
『ぱすてるチャイム』
対応環境:Windows95/98/2000
ジャンル:恋愛RPG
発売元:アリスソフト
標準価格:7500円
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アリスソフト
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- 俺達は地の底深くで進退極まっていた。
- ここは地下第24層、全てが永い時を経た氷で構成された迷宮だ。床についた膝から、万年氷の冷たさが伝わってくる。反対に体は、あちこちの傷口が熱く火照っている。口から漏れ出る荒い息は、外に出るなり白く凍り付き、かき消すように宙に消えていく。
- 目の前には、黄色く、巨大な体躯を持ったドラゴンが3匹。1匹が、再びブレスを放とうと、息を大きく吸い込む。
- 俺は言うことを聞かない体を、剣を支えにして無理矢理立ち上がらせると、筋肉の悲鳴を無視して床を蹴った。愛用のグレートソードが唸りを上げて一文字に旋回する。一閃牙。横に並んだ敵を一気になで斬りにする技だ。
- 「ふひゅッ」
- 鋭い呼気とともに、渾身の一撃をドラゴンたちに叩き込む。ドラゴンたちは刃を受けて、もんどりうって倒れた。
- 「やった…か?」
- しかし、すぐに低い唸り声が氷の迷宮に響き渡る。ややあって、ドラゴンたちが1匹、また1匹と身を起こしはじめた。
- 腕の筋肉が焼けるように熱い。限界が近かった。さっきの一撃が、俺の放てる最後の剣技だった。俺達はこのままドラゴンに叩き伏せられ、保健室に担ぎ込まれることになるのか…。
- 不意に俺の背後から詠唱。なめらかな韻律が俺のパートナーの口から紡ぎだされる。そして、最後の1音が発生されると同時に、俺の前方の空間、ドラゴンたちの直中の空間が激変した。
- 周囲の冷気すら昼下がりの陽光に思えるような圧倒的な冷気がドラゴンたちを押し包み、荒れ狂う。俺のパートナーは魔術師系第4レベルの呪文、アイスストームを使用したのだ。体温とともに、最後の体力をも奪われたドラゴンたちは、地響きをたてて、次々と床に倒れ伏した。
- 「いまので…魔力は全部使いきったわ…」
- 荒い息の下で、パートナーが俺に告げる。
- 「どうするのよ…これから」
- 俺達は道に迷っているも等しかった。この階層の探索は不十分で、未だに下層への階段は発見できていない。1時間ほど前に俺達が降りてきた階段は、いまでは氷の穴蔵の奥底のどこかだ。
- 「…進もう。それしかない。下層への階段が発見できれば、そこの帰還装置が使える。そうでなくとも、6時まで持ちこたえられれば、強制転移が発動して地上に戻れるさ」
- 「簡単に言ってくれるわね…」
- 俺達はなけなしの薬で傷の応急手当をすますと、再び氷の迷宮の暗がりへと歩を進めた…。
- などと妄想たくましくしてプレイするのがこのゲームの正しいプレイ方法だと思うがどうか。
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立てばエロゲー、座ればウィザードリィ、歩く姿はネットハック
「ぱすてるチャイム」
冒険者養成のための冒険科を有する
舞弦学園
今までの2年を無為に過ごしてきた主人公は
新学期早々のある出来事を悔い
再び、己を磨きはじめた…
- というわけで、今回のお題は、アリスソフトの迷宮探索18禁RPG「ぱすてるチャイム」にございます。なんか最近アリスのページを見に行ったら「BOYSゲーム計画」とやらが発動していてびっくりぷう。なんでも、男児におけるギャルゲーのように、女性の方々にも同じような楽しみを、というコンセプトの企画らしい。企画の方向性は極めて正しいと思うけど、果たしてどれほどマーケットが開拓できるのやら…。わたしゃ一応オトコノコなので興味はないが(笑)、しかし、この企画、シナリオ担当が大傑作「アトラク=ナクア」のふみゃ氏…うーむ、ちょっと見てみたい気がしないでもない…(笑)。閑話休題。
- さて、「ぱすてるチャイム」ですが、このつれづれで扱う18禁にしては珍しく(ああ、ワタシはもう「珍しく」なんて言えてしまうほど18禁に首までずっぽりと…・涙)RPGにございます。プレイヤーは主人公となり、4人のおなごのうち1人と組んで、卒業をかけて、学校の迷宮をひたすらに、ただひたすらに下へ下へと下っていくのだ!というゲーム。
- いやー、しかし、楽しいですわ、これ。いや、話はともかくゲーム部分が。パーティ、もといパートナーを選び、学校の購買で装備を整え、いざ迷宮へ突入すれば、面倒くさいことは考えず、ひたすらに、ただひたすらに下層を目指す。ああ、この感触…この感覚…これは…
- ウィザードリィまんまや(笑)!
- これはなにか、かつてウィズで、パーティ全員がティルトウェイトを10回喰らっても平気の平左になってしまうほど「ダイヤモンドの騎士」をやり込んでしまったワタシに対する挑戦か(笑)?
- とにかくもう事あるごとにウィズを連想させられまくり。だいたい、初めの主人公のキャラメイキングからして、職業選んで、ステータス見て、気に入らなかったらやり直し…って、おお、訓練場!忍者が作りたくて、大量のボーナスポイントを狙って、100回以上キャラメイキングをやり直したあの頃…って、今回はそこまではやらないけどさ。だいたい能力値の振り分けもないし(笑)。でも、ここで手をおろそかにすると、後々が若干厳しくなると思うぞ、このゲームでも。
- 迷宮に潜ると、ウィズの香りが特に濃厚に…迷宮には、ところどころの床に罠が設置されているが、とりあえず、罠に引っ掛かったときには、接頭語として「おおっと!」は必須ナリ。ダメージを受ければ「おおっと!ばくだん」、毒を受ければ「おおっと!どくばり」、麻痺させられれば「おおっと!スタナー」とつぶやくのはウィズ者の基本。本来ウィズでは、罠は宝箱を開けたときに発動するものだが、とりあえずそんなことは気にしない(笑)。
- 戦闘に前衛後衛の概念が…おお、ウィザードリィ!
- 魔法使いが最初に使えるのはファイヤアローのみ…おお、ハリトだ!ハリトだこれは!同様に、フレイムウェーブはマハリト、アイスストームはマダルト、ナパームはティルトウェイト等々の読み替えを要求するッ(笑)!
- 所々のポイントでは、きちんと固定敵がいるぞ!ああ、ダバルプスの呪い穴第5層!
- 敵や宝箱から得たアイテムは、全てが不確定名!地上に戻ってから、有料で鑑定してもらうのだ!しかも鑑定額は売り値と同じだ!まさにボルタック商店!
- そして極めつけ、購買部に売りつけたアイテムは、次からきちんと店頭に並ぶ!ああ、ボルタック商店の品揃えの中に、初めて村正を並べたときのあの深い感慨再び…。アイテムコレクションの楽しみ再び…。す、すばらしすぎる!
- …すいません、つい興奮してしまいまして…なにぶんあまりにゲームから受ける感じがウィズウィズしていたもので…もしかしたら、わし、かなりの人たちを置いていったままにしていったのかも…あうー。しかし、ウィザードリィのプレイ経験がある人ならば、きっとウィズを連想すること請け合い。パクリなどと言うなかれ。これだから楽しいのよ、ウィズ系のゲームは。この緊張感をはらんだ展開の単調さがたまらーん、たまらーん!念のために言っておくけど、誉め殺しじゃないぞコレ(笑)。
- そして、ウィズにつきものと言ったら妄想。偉大なる先人たちは、ウィザードリィの白黒画面とヘボいモンスター(ファミコン版の末弥純の絵は例外)とワイヤーフレームの壁と単調な展開の先に、さまざまな愛と涙と感動の物語の数々を見出したものだ。そんな先達に敬意を払いつつ、我々も、迷宮で進退極まったとき、誰かのHPが0になったとき、期末試験で無限回廊の階を超えたときなどに、頭の中で想像の翼を広げようではないか(爆)!余談だが、宝島社から出ている、ベニー松山著「風よ。龍に届いているか」は、そうした想像のサブテキストとして最高である。あのウィズのどこをどうつっついたらあんな激燃えな展開になるんだよ(笑)!現在では入手は困難な気がしないでもないが(爆)、どこかで見かけたら即ゲット推奨。
- しかし、このゲームは残念ながら(残念なのか?)3Dではない。画面は基本的には見下ろし型で、マップの空白地帯が、歩いていくごとに埋まっていくのである。しかも、迷路はプレイするごとに自動生成。む?この感触…この感覚…これは…
- ネットハックだ(笑)!
- 迷路自動生成、小部屋と小部屋を通路が結ぶというこの迷路の形…これをネットハックと言わずして何と言うのだ。ちなみに、ネットハックというのは、人類が生み出した最高の高自由度RPGである。これまた、プレイするたびに形の変わる迷宮を、ただひたすらに下へ下へと下るゲーム。恵まれたことに、このゲームは現在ネットからダウンロード可能なので、こちらをよく読んで、ぜひプレイしてみよう。とっつきは悪いが(笑)、ひとたびはまると恐ろしいほど楽しい。ぜひぜひ。
- なんだか話題がどんどん「ぱすてるチャイム」から外れていっているような気がするので、そろそろ軌道修正すると、ぱすてるチャイムの迷宮でユニークなのは、時間制限があること。一応、学校の実技科目の一環という設定なので、歩いたり戦ったりするごとに、どんどん時間が消費されていく。よって、意味もなくうろついたりしていると、あっという間に探索の時間がなくなってきゅー、ということになりかねない。これが結構ほどよい緊張感を生み出していてナイス。それに、ウィズだネットハックだと言っても、結局それはそれで楽しいものは楽しいのだった。夢中になって遊んでいて、マウスのクリックしすぎで右手の腱が痛くなりました(笑)。
- あと、能力値アップの方法も、学園ものゲームらしく、迷宮で敵を倒して手に入れた「単位」を使って、それぞれの能力値を上げる授業を履修するという方法。「攻撃」「防御」「詠唱」なんて名前の授業がある学校って、なんかヤだなぁ(笑)。でも、さすがに魔法関係の授業名にはかなわんが。なぜかというと、この世界の魔法の属性は「赤」「青」「銀」「闇」で、その属性それぞれに、それぞれの値を上昇させる授業が存在するので、授業名は「赤色の授業」「銀色の授業」とかになるわけです。個人的には、「闇色の授業」なんてのは、ものすごく履修してみたいです。一体どんな妖しげな儀式を繰り広げることやら…。それに、「青色の授業」…。
青色の授業→青色の体験→青い体験
- まぁいやらしい(笑)。導出するなよ。
- さて、ここまで述べて、まだ肝心のシナリオの方にまったく触れていないことに気が付いたわたくし。まぁ、たとえシナリオがアレでも、既にゲーム部分で相当楽しませてもらっているのでいいんだけど…。諸般の事情により、まだ4人中3人までしか攻略していませんが、その限りにおいて、ストーリー展開について断言できることがひとこと。
- べったべたのこってこて。
- いやー笑った笑った。とにかく、学園恋愛ドラマの王道中の王道を一分も踏み外さない完璧な王道ぶり。実にすがすがしい。ここまで来ると、受け手のこちら側も「踊らされているのを分かっていて、自ら踊る」という態度で望んだ方がいいかもだ。まぁ、ゲームの性質上、あんまりシナリオを書き込むわけにはいかないんだろうけどね。わたしゃ構わんよ、べたべたこてこて好きだから(笑)。
- ただ…これからプレイする方のために、既にプレイした者として、これだけは警告しておかねばなるまい。
- 初回プレイ時はコレット以外の攻略は厳禁!
- なぜかというと、コレットは、ラストイベント以外のイベントのほとんどが、他のキャラを攻略中でも発生してしまうという悲劇のヒロインだからである(笑)。特に、べたこてのシナリオの中にあって、唯一感心させられた9月半ばの屋上イベント(←実にいい話)が、全キャラにおいて発生してしまうと知ったときのあの脱力感…。特にミューゼルを攻略すると、クリスマスイベントもコレットとほぼ共通(ちなみに、このイベントも、ほぼ事実上内容はコレットイベントである)な上に、エンディングでコレットシナリオの重要なネタの一つを事実上バラしてしまうという凶悪さ。手ェ抜いたなアリス(笑)!コレットは、ワタシのダメ琴線に触れてしまった、なかなかおいしいキャラだというに…(爆)。
- ちなみに、ミューゼル(ミュウ)は、ワタシ内部における「幼なじみヒロインのシナリオにうまいものなし(ToHeartのあかり除く)」という伝説に新たな1ページを刻んでしまったお人でもある。甲斐那と刹那の扱いが…べたこてなりにいい感じのキャラなのにあの扱いは…なんぼなんでもこりゃないぞ(涙)。仲間としては一番使えるんだけどねぇ。っていうか、神術系キャラは「癒しの指」と「戒めの拳」が使えれば、あとはどうでもいいからなぁ(笑)。
- もう1人、竜胆(りんどう)沙耶のシナリオは、なんだかコンスタントにイベントが起きて、一番きちんと丁寧にシナリオを描写してるような気がしました。でもやっぱりべたこてだけど(笑)。しかもこいつ、戦士のくせに激弱い(涙)。主人公のがんばりにすべてがかかってます。
- あ、セレスですか?まだやってません(爆)。
- おお、肝心なことを忘れていた。このゲーム、音楽担当は「アトラク=ナクア」のShade氏である。こっちでも書いたけど、やっぱりいいねぇ。久々の会心ヒットなBGM也。ちゃららららん。
- ともかく、ワタシ的には久々の「ゲームとして面白い」当たり作品となりました、ぱすてるチャイム。どっちかっていうと、ウィズ系のルーチンワークRPGが好きな人向け…?わたしゃ好きだ。ちなみに、現在の目標は、全アイテムの補完。まだ、20や30は楽にアイテムの種類が残ってそう…。他にも、レベル8の技が覚えられる「奥義書」なるものも存在するらしいし…。ああ、まだしゃぶれそうだなぁ…。さぁ、君もやるのだ。例によって、後のことまで責任は取れんが(笑)。
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