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痕

『痕』
対応環境:Windows95/98
ジャンル:ビジュアルノベル
発売元:Leaf
標準価格:5800円

関連リンク:
leaf
つれづれなる電脳娯楽遊戯
寝ても覚めても千鶴

 「To Heart」で私を感涙のどん底に叩き込んだリーフが、沈黙を破り、満を持して送り出す切ない恋愛の形「WhiteAlbum」!!
 …の話が、本来ならば先に来るはずだったのだが、私にホワイトアルバムを貸してくれた友人が、

 「ホワルバをやる前に、まずこの二つは終わらせておくべきでしょう」

 といってまず貸してくれたのが、「To Heart」の前に発売されていたリーフのビジュアルノベルシリーズの1作目と2作目、「雫」「痕」。うむ、確かにリーフの歴史を辿るのは、ホワルバをプレイする上でも無益ではあるまい。「To Heart」をやってからこっち、この2作も機会があればやってみたいと思ってたし。というわけで、私はホワイトアルバムを一時保留し、雫と痕に取りかかったのでした。しかし、呼べば18禁が出てくる私の友人環境って一体…?これは恵まれていると考えてよいのだろうか(汗)?

 この時、この中に、私を真の冥府魔道への覚醒に至らしめる鍵が潜んでいようとは知る由もなかったのだった…。

きずあと
「痕」
毎晩繰り返される悪夢、周囲で起きる惨劇
すべての悲劇は
過去から伝わる血の因果なのか?

 最初にあのキャラの攻略に狙いを定めたのは、ほんっっっっっっっっとーに何の気もなかったのだ。単純に、初めに画面に登場したから、ただそれだけの理由にすぎん。しかししかし、だがしかし、最初のエンディングを迎える頃には、私の中で何かがげしげしと音を立てて崩れていった。そんなそんな、ああそんな、そんな悲しい終わり方があってたまるか…。

 ち、ち、ち、ちち千鶴ぅ〜(涙)

 その瞬間、私は、冥府魔道の者と化した。

 いやまったく、もう死ぬほどベタな展開にもかかわらず、横っ面を100tハンマーで吹き飛ばされたような感じだったぞ、もう。ツボはいりまくり。
 初めはそれほど「くる」シナリオではなかったのだ。千鶴も最初はただの柏木4姉妹の長女、ただそれだけだったのに…後半、「あなたを…殺します」あたりからどんどん深くなってきて…やがて明かされる辛い過去…この、主人公に抱かれる前の描写で、わたしゃ完全に転びましたな。親を失い、人間の醜さにさらされ、唯一の心の支えだった叔父(主人公の父)をも失い、しかしそれでも、4姉妹の長女として、保護者として、明るく優しく振る舞っていた彼女。そして、遂に主人公の前でその仮面を外すとき…。
 轟沈。ちなみに、その時のわたくしの精神状態は、
 なんと切ない…なんとけなげな…この娘だけは幸せになってほしい…いや、俺が幸せにしてみせる!
 完全にアブナイ人である(笑)。
 が、ストーリーは残酷な結末を迎えようとしていた。千鶴は柏木家の当主として、自らの手で…。

 「…どうして…私を抱きしめてくれる人は…いなくなってしまうの…」

 この台詞を読んだ瞬間、私はコワれた。転んでからこっち、常に千鶴の最大幸福を願って選択肢を選んでいたはずなのに、結果は、千鶴を不幸のどん底に叩き込む結末…。ただひたすら、不幸を背負ってきた彼女に安らぎと笑顔をもたらさんがためにストーリーを進めてきたのに…。ぐぅおおおお…。私は悲しすぎる結末に涙し、次のプレイこそ彼女に幸せをもたらすと固く心に誓うのだった。
 現実と妄想の境界線があいまいになってるぞ。大丈夫か俺。

 しかし、しやわせへの道は遠く険しかったのだった。何度も何度も初めからやり直し、そのたびに、あちらでぷすっ、こちらでぶしゅっ、そちらでずどんと殺される我らが主人公、柏木耕一。モニタのこちら側では、既に夜もふけているのだが、話は一向に先のバッドエンドから先に進まない。試行錯誤の過程で、なんとなく楓と梓も補完してしまったのだが、その時の私にとっては、それは浮気にも満たないバックトラックの副産物に過ぎない。そして、遂にしやわせへ続くと思われる扉を見つけたとき、夜は既に白々と明けはじめていた…(半分本当。大丈夫か俺)。

 しかし、それでもなお、それは幸せへの扉ではなかったのだった。
 そこへ至る過程で、ひたすら利己的で後ろ向きの選択肢を選ばなくてはならなかったのももはや関係ない。我が選択は常に千鶴さんの幸せのためにッ!
 …この分岐において、主人公は身の潔白を証明し、覚醒した「ちから」を使い、自らの手で事件に決着をつける。しかし、それはあまりに悲しい代償と引き換えだった。

 「…ばかな…わたし…おとうさまを…うしない…おかあさまを…うしない…おじさまを…うしない…あなたまで…うしなって…それで…どうする…つもりだったの…かしら…」

 ベタなのは分かっている。分かっているのだ。それでも…。最後の主人公の夢の回想を読んだとき、本当に、泣けた。

 これによって、最終フラグが確立した。もはや迷いはない。突進。

 遂に幸せな結末。描写が食い足りなかろうが関係ない。私はただひたすら、この時を信じて、何度となく話を繰り返してきたのだ。最後に千鶴が微笑んでいる。それだけで十分だったのだ。


 さて、ここまで完全自己陶酔モードで突き進んでしまいましたが、いやぁまったくもって、まさか自分がここまで創作された人格に入れ込むとは思いもよりませんでしたわい。「To Heart」の時ですら、「『作品』を見る傍観者としての自分」を失ったことはなかったのだが。人これを「キャラ萌え」という。おお嫌だ(笑)。しかし、この千鶴シナリオだけでも、俺的には元は十二分に取れるぞ。3度おいしく3度泣けるし。大体、この文章を書くために、今さっきまでHTMLエディタと平行して千鶴のすべてのエンディングをもう一度見てましたが、まだ楽しんでるし。暇があれば千鶴ハッピーエンド見てるし。私の趣味のダメさ加減を如実に表しておりますな(笑)。
 ちなみに、このゲームのヒロインは柏木4姉妹なので、一応あと梓、楓、初音という3人娘が残っているのですが、梓はどちらかといえばストーリーの謎を明かすという色合いの濃いシナリオだし、世間一般(つっても狭い世間ではある・笑)では評価の高い楓や初音のシナリオも、安易な輪廻転生と異種族交配が好みでないわたくしには受け付けがたし。極私的意見ですが。というより、千鶴以外はアウトオブ眼中な人間の戯れ言ですが(笑)。

 惜しむらくは、「痕」をプレイする前に「アトラク=ナクア」を既にプレイしてしまっていたということ。「異形のもの」を描写するという点において、アトラクは別次元の高みに達してしまっている。しかるに、つい比較したくなってしまうが、「痕」の鬼の描写はどーしてもちと物足りない…。「痕」とて標準レベルは軽くクリアしているのだが。贅沢?贅沢。

 しかし、ワタシの精神はほんとに最終崩壊の危機にあるな。以前だったら鼻であしらったはずの誘いなのに…。いるんだ、「千鶴さんのキーホルダー売ってる店が学校の近くにあるにょ〜」とか言ってくる友人が(爆)。そこまで堕ちたくはないので今のところははねつけてますが、気ィ抜くと、ついふらふらと心引かれている自分がそこに…。おお嫌だ(笑)。

「いい加減に認めてしまえ」と言ってくる友人もいます(笑)。

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