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水月

『水月 〜すいげつ〜』
対応機種:Windows98/Me/2000/XP
ジャンル:ノベルADV
発売元:F&C
標準価格:8800円

関連リンク:
F&C
水月公式ホームページ
つれづれなる電脳娯楽遊戯
トンネルを抜けるとそこはマヨイガ

■ (前回までのあらすじ)

 定期的に、エロゲーがやりたくてやりたくて仕方なくなるという発情期に見舞われる困ったちゃんな体質のわたくし。今回は、撃つぜ!二挺拳銃!と意気込んで買った『ガングレイヴ』が、実際にはどうしようもないへっぽこゲーだったことに落胆のあまり発情。ちょうどZONEの『紅蓮天衝』が発売になったところだったので、あの『紅蓮』の続編か!と期待半分、地雷半分で買ってはみたものの、これが前作を遥かに上回るへっぽこゲーでアウト。欲求不満のあまり、夫が夜の相手をしてくれない新妻みたいな身体の火照りを抱えたまま、キーッと地団太を踏むしかないわたくしであった…。

 いやもうなんつうか、カックンですよホント。二挺拳銃ババババーンなゲームだったはずの『ガングレイヴ』、確かにそうだったんだけど、逆に言えばそれだけのゲーム。敵は『スパルタンX』の雑魚みたくバカの一つ覚えで押し寄せてくるし、ゲームときたら、ボス戦以外は連射していれば何もしなくても事足りるという大味っぷり。こんな大味世界でカッコつけろって言われてもなぁ。ストーリーはと言えば、プレイヤー置いてけぼりのまま、画面内の登場人物間で勝手に因縁の物語が始まっては終わるという自己完結展開。あなたがたの間で過去に因縁があったことはなんとなく感じますがこちらはそんなことさっぱり存じませんっちゅうかちったあ物語れよコノヤロウ。製作者が「これってカッコいいでしょ?でしょ?」と出してくる要素が片っ端から空回ってるですよ、ワタシにとっては。とりあえず、狙いをつける必要すらないバーチャコップに存在意義はあるのでしょうか。あうー。

 などと、素の言葉で毒を吐きたくなる落胆気分をエロで癒そうと画策したわたくしは『紅蓮天衝』を購入。良識あるエロゲーマー(なんじゃそりゃ)には信じられないかもしれないけど、ワタシ、これの前作『紅蓮』はかなり素で好きなのだ。キャラを強化する金を稼ぐために、部下を水商売で働かせたりするヒモみたいな主人公とか、好感度を上げるために物品を貢ぐヒモみたいな主人公とか。RPGパートの敵は半分が無意味に女子タイプだとか、懐かしエロいデスよ。されど野放図にエロをばらまいたりせず、エロがちゃんと困難に対するごほうびになってるところもワタシ的に好感度高し。さらに「ラスボス直前の中ボスがなぜか真・ゲッターで、ラスボスがゲッタードラゴン」というおしえて著作権、なビジュアルもメカ好きなわたくしとしては大変満足であった。バグはウンカのごとく湧いて出てるけど、それに目をつぶれば、実はかなり面白い作品だと確信しているわたくし。でも誰も同意してくれません。
 そんなわけで、かなり楽しみにして買った『紅蓮天衝』ですが、期待はコンマ5秒の世界新な早さで落胆にトランスフォーム。今回の『紅蓮天衝』は、前作でワタシが好きだった要素のほとんどに対して全くと言っていいほどリスペクトがないのであった。ぱっと見、地域から地域への移動画面があるのでRPGっぽく見えますが、実際には、移動先は(ごく序盤を除けば)一箇所オンリー・選択の余地ナシなので事実上紙芝居。
紙芝居→強制バトル→紙芝居→強制バトル→紙芝居…
というあんばいで、システム的には『吸血殲鬼ヴェドゴニア』『鬼哭街』足して悪い方向に2で割った、てな具合。むろんストーリー展開やテキストに虚淵玄の流麗さを望むべくもなく。おまけにジャンプの10週打ち切りマンガでももうちょっとマシな終わり方するぞオイ、てな感じのエンドにさらにカックン。エロゲー始めてはや幾年、生まれて初めてsusieプラグインが欲しいと心底思ったことであるよ。つうかプレイするだけ時間の無駄。ギニャアアアアス!

 そんなわけで、ちょっと本気で何かの収まりが付かなくなっていたわたくしの心の中にふと、toraboさんが掲示板で漏らしていた悪魔の囁きが忍び込んでくるのであった。

『水月』はあるよ…
ここにあるよ…

 いやそれは違うから。
 ともかく、この火照った身体をどうにかすべく、藁にもすがる思いで『水月』を入手。正直、気分的に収まりがつけば内容はどうでもいいやと思いつつプレイしていたのだが、終わってみればそれどころではなく、

 結果は轟沈。

 欲望の喫水線下に気泡被覆魚雷炸裂。こちらは悶絶のあまりあやうく枯死するところであった。何が枯れて死ぬのかは聞かないように。

■ 考えるな、感じるんだ

 というわけで、今回のお題はF&Cのノベルゲー『水月』にございます。どういうストーリーかというと、かつては弓道部のエースでレゴラス級アーチャーだった主人公が、あるとき親父もろとも事故で昏睡状態に突入、自分だけ目覚めてみたらば、ありがちにも記憶を失っているわ、同い年のアルビノ娘がメイドと称して住み込みで身の回りの世話をしてくれるわ、可愛い幼馴染はいるわその筋のヒトにはたまらないメガネっ子はいるわで(ついでにナイスガイな主人公の男親友もいるのだが野郎はアウトオブ眼中)、あれよあれよという間にドリームな生活が開始。おまけにみんなで七夕に出かけたら、そこで合流した同級生は、主人公を藪の中に押し倒して「孕ませて〜」と迫ってくる発情レッドアイズな盲目娘だったりしてもうたいへん。そんな中で主人公はといえば、毎晩見る悪夢のトラウマで弓が引けない身体になっていてレゾンテートル喪失状態だったりするのだが、それなりに悩んでみたりしても結果的にはけっこうのほほんと日々を過ごしていくのであった。さあ、みんなでどーんとやってみよう…というストーリー。何が何だかさっぱりですが少なくとも嘘は言ってません。

 そんなこんなで今回は、思わせぶりに出てくる夢なり伏線なりの大半が雰囲気だけ盛り上げといてそれっきり、というとてもライヴ感覚にあふれたシナリオのおかげで、物凄く深いものを感じさせるのにどこか物足りない、というとてつもなく微妙な空気醸し出されているストーリーについていろいろ語ってから、一人一人キャラ紹介…という標準フォーマットで一筆仕上げようかと考えていたのですが、

 ごめん無理。

 いわゆる葉鍵系ノベルゲーからこの世界に入門し、それ以来、エロは二の次の前衛的なストーリーのエロゲーとか、エロは二の次の銃撃戦バリバリなエロゲーとか、エロは二の次のロボがバリバリ交戦してるエロゲーとか、エロは二の次どころか選択肢すらないクンフー電脳紙芝居とかを好んで喰ってきたこのわたくし、欲望よりも頭を働かせてきた(どこがだ)このわたくし、野球に例えるならば内角低めのフォークボールが狙い玉だったこのわたくしとしては屈辱極まりなく、かつ認めたくないことではありますが、今回のこの『水月』を終えたこの不肖わたくしときたら、現在、

 頭よりも先に下半身が先走る有様

…なのだった。一見『果てしなく青い、この空の下で…』的な雰囲気を漂わせてる伝奇系ノベルゲーかと思われたこの『水月』、実際にプレイしてみたらばもはやそんなことは比較的どうでもよく、ただひたすらに、嗚呼ひたすらに甘々な甘えん坊プレイに溺れてみたり、第二次性徴を迎えているかどうかすら怪しい美少女姉妹を喰ってみたり、ひたすら幼馴染と爽やかにいちゃついてみたり等々、明らかに堕落一直線なレールを転がり落ちるゲームだったのである。つうか転がり落ちた。だって駄目だよ!卑怯だよ!俺は『果て空』よ再び、てな具合で伝奇系ホラーをかなり期待してたんだよ!誰もそっちよりも娘っ子の方が破壊力絶大だなんて言ってくれなかったじゃんかよ!うわーん。
 しかもそれだけで終わればよかったものの、このゲームの最大級にイカンところは…やめてくれ頼むから、普通に生活していれば気付かなかったはずの属性を勝手に開発するのは止めてくれ!昔のワタシは初物喰いになんかこだわらなかったのにッ!昔のワタシは断じて幼女趣味などではなかったはずなのにッ!昔のワタシは絶対に黄金水なんかに興味はなかったはずなのにッ!!
 …パパン…ママン…ボク汚れちゃったよう…。こんなだけど俺はまだ正常だ!と、慟哭しながら腰を振るわたくし。

 伝奇系シナリオとしてはヒネりすぎてねじ切れてしまったこのゲーム、実は本分たるエロゲーとしては相当に優秀。テキストはいい意味で癖がなくて読みやすく、CGはきれいきれい、音楽もなかなかと基本の部分が異様にしっかり出来ていてステキ。特に何気ない台詞回し何気なくキャラを立てるその手腕は絶品。これはホントにイイ。
 それにプレイを始めて最初に何に悶絶したかって、その心地よいまったり展開。事故って記憶失ってるおかげで、幼馴染もメガネ娘も微妙に気を使ってくるし、家に帰れば帰ったで妙齢のパーフェクトメイドが生活の世話を全部してくれるし、なんだかんだ言いながら一緒に仲良く遊んだりしたりで記憶を失った悲壮感なぞ全然感じさせません。っていうかむしろ、自然の残る田舎町での青少年たちの繰り広げる爽やかな恋と性(伝奇もあるでよ)に身も心もどっぷり浸かって、まだゲームも始まったばっかりだってのにいきなり心底満足してしまっているわたくし。ああ、ここにあるよ!最近の殺伐としたエロゲーが忘れてしまっているまったり時空がここにあるよ!ああ、ごろごろごろ…。

 というわけで今回は、ややこしいシナリオ設定とかについて考えるのはすっぱり諦めて、感じたままを語ろうかと思います。何を感じたんだ。欲望か。劣情か。

■ 目覚めろ、その魂(ロリの)

 もともとこのゲームに興味があったのは、あっちこっちで雪さんだのマヨイガだのという言葉があまりに聞こえてきたから。Webの世界で『水月』といえば、あっちに行けば雪さんの素晴らしさをとうとうと聞かされ、こっちに行けばメイド服姿の雪さんのCGがあふれ返っているというありさま。貴様ら、そんなにメイドが好きか!
 …まあワタシもそんなに嫌いではないので、好奇心も手伝って最初に狙いを定めることに。さぁプレイ開始…。

琴乃宮雪
 (自称)主人公専属のメイドさん。容姿端麗、頭脳明晰、良妻賢母タイプと非の打ち所がなく、眼鏡はないけど巨乳でメイド、フリルでレースで「ご主人様ぁ」と、さながら天誅の名曲『ハイエンドオタク』に謳われる理想メイド状態。いや「ご主人様」とは言わんけど。床入りのシーンのとき以外は。しかも普段は大人っぽいのに、何か失敗したりすると「てへっ」とか言って舌を出すお茶目さんタイプなので卑怯すぎデス。ときどき野生の血が疼いて発情したりするけど、雪は今日も頑張って主人公を甘やかします!てへっ。

 …そんなわけで、とこしえユートピア「マヨイガ」からやってきた甘やかしの最終兵器、琴乃宮雪。幼い頃から主人公の家に住み込んでメイドをしてきた雪さん、その長年の経験からくる主人公に対する甘やかしっぷりは尋常でないです。さらに、甘やかしだけでなく甘え上手なところもポイント。なんかこー文字通り男のアニマの具現化といいましょうかエディプスコンプレックスフル充足といいましょうか一体何を言っているのだわしは。
 そんな風なので、記憶喪失でただですら自分の拠り所がふわふわな主人公は、角砂糖に蜂蜜ぶちまけたような雪さんとの甘々生活に溺れまくり。どれくらいの溺れっぷりかというと、それこそ長年の友人知人も全部切り捨てて雪さんに耽溺するくらいの溺れっぷり。まさに、

雪さんに甘えますか?
それとも
人間辞めマスカ?

という死orDIEなシナリオであり、おまけに主人公は雪さんに甘えた上に人間辞めちゃうので死オアダイ。後半の急展開後の主人公の錯乱っぷりには鬼気迫るものがありますですね。最後は甘々ハッピーエンドなんだけど、ワタシときたら鬼哭街のラストの桃園を思い出してガクガクブルブルしてるありさま。雪さんの人外テイストが恐怖を一層盛り立てます。こわいようこわいよう。
 というわけで、恥も体面も全部捨てて身も心も依存しまくった先の二人だけのユートピアで自己完結、という、考えようによってはかなり怖いおはなし。しかし、雪さんと一緒に自己完結ならそれもまぁいいかと思えてしまうのがある意味一番怖い(笑)。
 あと、エロゲーなので一応Hシーンもあるんですが、これに関して、どうしても一つ言っておきたいことが…いや別にエロゲーだしフェラしようがクンニリングスかまそうが一向に構わないんですが、その、何だ。
 そんなとこで飲尿法を実践されても困る。

 …くわ。終わったのか雪さんシナリオ。いや、雪さんとのガムシロップの中で溺れるような甘い日々はかなりクるものがあったが、なんか自分の母親と寝てるような何とも言えない気分になったのも事実ではあることだなぁ。まるでJ・P・ホーガンの『量子宇宙干渉機』みたく全力で後ろ向きに突っ走ってる話だったし。さて、次はどうしようかのう。なんか意味ありげに主人公を押し倒してくるも、その後何のフォローもない発情レッドアイズ盲目娘も気になるけど、こいつはいろんな意味でおいしそうだから一番最後に後回し。とりあえず、ワタシ的には一番興味のないこの幼な姉妹を片付けておくか…。
 …今にして思えば、ここで止めときゃまだ引き返せたんだよな…たぶん。

香坂アリス&香坂マリア
 主人公の家の近所の教会に住んでいる双子の美少女姉妹。姉のアリスは性格キツめのしっかり物、妹のマリアは甘えん坊と好対照。双子だけあって外見似てるけど、ショートカットのマリアはともかく、アリスがロングのツインテールというのが良く分かってるじゃないか水月。ふとしたことからこの姉妹と知り合った主人公、マリアに懐かれ、アリスにいたぶられ、結構仲良く日々を過ごしていたのだった。だが、姉妹はなにやら人には言えない秘密を抱えている御様子…。

 というわけで、水月世界における「はじめてのおるすばん」姉妹こと香坂姉妹。一目見た瞬間から「うわ、これはマズい」と思ったさ。ほっそりとした少女の健康的な肢体黒のワンピースに包まれて、あらわな肩口には水着の日焼け跡がくっきりと残り…などと、どこぞのロリータ小説の一節のような文が頭の中をぐるぐるしたさ。いや…俺…ちょっと…別にそういう趣味はないはず…なんだが…。
 んでもって、マリアの方は主人公に無防備に甘えてくるのですよ。アリスの方はなんか主人公より精神年齢高いっぽいのに、キツい言葉の端々に実は甘えたいオーラが見え隠れするのですよ!まるで愛くるしい子犬すましたシャム猫のようですよ!どっちも捨てがたいのですよ!しかも常に2人で1セットなのですよ!両手に花ですよ!海に遊びに行ったりすると、清純な白の水着で健康的な肢体がはぢけてるのですよ!…姉さん事件です…これはちょっとヤバいかもしれません…。
 しかも、いつもお姉さんなアリスが甘えるマリアをしかったりしてるけど、それでいて実はとても仲の良い姉妹なのですよ。姉妹間のスキンシップもバッチリなのですよ。バッチリすぎなのですよ(涙)!夕闇迫る教会の礼拝堂で、主人公は見てしまったのですよ!姉妹のあの姿を!うわ!父さん!ラピュタは本当にあったんだ!何を言っているのだわし。

 …そんなわけで、いつもは琴線に飛んでくるはずの致命弾が、今回に限っては煩悩に向けてクロスファイア。あまりにツボに入りすぎて、後半、いきなりアリスがスタトレ風疑似科学解説をバリバリ始めても「ああ、年端も行かない娘っこがこういう説教始めるミスマッチがいいなぁ」などと、もうどうしようもないレベルまで退行してしまっているわたくし。しかもその過程で判明したのは、姉妹そろって、実は、
魔女っ子でロマニーで、おまけにダ・タイ・バオ能力者
だという事実。なんかもうストーリーにはほとんど関係ないけど素敵すぎです。そして遂に、姉妹のスキンシップ仲間として招かれる(つうか誘われる)主人公。そして陥落するワタシの理性の砦。

嗚呼…
「ひくい・うすい・ぺったんこ」が
こんなに素敵なものだなんて…ッ!

 なんつうか、エロさ別次元。しかもワタシのエロゲー史において、これが3P初体験だ。これはあれですか、背徳の果実とかいうやつですか。『家族計画』において、真摯な幼女趣味に関してはもう文句を言わないと誓ったわたくしですが、すみません、あれから考えを変えました。

 とりあえず幼女趣味に関してはもう文句を言いません。

 つうか言えません。

 というわけで、とにかく煩悩のままに突っ走ってしまった香坂姉妹ルートでございました。え、シナリオですか?えーと、比較的どうでもいいです。

 ああ…壊れた…ボクの中の大事な何かが壊れた…。やっぱりロリは駄目だよ!これは麻薬だよ!知ったら止められなくなるよ!何をだ。って、香坂姉妹って、3Pエンドだけじゃなくて各個撃破も可能なの(涙)!? もう勘弁してよう、うあーん…と言いつつ、しっかり個別攻略ルートも制覇しているわたくし。で、感想。

香坂アリス
 トイレ行け。

香坂マリア
 孕ますな。

 以上。さりげなくとんでもないこと言ってるような気もしますが気にしないでください。

■ いちゃつくってすばらしい

 そんなわけで、世界を百万回滅ぼせるほど駄目になりつつなおも進む『水月』血の斑道。いい加減キワモノ喰いもどうかと思ったので、今度は主人公の弓道部仲間&幼馴染である宮代花梨をターゲッティング。登場人物の中では、メイドでもロリでも眼鏡でも人外でもないという、外見的には特徴的なキャラ立ちを持たない花梨。いや、よく考えたら巫女でした。重要ですね。さて、どうくるかな…。
 …この時のワタシは、行く手に水爆級の琴線直撃弾が控えていようとは気付きもしなかったのである…。

宮代花梨
 主人公の幼馴染。性格は快活にしておおらか、悪く言えばがさつ。勉強は苦手で運動…特に幼い頃から主人公と一緒に続けてきた弓道が得意。主人公とは昔からツーカーの仲だったのだが、主人公が記憶を失ってしまったことで、その関係が微妙に揺らぎ始めた…。

 てなわけで普段は、かつてのように主人公の目の前でも元気いっぱい振る舞う花梨。ところが、主人公が昔のように弓が引けないことが判明してから、二人の関係が微妙に狂い始める。毎晩のように謎の少女を射殺す悪夢を見ることがトラウマとなって、弓を引こうとするだけでパニックに襲われる主人公。そんな主人公を、花梨はさも自然なことのようにサポートするのだった。身体をぴったり寄り添わせて、一緒にゴム弓を引くことで(畜生!)。そんなとき、記憶を失った主人公の脳裏を一瞬掠める、幼き日の記憶。それは、もう弓道を続けたくないとぐずる花梨をなだめ、一緒に弓道を続けようと励ます幼い頃の自分の姿。今とは丁度立場が逆だった在りし日。幼い日の、遠い約束…。

 これは卑怯デス!オレンジ警報発令!

 イカンよ、駄目だよ、卑怯だよ!ワタシこういうシチュエーションに死ぬほど弱いんだよ!人間は支えあって初めて生きていける生き物なんですよ!しかも幼いあの時から連綿と続く思いやりの輪。支えあいは繰り返す。これはイカンです!駄目です!卑怯です!まだシナリオ始まったばっかりだってのに、いきなりワタシのダメ琴線に致命弾命中。しかも、先の香坂姉妹シナリオで、すっかり何かを開発されきってしまったわたくしは、回想シーンの絵を見て、
「幼な花梨は可愛いなぁ…」
などと寝ぼけた感想を抱く始末。もうだめぽ。

 そんな日々に突如訪れるドラスティックな展開。主人公とその友人の庄一、そして花梨の共通の親友である、実はブルジョワ娘である眼鏡っ子が、陰湿な家風に耐えかね、主人公たちの暮らす街を飛び出すというのだ。そんな眼鏡っ子(名前呼んでやれよ)の最後の願いは、密かに想いを寄せていた主人公との最後のデート。そこで初めて自分の気持ちに気が付く主人公。そして、その子が街を出て行った後、傷心のうちに残された主人公と花梨は…。遂に、幼馴染同士という関係から一歩踏み出すときが来たのだ。だが、親友に先を越される形になってしまった花梨は、不安と焦りのあまり…。
 …なんか、ここまでアンリアル要素は皆無…というか、無なんだが、にもかかわらず、細やかな心情描写や、気持ちのすれ違いの描写が抜群で、そんなことはちっとも気にならず。っていうか伝奇物という体裁をほっぽって、完全に男女4人の夏物語と化すシナリオ。いいのかそれで。いやいいんだけど。

 …が、ここまではただの前座。

 不安や焦りが先行し、結果的にお互いに気まずい思いをしてしまった主人公と花梨。しかし、ある事件をきっかけに、花梨は再び主人公の前に姿を現す。ドラスティックどころではない変化を遂げて。主人公の前に姿を現したのは、まさに、

 恋愛の波動に目覚めた花梨。

 主人公ならずとも目を疑うシンデレラ変化に、この時点でワタシの理性は完全に瞬獄殺。花梨シナリオがまさに本領を発揮するのはまさにここからであり、以後、このシナリオは、親友を裏切ったという背徳感をビターな隠し味にしつつ、

 ひたすら主人公と花梨とのラブラブぶりを堪能する

…という、血涙を流したくなるくらい羨ましい何とも素晴らしい展開になるのだ。ワタシも渚で水かけっこしてみたい…「私をつかまえてごらんなさ〜い」「あはははは待てよ〜」テイストの追っかけっこをしてみたい…夕日をバックにいい雰囲気になってみたい…。あああ神様!これは毒です!目に毒ですっていうか毒です!前はあんなにがさつだったのに、素直になったとたん、

 「ホントは、私だって、女の子らしくしたかったんだよ。可愛くして、(主人公に)振り向いてほしかったんだもん」

とか言い出しましたよこの幼馴染はッ!? 主人公に恥ずかしいことを言われるたびに「ぼんっ」ってな感じで顔を真っ赤にして恥じらったりしてますよ!? 主人公に馬鹿馬鹿言いまくってますよ!? そしてちゅーですよ!? ちゅー!くあーっ、この王道幼馴染めがッ!!
 とにもかくにも、気持ちが通じ合ったその後の二人のいちゃつきっぷりは尋常ではなく、特に花梨の主人公に対する真綿で首を絞めるような甘美な言葉責めの数々は、もうなんつーか筆舌に尽くしがたいくらい胸キュン。花梨ときたら、主人公を完全に尻に敷いてるのに、そのくせ主人公にベタ惚れなので、もう犬も食わないっていうか貴様らドッグフードになっちまえ畜生(涙)。そんな中でも、庄一や眼鏡っ子などの心情もからめた、ビターだけど瑞々しい青春群像もちゃんと忘れてないシナリオ。いい仕事したなトノイケダイスケ…。あと余談だけど、花梨の立ち絵、特に上目遣い気味に頬を染めて微笑む姿とか最高です。いい仕事したな☆画野朗…。

 …が、ここまですらやっぱり前座。

 既に甘い生活描写にお腹いっぱいというか甘いものは別腹という域に達しちゃってるんですが、このシナリオの最大の見せ場は2人の初体験シーン。かつてワタシは『家族計画』において、青葉姐さんエチーを今世紀最高と評したんですが、すいません、あれから考えを変えました。

花梨エチーは
今・世・紀・究・極

 ごめんよ青葉姐さん…でもこれは勝てないよ…。でもなんだかどっちが上だかいまいちはっきりしないので、とりあえず、

青葉姐さんエチーは
全・米・震・撼

…ということにしておきます。なんだその微妙な表現は。つうか全米て。

 なんか話がどんどん横滑りしてるんで元に戻しますが、いやもうなんつーか、未だかつてこれほど愛と慈しみにあふれたエチーがあっただろうかっつーか。いや主人公も花梨も初めてだっていうのは分かるんだけど、もう何かぎこちなくアクションを起こすごとに、
 「男の子だからああだ、女の子はこうだ、でも素敵、だから素敵」
みたいに、初体験談義みたいな睦言を交わすのは破壊力甚大すぎなんでホント勘弁してください。相手を横に寝かせては睦言、ちゅーをしては睦言、身体に触れては睦言…おかげで、他のキャラだったら絶対いたし終わってるテキスト量で、こいつらまだ前戯も終わってないし。しかもお互い甘えてるし慈しんでるし犬プレイするし。でも最後まで互いを想い合う愛あふれるエチーでホント素晴らしいです。っていうかエチーでハァハァするのはある意味当然だけど、今回の場合、それに加えて心底しやわせな気分になるというのは一体どうしたことか。このゲームでは、「マヨイガ」という言葉は一種の理想郷といった意味で使われてるけど、それならなんつうかもう、ワタシにとっては、

花梨の腕の中こそがマヨイガ

…てな按配でございますですよ?ワタシに向かって「花梨ママ」とか「どうぞ、めしあがれ…なんちゃって」とか「意地っ張り!」とか言うと本気で壊れますですよ?っていうかもう壊れてますよ?最近のエロゲーでは、Hシーンをリピートできる回想機能が装備されてることが多いけど、今回はその機能に心底感謝しましたですよ?君はあの甘酸っぱい初体験の思い出よいつまでもとか思わないか?思わないですか。そうですか。
 そんなこんなですっかり幸福感に満ち満ちたわたくし。まぁ、人は突っ込んどいて(何をだ)あそこまで理性的でいられるものだろか、とむなしい疑問もよぎったりするが気にしないことにしまふ。そしてその次の日には、初体験をネタにまた尻に敷かれる主人公。もうメロメロです。

 てなわけで、すっかり青春まっしぐらな花梨シナリオですが、このままだと本当に男女4人夏物語のまま終わってしまうので急遽テコ入れが入り、花梨がいきなりとんでもないことになって主人公がそれを助けに行く、という、まるで『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の前半と後半みたいな変わりっぷりの展開に。どうなんだこれは。
 でもこの展開、ぶっちゃけめっちゃマンガだけど…いいなぁ。友人たちもいい味出してるし、例の弓のシーンも盛り上がるけど、ワタシ的には、精神的に遁走した花梨に語りかける主人公の台詞を推したいな。かつて、記憶を失った主人公を元気付けてくれたのが花梨だったから。記憶を失う前の自己象に押しつぶされそうになっていたのを助けてくれたのが花梨だったから。だから…。

 「花梨には出来た。今度は僕が守る」

 そういうもんだろ?

 奇をてらわない、普通の青春群像劇としてとても良い出来でございましたよ、花梨シナリオ。ところで、
巫女キャラだとスタッフロール後にもHシーン
…というのは、F&Cの伝統か何かなんですか?「困った人だなぁ、もう。神聖な本殿ですよ、神聖な巫女ですよ」……だから、貴様ら、いちゃつきすぎじゃーーッ!!

 …はっ、終わっていたのか花梨シナリオ。なんて名残惜しい…。ところで、花梨シナリオでもやっぱり何かほとばしっていたので前もってトイレくらい行っておけ…と言いたいところだったんだけど、あんまり見せられ続けたもんだから、臨界点超えちゃって、逆になんだか良くなってきたです。ヲヲヲ〜!ヲヲヲ〜!ワタシは一体どうなってしまったのだ!? 変態。さいてー。けだものー。うあーん。

■ 眼鏡と発情レッドアイズとガキ

 さて、花梨が終わった時点で、あとはもう心底どうでもいいのでさくさくいきましょう。さくさく。

新城和泉
 上のほうで眼鏡眼鏡言われてた娘。ブルジョワジー。スクール水着。眼鏡を取ればそれなりに美人。(←全国1億2千万の眼鏡っ子好きを敵に回す言動)
 …いや、脇役としてはかなりいい味を出してるキャラなんだけど、メインでシナリオを張ると、カリンスキーのわたくしといたしましては、正直、
 花梨シナリオの長い長い長いバッドエンドルート
みたいなシナリオでかなり辛うございました。シナリオ自体もなんかとってつけたような話だしなぁ。あ、あと、トイレにはちゃんと行っておいてね。

牧野那波
 主人公のクラスメートの、赤い瞳を持った、病弱な盲目の少女。なにやら不思議な力を持ってたり持ってなかったり。時々憑かれたように人が変わり、主人公を押し倒して迫ったりする。いわゆる発情レッドアイズ。主人公は毎晩、那波に似た少女を意志とは関係なしに弓で射殺してしまう悪夢を見ており、主人公はそのトラウマから弓が引けなくなっている。でも花梨シナリオ以外ではあまり意味のない伏線。
 というわけで、全ての謎の鍵を握ってる様子を漂わせまくっている少女・那波。ところがどっこい、そのおかげで、このシナリオの構造は謎に引っ張られすぎて複雑怪奇を極めているのであった。那波自体も謎過ぎてどこに感情移入してよいのやら…むむー。
 それでもなんとかかんとか歯を食いしばってエンディングに到達するわたくし。と思ったら、那波エンドのはずなのに、なんか主人公が雪さん雪さんと連呼してる。その瞬間、どこかの神経がショートしたわたくしは、「おおっ、もしかして実は那波は雪さんに転生して主人公のことをずっと見守っていたとかいうオチ!? それなら超・可・能!」とか勝手に早合点して、『ONE』の繭シナリオ並みにシナリオ評価を劇的向上させる体勢に入っていたのだが、次の瞬間には、
 まるでエヴァ最終話のパン咥え綾波並みにキャラが変わり果てた那波
が出てきて即終了。あーあ。っていうかワタシはこの那波最終形態ならばすげー了承だったのに。あ、あと、トイレにはちゃんと行っておいてね。

大和鈴蘭
 ある登場人物のナニ。一定の条件を満たすと、次の周から出現するようになります。そんなに難しい条件ではないですよ。で、この娘っ子のシナリオに関して言いたいことは一つだけ。
 喰うなよ、主人公。
 覚醒後のワタシにも正直厳しいモンがあったぞおい。っていうか主人公のストライクゾーンは下方向に底なしですか。あ、あと、トイレにはちゃんと行っておいてね。

■ 禁断の果実(わたくし的には)

 というわけで、なんか当初の予定よりも遥かに(ダメな方向に)楽しんでしまった『水月』。いやぁ、世界設定をかなり頑張ってるのはひしひしと感じられるし、興味深い試みも散見されるんだけど(例えば道祖神のくだりとか)、いかんせんそれらをまとめる力量に欠けてたのが困ったちゃん。だが、もっと困ったちゃんなのは、それらを全部差っぴいたところで阿呆のように琴線致命弾を喰らってしまったワタシでございましょう。つまりはそんなゲームです。そうに違いない。そうなんだってばよう。
 ところで、
 このゲームで開発されちゃった嗜好の数々は本気で洒落にならないんで何とか元に戻りたいんですがどうにかなりませんか。
 なりませんか。そうですか。ヴァーーーーー(号泣)!
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