つれづれなるわたくし ←まえのつれづれ | ↑いちらん | つぎのつれづれ→


ONE

『ONE 〜輝く季節へ〜』
対応環境:Windows95
ジャンル:恋愛AVG
発売元:Tactics
標準価格:7800円

関連リンク:
Tactics
ONE製品情報
つれづれなる電脳娯楽遊戯
さよならとただいまとONE

 離別と再会。
 視聴者、読者、その他なんでもいいが、それらの方々の涙を誘うのに、実に効果的な方法の一つである。
 よくよく考えてみれば、かの「ToHeart」でも屈指の名シナリオとして名高いマルチのシナリオも、この離別と再会がテーマだったなぁ…。動作試験のため、期間限定で主人公の高校に編入されたマルチ、短い時間で絆を深めあい、やがて訪れる別れの時…。再会を信じてずっと想い、やがてその成就…。うううううー。せつないのう。
 そして、ここにもまた、離別と再会をモチーフにした18禁がひとつ。が、このゲームを作ったメーカーは、そういうシチュエーションを作り出すためならば、手段を選ばなかったようである…。「Moon.」という前科はあったものの、まさか学園ものでやられるとは…。

 そのメーカーとはタクティクス。
 そして、そのゲームの名は…。

ONE
〜輝く季節へ〜
どうでもいいけど、このこっぱずかしいサブタイトルどうにかならんか(笑)。

 はい、というわけで、電脳娯楽遊戯カテゴリ・18禁率3割突破記念作品(涙)は、タクティクスの学園恋愛もの18禁「ONE」でございます。タクティクスっちゅうと、u-kiさんが教えてくれた「Moon.」というゲームが真っ先に思い浮かぶわたくし。お友だちに斡旋してもらってやってみたら、これがえぐぐてつらくてエヴァ25、6話でオウムでサティアンな、どえらい作品で、プレイしながらぶっ飛んだ覚えがある。その強烈な味は一度やったらそうそう忘れられるものではない。本来ならばこちらのレビューが先に立つべきなのだが、そうなっていないのは、ひとえにワタシがトゥルーエンドを叩き出せなかったからに他ならない(爆)。なぜ毎回死んでしまう晴美。
 それはともかく。
 タクティクスというとあまりに「Moon.」のイメージが濃かったので、当初この「ONE」の話を聴いたときには違和感ありまくりでした。タクティクスが純愛ゲー?しかも普通の(笑)?
 しかし、世間(ってもやっぱりとっても狭い世間)の風のうわさに曰く、「タクティクスはリーフを越えた」「マルチ級のシナリオが複数ある」と。ちょっと待ちや。「あの」リーフを越えたとな?あのマルチやあかりや千鶴を擁する(笑)リーフを越えたとな?しかも、「マルチ級の」シナリオが、よりにもよって「複数ある」とな?

 そこまで言われて、これがやらいでいられようか。

 まってろONE。ワタシがこの曇りのない眼で全てを見極めてくれる。というわけで、ワタシはまた、お友だちに斡旋依頼を出したのでした(核爆)。いいかげん自分で買えよ

 おもむろにインストールして起動。わくわく。
 そして、起動5分後。
 学校があるにも関わらず、朝は寝床でグーグーグーの主人公。しかし大丈夫。幼なじみのヒロインが、毎朝きちんと起こしに来てくれるのだ。ヒロインに手伝ってもらいながら朝の支度を終えた主人公は、幼なじみと二人して学校へと急ぐのだった。
 …って、おい!これじゃあ、まんまToHeartやんけ!幼なじみと言えばこういう展開しかないのかもしれんが、しかしもうちょっとひねることはできんかったんかいな。ま…まあいい。ここまでは軽いジャブだ。ジャブ。
 起動後10分。
 学校へと急ぐ主人公とヒロイン。急ぐあまり、途中の道で、見知らぬ女学生と正面衝突。何とかその場を切り抜けた(逃げ出した)主人公だが、学校にたどり着いた、その日の朝のHRでびっくり。なんと、新しく転校してきた生徒が紹介されている…その転校生は、だれあろう、朝、自分が正面衝突した女生徒その人だったのだ!
 …ベタベタすぎーっ!
 まさか、もはや陳腐すぎてギャグのネタにもならんようなシチュエーションを、ここまで堂々と正面切って出してくるとは。頭いたくなってきた。
 というわけで、最初のこのゲームの印象は、
腐れToHeart
 でした(笑)。ホントにこれで「リーフを越え」て「マルチ級のシナリオが複数」出てくるんか?疑念は膨らむばかり。

 しかし、やはり、タクティクスはタクティクスなのだった。
 日々のToHeartな生活の間に、時々脈絡なく挿入される、寂寥感あふるる夢の風景。なんだこりゃ、と思う暇もあらばこそ、やがて物語は次第にシュールで非現実的な方向へ。日々薄くなる自分の存在感。ただ幸せな永遠を求めた幼き頃、永遠の盟約を、今こそ…。
 ここに一つの離別の形が成立。が、こんな力技でこの展開に持っていったゲームは、今までちょっとなかったんじゃなかろか。しかし、でも…それでも…。
 胸が詰まるのだ。なぜだか。

 エンディングに至ったとき、もはやこのゲームを腐れToheartだとは思わなかった。これも一つの形かもしれん。
 正直言って、問題も多いゲームだと思う。後半の展開には引く人も多そうだし、絵には癖がある(笑)。各シナリオで、こなれていない部分も多々見受けられる。総合的な完成度から言えば、個人的には、さすがにリーフは越えていないと思う。
 それでも、わたしゃ、許すよ。強引だと、奇をてらったと言われようとも、後半の演出は良かったと思うし(見飽きるけど・笑)、なにより、確かにあったからね。マルチ&あかりに匹敵する、素晴らしいシナリオが。この一点をもってして、全ての欠点に目をつぶるだけの価値はある。うむ。

 …と、ここまで書いた時点で、遂にゲーム全体を語る気力が尽きた(爆)。ここまでは予備知識のための前フリであって、ワタシの本音は、ここから冥府魔道全開でほとばしるのである。結局のところ、ワタシがこのゲームについて言いたいことは、ただ一つなので(笑)。
 だまされたと思って先輩シナリオをやれ。

 よりにもよって初回のプレイでこのシナリオに分岐してしまったので、破壊力は甚大だった。
 川名みさき。「盲目の先輩」という設定の時点で、既に十分反則なのは重々承知。それでも、このシナリオは、他のシナリオに比べて、どこをとっても、別格。クリスマス、正月、細かい描写を積み重ねての演出は他の追随を許さない。特に終盤たるやもう…。
 主人公はもうすぐ、先輩と別れなければならない。消えなくてはならない。それでも、主人公は最後の最後まで先輩と共にあることを選択する。目の見えない先輩、好きな人のために、最後の最後で先輩に光を与えて…そして…。
 何も知らない先輩の幸せそうな台詞は、悲しすぎた。痛々しすぎて見ていられないほどに。
 そして、次の春はまた巡る…。

 あかん。これ以上ネタを割るのはワタシにはとてもできん。こればかりは。
 もし「ONE」をプレイすることがあるならば、一つ忠告。もし、他のシナリオもまんべんなく楽しむつもりなら、先輩シナリオは後回しにすべき。しかしながら、もし、他のシナリオが色褪せて見えてもかまわないならば、絶対に初回は先輩シナリオを選択すべきだ。その選択でも後悔しないことは、このワタシが保証する。ゲームの性質上、誰か一人のシナリオをクリアすると、他のキャラクターの展開も半ば読めてしまうから。先輩シナリオの感動を減じるような選択を勧めるのは、ワタシの冥府魔道的良心が許さん(爆)。

 しかし、川名みさきが鬼に変身したり、電波を飛ばしたりするような設定でなくてよかったなぁ。もしそうだったら、ワタシのダメ精神は完璧に転んでしまうところだった。

 以上のような理由により、ワタシは、正直言って他のキャラのシナリオなんぞどーでもいい(笑)のですが、さすがにそれではあまりにアレなので、他のシナリオについてもさらりと…。

 先輩以外では、里村茜と上月澪がよろしいのではないでしょうか。里村茜は、性格的には「Moon.」の鹿沼葉子まんま(笑)の無愛想ですが。上月澪は失語症の後輩。ストーリーの盛り上げ方に先輩シナリオの痕跡あり。
 椎名繭シナリオは、強引でいささか浮世離れした展開に、やってる間は「こらアカン」と思っていたら、エンディングですとんと落とされてしまったシナリオ。基本的に「みゅー」と「わぁ」と「うー」しか喋らないイクラちゃん状態のキャラに、エンディングでどう語らせるのかと思っていたら…しまった、その手があったか!こら効果的だわ…。
 七瀬留実…可もなく不可もなし(笑)。
 長森瑞佳…うむむ…キャラクタの設定もToHeartの神岸あかりとそっくりなら、ストーリーのコンセプトまで一緒という。個人的には、展開も含めてまったく感心しないシナリオだけど、ワタシの友人は「だよだよ星人」がお気に入りというから、ワタシにはわからん良さがあるのかもしれんのう…。

 しかし、シナリオクリアー後でBGMの「雨」を聴くと、本編中のあのせつなげな気分がよみがえってきてもう…。かつて、カウボーイビバップのサントラとビタミンレスとアインハンダーのCDが交互に入れ替わり立ち替わりしていたうちのCDドライブも、現在は「雨」一色。ダメダメですな(笑)。
 というわけで、ONE、実にいい感じのゲームでした。ただし、「エヴァ的精神世界描写」と「盲目の先輩」は以後禁じ手(笑)。

←まえのつれづれ | ↑いちらん | つぎのつれづれ→
『暴走野郎』トップページへ