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家族計画

『家族計画』
対応機種:Windows Me/98/2000
ジャンル:アドベンチャー
発売元:D.O.
標準価格:8800円

関連リンク:
D.O.
『家族計画』公式ページ
つれづれなる電脳娯楽遊戯
明るく楽しい家族の絆

■ 愛と幸福こそ全て

 突然だが、ワタシは愛に目覚めました。

 いやね、最近あれですよ、『家族計画』っちゅうゲームやったんですよ。いやあもう、終わったときには変わったね。人が。感動系ばっかり追いかけていてすっかり忘れてましたですよ。ラブを。幸福の素晴らしさを。もうあれですよ、病弱と人死にはノーサンキューっていうんですか?車に轢かれた恋人なんかに操は立てられませんよ?翼人ですか?勝手にどこかに飛んでいってください。ワタシは高屋敷一家にもうメロメロですよ?一癖も二癖もある人物たちが集まっていくのが楽しい。てんやわんやの生活の日々が楽しい。中国マフィアが攻めてきても楽しい。愛する人と心が通い合ったときなど絶頂に達してしまいそうだ。

楽しい!こんなに楽しいのは久し振りだ!
貴様を分類A以上のエロゲーと認識する!

 …などと思わずアーカード調に欣喜雀躍してしまうほどのアタリでしたですよこのゲーム。ワタシが普段好むアンリアル要素は皆無…というか、無だし、人が死んだり世界が変わったりするほどドラスティックな展開もない。ないけれど、ここには、笑ったり悲しんだりホロリとしたりする、普通だけど心に残る話がある。奇抜さを追い求めすぎて忘れてた何かがある。

 そのゲームの名は、『家族計画』。地獄に落ちても忘れるな。

■ 寄り合い所帯も面子如何では楽し

 というわけで今回のお題は、D.O.の『家族計画』でございます。まるでバースコントロールのようなタイトルですが優生保護法とは何の関係もないです。あたりまえだ。もともとは全くノーチェックなタイトルだったんだけど、掲示板のオススメを読んでビビビッとどす黒い電波を受信したので即購入。とりあえずほとんど予備知識がなかったので、素直にストーリーを追ってみる…。

 主人公、沢村司は不遇な家庭環境のせいで人間不信気味。だのに、バイト先の裏路地で行き倒れのチャイニーズ少女を拾ってしまったばっかりに、既知外のリストラ戦士に付きまとわれるわ、住んでるアパートを破壊されて宿無しになるわでもうたいへん。うざったいこととはさっさとおさらばしたいのに、なぜか行きずりで周囲に変人ばかり集まってくる主人公。あげく、やっとの思いで住む家を確保したと思ったら、既知外リストラ戦士がこんなことをのたまう。
 「我々全員で、家族のように助け合って生活しよう!」
 相互扶助計画「家族計画」。赤の他人同士が擬似家族として助け合っていこうというこの試みの中で、はたして主人公の明日はどっちだ!?

 で、ゆきずりでどんな人たちが集まったのかというと。

  • アジアンマフィアの元から脱獄したプリズナーみたいなボートピープル娘(中国籍)
  • 世間の荒波には絶対負けないヒーロー、もとい主人公
  • 記憶はあるけど結婚詐欺にあって全財産を失った女
  • 家出してダンボールハウスでレザボア生活してる少女
  • 冷酷なアサシンズに対しても値切り交渉しそうなほどの守銭奴
  • 相対する人間の精神をずたずたに引き裂く心の必殺処刑コップみたいな女
  • 全てを知る不死身の企業戦士

 全員が戦うのか?っていうかこの擬似家族にマトモなヒトはいないのかしら…(笑)。とりあえず、公式ページの家族紹介がよくまとまっているので見るよろし。

 いや、登場人物たちは本当に上のような設定なんだけど、にもかかわらず感心するのは、これらのキャラがストーリーとちゃんと絡む形でキャラ立ちしてること。だよもんとかうぐぅとか奇声を発する白痴とはえらい違いである。登場人物たちはお互いに関わり合い、反目したり協力したりしながら家族ごっこを続けていく。こういう風に、登場人物同士がちゃんと話の上で相互作用しながらストーリーが進んでくのって、ありそうだけど意外にないんだよなぁ。えらいえらい。
 そして、そんな一癖も二癖もある登場人物たちが、なんだかんだで一人また一人と集まって、即席の寄り合い所帯となっていく様は、それだけで面白い。会話の掛け合いの面白さとかはもちろんだけど、それ以前に、ちゃんと話として面白いのだ。序盤では散発的なエピソードがだらだらと続いていくようなゲームが多い中、これは嬉しい驚き。この「ちゃんと話を作っていく」という姿勢は、ゲーム中を通して一貫して感じられる。
 でも…ごめんこのゲーム、死ぬほど笑えますです。登場人物の掛け合いも笑えるし、登場人物たちの行動は、時としてお前らホームコメディで俺を笑い殺す気かってくらい楽しいッス。ドリフかよ!個人的には、企業戦士・寛の声帯模写ネタが死ぬほどツボ。ふぁっきゅーめーん(笑)!あと主人公のバイト先の店長の劉さん。変すぎ(笑)。
 だがしかし心せよ…笑い転げてココロのガードが下がった頃に、不意にホロリとさせるいい話や、胸を抉る強烈な一撃が来たりするからな!他人同士から始まったとはいえ、家族は家族であり、日々の生活のなかで、絆は確かに築き上げられていたのだ。上手い。いや上手い。

 それらを下支えしてるのが、レベルの高い文章と話の構成。このゲームのシナリオを手がけたのは、『加奈』でプレイヤーを涙のどん底に叩き落したらしい山田一。ワタシ自身はこのゲームが山田一初体験だったけど、この人の文章の巧みさはエロゲー界でもトップレベルではないかしら。それでいて嫌味がない。さりげない文に効いてるユーモアにくすりと笑ったことは1度や2度ではない。話が面白いのはもちろんだけれど、表示されるメッセージを読むこと自体が楽しいと思ったのは『アトラク=ナクア』以来。ワタシがホーガンやグラント・キャリンを好いてる理由の一つに「文章自体から感じられるユーモア」ってのがあるくらいだから、文読んで笑ってしまった時点で既にワタシは負けてたかもだ。なににだ。
 それに…笑わせてもらったり、ホロリとさせてもらったりってのは、ある意味こっちの予想範囲内だったけど、まさか、エロゲーで構成の妙に唸らされることになろうとは思わなかったぞ。あと、ほとんどの登場人物は、実はかなりシャレにならない裏事情を背負ってたりするんだけど、そこで過度に暗くなったりシリアスになったりせず、されどちゃん流さずに、ユーモアを交えつつも真正面に捉えて描写していく絶妙のバランス感覚も見逃せない。こういう地がしっかりしているからこそ、こっちも安心して笑ったり泣いたりできるわけで。山田一、見事ナリ!

 …さて、真面目に誉めるのはこれくらいでいいかいのう。いや、理性が残ってるうちに理性的なことは言っておかないとね。つまりだね、どういうことかというとね。
 今ワタシの理性のダムは決壊寸前なんだよ(涙)!
 このつれづれを書くために、ゲーム内容を脳内リフレインすると、上で述べたこと以上に、強くて熱くてどす黒い何かがワタシの頭の中で渦巻くんだよ!ヴァージンナイトのデンプシーロールがッ!いやそれ以上にあのお方の、あのお方のご尊顔が、ふとももがふとももがーッ!ぷちっ。あ、壊れた。

■ 青葉姐さん、ワタシはアナタの奴隷です

 だから最初はほんっっっーとに何の気なしに攻略開始したんです。厳密に言うと、ファーストプレイが雅史エンドだったので、一番フラグの立てやすそうなキャラを狙っただけなんですよう。信じろ。彼女は家族計画の長女役。だけど最初は印象悪かったんですよ。毒舌だし、人が困ってても知らんぷりだし、素直でいい娘な末娘役の末莉をいじめるし。絵描きで日銭を稼いでるっていうからどんな絵かと思ったら、どうやら極果の混沌から邪神を呼び出しかねない邪悪な絵柄らしいし。

 …高屋敷青葉のお姐さん、アナタのことですよ。

 ところがですねアナタ、毒舌浴びせられまくりながらもちょっと深く付き合ってみると、彼女の虚勢を張って強がってる部分が見えてくるんですよ。彼女も不幸な過去にとらわれた寂しい人間なのですよ!他のエロゲーなら、こういう心の傷は惚れたはれたの内にうやむやに解決しちゃうんですが、このゲームの主人公は違うのですよ。彼女のために動いて、ちゃんと彼女の心の鎖をひとつひとつ解きほぐしていくのですよ!京極堂の憑物落としみたいに。男ならこういう風に相方を暖かく迎え入れてあげたいじゃないか、ええおい。そして、遂に彼女が縛られていた全ての過去から解き放たれたとき、真に心と心を通い合わせる彼女と主人公!

 死ぬ!俺は幸福のあまり死んでしまうッ!

 想い人と心が通い合う以上の幸福があろうか。既に主人公に感情移入バリバリだったわたくしはこの時点で既に轟沈。似顔絵。竹とんぼ。卑怯すぎだ!ときどきアジアンマフィアに襲われたりもしたけれど、君がくれた魔法のスタンガンのおかげで僕は今生きてるよ!考えてみると、さりげなく食事を用意してくれてたり(下手だけど)、帰りが遅いと内心心配して玄関で待ってたり(そして帰宅が遅いことをなじられる)、可愛いところもあったのですよ!まだ短い間だけれど、彼女とのまったり生活の日々にこそ、主人公が求めて得られなかった幸せがあったのですよ!青葉姐さん!僕は君を一生守るよ!約束する!
 でもそんなこと言ってた翌日には、目の前で彼女が水着で水風呂に入ってたりするんですよ!優雅に足を組んで、こっちを臣下呼ばわりするんですよ!がああ!たまらん!たまらなすぎる!

 …だが、壊れるのはまだ早かったのだった。

 一応エロゲーなので、最後には主人公と青葉は結ばれるわけですが、このシーン、後の回想機能において銘打たれているシーン名に曰く、

 誓いの契り。

 いや本当にそうなんだってば。ワタシも既にいくつものエロゲーをこなしてしまったりしてますが、このシナリオにおける一連の告白→エチー、のシーンは…断言してしまおう、俺的には、

今・世・紀・最・高。

 21世紀のど初っ端から何を言ってるとか言うな!お互いを心底求め合う、狂気一歩手前の狂おしい情念が渦巻いていて何が何やら分からんが最高Death!っていうかエロすぎ。二人とも狂ったように求め合ってマス。青葉がこっちの理性を完膚なまでに破壊する一言を発してマス。主人公、「何かあるたびに、興奮で脳の一部が壊れていくような気がした」とか言ってます。
 馬鹿野郎!こっちの脳は既に興奮のあまりぶっ壊れまくりだ(涙)!
 脳のダムが決壊するのですよ!視床下部から幸福汁がどばどばと分泌されるのですよ!もう大好き。畜生…やってくれるじゃねえか畜生…。「好きだ」云々は他でも見るけれど、それどころか、二人は言葉に出して「愛してる」と言えるほどの関係に…。ぶにゃあ!

 そんな結ばれ方をした二人なので、その後のラブラブっぷりはそれだけで脳が崩壊。とある事情で絶体絶命になったとき、動けない主人公に青葉は一言、
「己の死より、恐ろしいことがあるの」
 …最期まで添い遂げようとする青葉。俺、崩壊。

 そんなですので、ラストは素晴らしいハッピーエンドです。話のまとまりも一番いいんじゃないかしら。そして、ラストの一文が、たった一言だというのに、泣かせるのだ。終えた後で万感のため息一つ。このゲーム、いわゆる感動系ではないけれど、後味のさわやかさでは、今までやってきたどの感動系ゲームをもぶち抜きで抜きさってる。お見事。

■ あるいは、人の道に外れた道を

 というわけで、ワタシは完全に脳内青葉リフレイン状態になってしまったので、正直後のシナリオはどうでもいいんですが(笑)、ただ一つ、家族計画における末娘役の、高屋敷末莉(本名:河原末莉)についてはどうしても触れておかねばなるまいて。末莉は素直でとても良い娘だし、シナリオもとてもいい話なのだが、ワタシがこのシナリオについて言っておきたいことはただ一つ。

 …君は、養育殲鬼ペドフィリアになる覚悟はあるか?

 以上だ。末莉シナリオの終盤、ヴァージンナイトのデンプシーロール4連発に理性を保てる人間がいるとは思えないデス。君は、腹がよじれるほどの笑いと、脳を蝕むほどの愛おしさが同時に押し寄せてきたらどうするね?そういうことだ。幾多の正常人をロリの茨道へと叩き落してきた魔性の女、高屋敷末莉。ワタシとて、先に青葉シナリオをプレイしていなかったら、光よりも早く末莉に転んだことであろう。とりあえず、真摯な幼女趣味に関してはワタシはもう何も文句は言いませんよ?うん。神田川みたいな四畳半で末莉を養うことに安らぎを見出す養育殲鬼に幸あれ。いや幸あれって言われても。
 しかし、この末莉シナリオの山場の一つである身請けのシーン、読んでて思わず胸が悪くなるくらい真に迫ってるなぁ。だからこそその後の展開が愉快痛快、スカッと来るんだけどね。ある意味、相互互助の家族計画が一番機能してるシーン也。

 …あと、末莉シナリオでは、末莉シナリオにもかかわらず青葉姐さんの最大の見せ場のひとつが用意されているので要チェキ。青葉姐さん、カッコよすぎです。そんなアナタに惚れなおし〜(笑)。

 家族計画の次女役、高屋敷準(本名:大河原準)は、守銭奴キャラにしては、大阪弁でもなければアッパーな性格でもないという珍しい設定(笑)。シナリオ自体は、惚れたはれたの恋愛よりも、家族愛が前面に出てる「高屋敷一家」そのものの物語。っつーかヒロイン途中から消えるし。だが、どこか煮え切らない気分で迎えたスタッフロール後のエピローグが…ナニ!? この頬を伝う幸せの涙はナニ!? 赤の他人の寄り合い所帯だったはずの高屋敷家が、真の家族のごとき家族愛を炸裂させてるエンディングなのだった。素直に感動できる良いハナシ。
 一応メインヒロインかもしれない中国娘・春花のシナリオでの最大の見せ場は、春花の本気で洒落になってない生い立ちかもだ。いやこれでよく話が爽やかにまとまるものだと変に感心。家族計画の母親役、高屋敷真純(本名:板倉真純)は…とりあえず借金云々以前に現在進行形で洒落になってないことしてたりするので勘弁してほしいデス(笑)。でも本来は癒し系のヒトなので、ラストは癒されてみな幸せになってたりするのだった。うーん、いい…。

■ あたりまえのしあわせ

 いやしかし、終わった後で心から満足できる本当の良作であったことよ、『家族計画』。確かに化物も超能力も前世の因縁もない普通の話だけれど、当たり前の幸せすら得られなかった人々が、当たり前の幸せを知るまでの話、そんな『家族計画』がワタシは大好きだ。どれくらい好きかというと、好きなあまりネタをオモチャにも出来ずにつれづれのトーンもいつもよりシリアス3割増なくらい好き。いや、本当に感心したブツに関しては、ワタシ茶化したりできないんですよ。ホントの話。
 …だから今回は、『Kanon』以来の、ワタシ的最大の賛辞で締めくくり。

買え。

 あ、でも青葉姐さんはワタシのものなので譲りません。譲りませんってば。譲らないってばよう。
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