしなくてもいいですけど。


突発付録・果て空とクトゥルーとワタシ。
せっかくクトゥルーの話なんかも出たことだし、ワタシがなんとなくつながりを感じてしまった部分に関して、参考文献なんぞを挙げたり、関連情報を書いておいたりしようかと思ったりします。いやがらせか。

ロバート・ブロック『無人の家で発見された手記』(青心社「暗黒神話体系シリーズ クトゥルー1」収録)
 まず最初に、ぼくはなにも悪いことをしなかったと書いておきたい。正体は分からないけど、ぼくはそいつらのせいでここに閉じこもっている。そいつらは理由なんてないくせに、ぞっとするようなことをしようとしている……人里離れた森の奥の、無人の家で発見された手記の内容は、そこに住んでいた少年の最後の走り書きだった…。
 雨音シナリオの「古い井戸」「黒い不定形なもの」ちゅう内容で真っ先にワタシの頭がトリガーしてしまったのが、このロバート・ブロックの短編。不定形の生命体ショゴスについては、ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』で詳しい描写がなされるほか、『戸口にあらわれたもの』『インスマウスを覆う影』などでも一瞬言及されるけど、恐怖小説的な不気味さ加減ではこの短編が一番かなと思うわたくし。いやこの短編読んでたら、雨音シナリオの夢のシーンで連想しちゃうって(笑)。ワタシだけ?

廃屋に放置された魔道書
 猫屋敷で主人公が発見した書「第三界」。このシチュエーション…デジャブー(笑)!これに関連して、クトゥルー関係で何か作品を引こうかと思ったけど、ラヴクラフトの『闇をさまようもの』とかオーガスト・ダーレスの『谷間の家』とか、枚挙に暇がなさすぎなので割愛(笑)。たぶん、創元推理文庫から刊行されている『ラヴクラフト全集』とか、青心社の『暗黒神話体系シリーズ クトゥルー』とかの作品群を探れば、叩けば出る埃のごとく、そういった場面には出くわしまくるでしょう。アブドゥル・アルハザード著「ネクロノミコン」を筆頭として、「エイボンの書」「屍食教典儀」「ナコト写本」「無名祭祀書」「妖蛆の秘密」「ルルイエ異本」などがよく言及される魔道書。「第三界」ちゅうタイトルも、なんかいかにもってカンジですね。内容はちょっとらしくないような気もするけど気にしないことにする(爆)。

オドとイズ=ホゥトリャ
 もちろんこんな名前はラヴクラフトの作品にもクトゥルー神話の中にもでてこないけど、名前だけはすげーらしいよなぁ…。っていうか、こんな風に無節操に無国籍で登場してくるのは、クトゥルー関係の邪神とその眷属くらいだろうし(笑)。その実態はといえば、あんまりクトゥルーとは関係なくて、どちらかっちゅうと普通のそこらの神話っぽいけど…。召喚の際の文言はふつーの文言で、別に「いぐないい…いぐないい…とぅふるとぅくんぐあ…よぐ=そとほーす…」とか言ってるわけでもないし(笑)。名前と雰囲気をうまく使ったなぁ、と勝手に思い込むわたくし。

H・P・ラヴクラフト『ウルタールの猫』(創元推理文庫「ラヴクラフト全集6」収録)
 猫好きラヴクラフトが伺える一品。藍も猫好きですが、藍シナリオとこのお話の共通点は「猫をいぢめると後が怖い」(笑)。あと、クトゥルーとは関係ないけど、猫屋敷のショッキングシーンのモチーフは、きっとエドガー・アラン・ポオの『黒猫』でしょうね。

H・P・ラヴクラフト『ピックマンのモデル』(創元推理文庫「ラヴクラフト全集4」収録)
 画家、リチャード・アプトン・ピックマンが失踪した。病的かつ冒涜的な画風を天才的な技巧でもって描ききる画家だった。最後にピックマンと会った男は語る…貧民街のピックマンのアトリエで見たものを…。
 八車斎臥…モロにピックマンじゃん(涙)。ピックマンのモデルがアレなら、八車斎臥のモデルは…あうあうあう…。

C・A・スミス『彼方からのもの』(青心社「暗黒神話体系シリーズ クトゥルー3」収録)
 芸術家を題材にした作品をもうひとつ。八車斎臥のキャラクターを除けば、ネタ的には『ピックマンのモデル』よりもこっちのほうがこのゲームに近いかも。だからあらすじは書きません(笑)。ところで全然関係ないですが、C・A・スミス(クラーク・アシュトン・スミス)のヒューペルボリア関係の作品(『ウボ=サスラ』『七つの呪い』『魔道士エイボン』『アマタウスの遺言』)は、クトゥルーのくせに笑えるというミョーな短編群なので個人的には大好きです。あ、『彼方からのもの』は正統派の怪奇小説ですよ。笑えません(笑)。

オーガスト・ダーレス『風に乗りて歩むもの』(青心社「暗黒神話体系シリーズ クトゥルー4」収録)
 いあ!いあ!いたか!いたか、ふたぐん!風に乗りて歩むものの外見描写に注目。クトゥルーの邪神もほとんどダイダラボッチ扱いである(涙)。


 あー、ワタシのいろいろなダメなツボを心地よく刺激してくれるゲームであったことよ…(爆)。ということで、今回はこれにてお開き!ちょん。

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