つれづれなるわたくし ←まえのつれづれ | ↑いちらん | つぎのつれづれ→


ToHeart

『To Heart』
対応環境:Windows95/98
ジャンル:ビジュアルノベル
発売元:Leaf
標準価格:8800円

関連リンク:
Leaf
つれづれなる電脳娯楽遊戯
心に届け冥府魔道

 さて、今回のお題は、その筋では絶大な人気を誇る18禁Hゲー

「To Heart」

である。そう、今回、わたくしはついに、常日頃陥るまいと自戒してきた甘美な堕落の花園へ、足を踏み入れてしまったのだ。知らない健全な人のために一応説明すると、このゲームは、出会いの季節な高校の春に、いろいろなおなごと仲良くなりつつ、任意の娘との恋を成就しようという、学園もの18禁である(爆)。ぐはあ。アダルトビデオを借りたことすらないのになあ、わたしゃ。性に関する知識と言えば、保健体育の授業と、後は映画と小説(アダルト小説じゃないよ)の濡れ場で仕入れたものが全てである。それだけあれば十分だ、というツッコミは、とりあえず今回は却下。

 そもそもの始まりは、Kingdom Of Madness(現Leftoverture)のTo Heartページであった。それまで「要するに18禁って、モニター上のアニメ絵裸体を見てエヘエヘ、ってだけのゲームでしょ、不健全じゃん」と思っていたわたくしは、熱くマルチの良さを説く文章の前に、このゲームは、もしかしたら違うんじゃないか、と思ってしまったのでした。この時、私の心には最初のくさびが打ち込まれたのですね(笑)。
 それからというもの、周りの人間に、「ねえ、『To Heart』ってゲーム知ってる?」と聞き込んでみたら、まあいるわいるわ。熱く語られてしまいました。思えばこの時、既に精神汚染は始まっていたような気がする(爆)。さすがにレジのあんちゃんに、「これ、ください」と毅然とした態度でTo Heartを持っていく勇気は出なかった(笑)ので、持っている友人の一人に、「空いたら貸せ」と、貸与を承諾させたのでした。もう後には引き返せん。そして数ヶ月後、ついに、禁断の扉へと至るCD−ROMは、私の手の内に。こういうことにはまるで免疫のないわたくしの、明日はどっちだ。

 パッケージを見ての第一声は、「は、はづかしい…」。十分ソフトだが、それでもこりゃ自分では買えん(笑)。
 しかし説明書を読む内に、覚悟も決まった。やってやる。健全な眼(ウソ)で、全てを見極めてやろう。ちなみに、HシーンのCGは自動的に記録だと。まあ親切。

 数日後、我が家のパソコンのモニターの前には、感動に涙をとうとうと流す私の姿があった。
 まるちぃぃぃ〜、お前って奴はぁ〜(感涙)
 いや、Hシーンが、って意味じゃなくてね(笑)

 そのまた数日後、我が家のパソコンのモニターの前には、ふたたび感動に涙をとうとうと流す私の姿があった。
 あかりぃぃぃ〜、お前って奴はぁ〜(感涙)
 いや、だから、Hシーンがって意味じゃなくて(笑)

 まったく、洒落にならん、マルチとあかりのシナリオは。洒落にならんほど心を揺さぶってくる。わたくしの心の片隅のシニカルな部分が、「これはあざとい泣かせ狙いだぞ」とか「これと同じもんをドラマか小説で読んだら、見るに耐えないべたべたの展開だぞ」などと茶々を入れてくるのだが、今回は全て却下。お見事。私、最後の方はマジで涙が滲んでました。
 だって、これは反則だよ。小説と映像の持ついいところだけを、掛け合わせて見せてくるんだもんなあ。小説ではああいう風に見事な「間」は取れないし、場面に合った音楽を流すこともできない。映像では、キャラクターがはっきりするぶん、万人に合う人物造形は難しいけど、小説ならば各人が、そこを想像力で容易に補完できる。でも最終的には、作る側の技量にかかってくる。そこでリーフのスタッフは素晴らしい仕事をした…って小難しいごたくはこの程度にしておこうっと。とにかく、負け。ノックアウトです。断言してもいい。傑作です。

 18禁って言っても、あの程度なら物語を壊さない程度なので許容範囲内(なんの?)。まあ、あかりのシナリオで「主人公が男らしさの基準を下半身においている」(一応18禁だから)とか、「女性陣に肝心なところでの貞操観念が希薄」(18禁だってば)とか、「Hシーンに突入した瞬間、主人公が買春オヤジ化することがある」(だから18禁だっつうに)等々、多少気にかかることはあるけれど、その辺は全て問題なし。ただ、マルチ。彼女はどういう設計思想の元に作られたロボットなのだろう(笑)。人間と愛のいとなみが可能なメイドロボって…。

 さて、ここで、気合いを入れてついに全キャラ制覇してしまったわたくしが、各キャラクターについてさらっと触れたいいと思います。もし、今後購入予定だったり、万が一欲しくなってしまったりして、先入観を持ちたくないというひとは、ここを押すと、以下の文の大部分をすっ飛ばせます。

神岸 あかり
 本編のヒロイン格。主人公の幼なじみなので、そこら辺でいやというほどツボを押したストーリー展開をします。たぶん他のキャラよりは倍くらい力が入っている(笑)。幼なじみ同士が少しづつ近づいていくのが見てて切ないです。性描写がストーリーと完全にシンクロしていて、その辺りでの主人公の心の動きがこれがまた、泣かせる。

長岡 志保
 主人公の中学からの友人。ストーリーは…ない(笑)。お互いでぎゃーつく騒いだあげくに、処女喪失のダシに使われる主人公。うむむ。

保科 智子
 気の強い関西娘。というか、実は必死で孤独に耐えていたというところがポイント高し。だんだん心を開いていく過程が可愛らしい。キャラクター的には一番気に入っているんです…ああ、鬼畜だ、鬼畜だ、鬼畜だ(笑)。ストーリーは、ある意味あかりとは違う幼なじみネタ。これがまたけなげでぐっとくる。

松原 葵
 素直ないい性格の格闘少女。主人公とクラブ活動を通じて関係を深めていく。始めてクリアしたキャラなので、ストーリーはもとより、「青少年の貞操観念は何処へ!」とか「妙にテクニシャンな主人公」とか、そんなことばっかりが印象に残っている(笑)。いや、ストーリーもなかなか(もはや説得力なし)。

マルチ
 家庭用メイドロボットHMX−12型。はっきり言って、終盤のマルチの台詞に泣かない人は人間ではないと思う。反則的にけなげな性格に、反則的に泣ける展開。一応18禁なのに、Hシーンはいらないと思えるほど、切なく、暖かい、奇妙なラブストーリー。あ、あとご主人様云々もいらん。それまで、主人公とマルチは対等だったのに(涙)。

姫川 琴音
 超能力少女。恋愛ものとしての展開はともかく(笑)、あの超能力のどんでん返しが結構お気に入り。そうきたか。それから、ええい好きだといわれたくらいで身体を許すな、唐突な(爆)。ラストが明るくてちょっといい。

宮内 レミィ
 王道のパツキンハーフの娘。軽薄に思わせといて、実は重い方向へ流れていくかと思いきや、わけの分からない決着の仕方をする跳んでるストーリー。しかし、あの伏線…ガイジンさんの髪の毛って、歳と共に色落ちしていくもんなんですか(笑)?気付くて、普通は。それにしても、ハンター化した時の音楽には笑った。

来栖川 芹香
 お嬢様。徹頭徹尾ギャグのノリで進んでいってしまうおはなし。なんなんだ、あのHシーンは(笑)。執事のセバスチャンといい、オカルトといい、やってる間中笑いっぱなしでした。このゲームを貸してくれた友達は、夕方まで廊下で待っていたお嬢様にぐっときたらしい。

雛山 理緒
 家計のために働く清貧娘。とある条件を満たすと物語に登場してくるおまけのキャラクターである。あまりに狙っているとしか思えないストーリー展開に、「これ、オチが『私の身体でお礼をします』だったら笑えるよな、ははははは」と思っていたら、本当にその通りだったので気が滅入った、もとい笑った。やれやれ。

 しかし、今回は貴重な例外だとは思うが、たとえ18禁だろうといいものはいいと痛感しましたね。このゲーム実際にやるまで、まさか本当に泣けるとは思ってもみなかったもの。もしあなたがソフトショップへ行き、18禁コーナーでこのゲームをひっつかみ、毅然とレジへ持っていって「ください」と言えるだけの度胸があれば、迷うことはない、すぐ買いなさい。もし私のように(笑)、それだけの度胸がなければ、周囲の人に、それとなく持っているかどうか探りを入れましょう。持っていればしめたもの、すぐさま借り倒しましょう。それだけのことはあります。損はさせません。

 もともと、私のゲームの好みは極右寄り(メカかホラーで、しかもシリアスなものしかやらない)なのだがなあ。さすがに「萌え〜」と叫び出すようなことは断じて否だが、今回だけは信念を曲げておすすめするよ、ホント。感動するから。2重の意味で(爆)。

←まえのつれづれ | ↑いちらん | つぎのつれづれ→
『暴走野郎』トップページへ