
『Kanon』
対応環境:Windows95/98
ジャンル:恋愛AVG
発売元:Key
標準価格:8800円
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Key
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Kanon全年齢対象版製品情報
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- …例えば、君は涙でモニタが見えなくなったことがあるか?
- わたしゃ今までに数々のエロゲーをものしてきて、特にこのつれづれに感想アップした作品に関しては、ことあるごとに泣いた泣いたと書いてきてはいる。エロゲーに涙を求めるのはどうか、という良識的な意見に関しては、とりあえず今回は却下(笑)。
- しかし、だ。泣いたといっても、それはせいぜい目の端に涙が滲んだ、ときにはちょっと溢れて一粒こぼれ落ちた、と言った程度。ちょっと目頭を押さえれば、その場はそれで済む程度。これからもその程度で済むと思っていた。思っていたのに…。
- やられた。完全に。モニタが滲んで見えない。喉が詰まる。涙が後から後からこぼれ落ちる。袖口で目元を拭う。まだ止まらない。まだ見えない。
- 思えば前から手段は選ばないところだったよなぁ…。ONEの頃から。わたしゃ、その「手段を選ばない」というある種の剛直さに惹かれて、そのスタッフの次回作であるこの作品を買おうとしてたんだっけ。結果から言うと、買って正解。やってよかった。
- でも、まさかここまでとは…。畜生、やられたじゃないか。何が畜生なんだか、さっぱりわからないけど。
- …きっと昔よりも涙もろくなってるんだよ、わし…。
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Kanon
〜 カノン 〜
雪の降る街で
今も降り続ける雪の中で
思い出に還る物語…
- というわけで、今回のお題はタクティクスからKeyという新ブランド名になっても、同じスタッフはスタッフだ、あのぶっとびキレまくり作品『MOON.』、不可思議な離別と再開を描いた『ONE』のスタッフだ、と即刻ゲットの『Kanon』でございます。だって、『MOON.』『ONE』でぽこんとやられた以上、これが買わずにいられようか。そりゃ、これらの作品は、東鳩とかと比べたら、いろいろ齟齬もあったりしたけど、それでも、これらにはパワーがあった。他の欠点を補って有り余る、この人たちが作る次の作品を見てみたいと思わせる、そんなパワーがあった。
- そういう「勢い」は、ワタシが最高に尊重する類の基準だったりする。やっぱ、イキのいい作品ほど面白いもんだ(笑)。そういうかつての勢いをどこに忘れてきたのだね、某○ーフ?東鳩まではよかったんだが、その後が…あ、また話がそれてる、それてる(笑)。
- ともかく、そんなわけで、カノンである。見た目の感じは何かやたらに小奇麗だけど、このスタッフのことだ、普通の作品に仕上がろうはずがない…わくわくわくわく…。
- 第1印象は、
- こいつら、完成度まで上げてきやがった…。
- ONEとかの頃はいろいろとアラが見えたりもしたけど、今回はとにかく隙がない、っていうかなさそうに見えた。絵は随分細かく綺麗になったし…冒頭で7年ぶりの幼なじみとの再会の場を描いておいてからオープニングに入っていく手法…あんたら、いつからそんな器用な演出をするようになったんだ(笑)。なんかオープニングいい感じじゃないか。なんかワタシの知ってるいつものあのスタッフとは違うぞ(笑)。気合入っているのは知ってたけど、こりゃマジだ。でも、気合入れすぎで、かえって小さく無難にまとまったりしてないだろな…そこんとこをちょっと不安に感じつつ、いざ…が、
- 不安は30秒後に杞憂に終わりました(笑)。
- ぐはぁ、これだよ、これ!これッス!このまるでかみ合っていない会話!言葉の端々にそこはかとなく漂う毒!未見の方にはちょっと説明しづらいのだが、これがONEの頃から実にいい味を出している重要な要素の一つなのだ。この会話の妙がないKanonなど、キャベツのないロールキャベツ、あんの入っていないたい焼き、放射性物質の入っていないプルサーマル原発である。水瀬家の会話を、わたしゃさっそくひいひい言いながら鑑賞していたのでした。
- あと、学校の女生徒の常軌を逸した制服にも笑う。ホントに冬国の制服なのか、あれが(笑)?主人公のゴーインな行動パターンも相変わらずで嬉しい限り。それを言ったら、登場人物全員が普通から3ヤードくらいずれてますが…そこがいいんだよ、そこが(笑)!
- さて、ベースの部分は問題無し(笑)。後は、ストーリーがどうでるかだが…今回はONEのように共通の世界設定の元で話が進むんだろか、それとも別々なんだろか。期待は膨らむ…。
- …そして、その日の最後には、モニタの前でぼろんぼろんに泣いていたワタシの姿があったのだった。
- 最初の勘のうち、半分は正しかった。今回は隙がない。とにかく完成度が高い。ひととおり全員のシナリオをクリアした時点でも、一つも外れのシナリオがない。今回は基本的に、メインキャラそれぞれに異なった設定のシナリオが用意されているけれど、底のレベルが高く保たれているので、どのシナリオも興ざめすることなく楽しめる。その点だけでも高得点をあげてもいいくらい。
- だが、それ以上だった。小さくまとまってなんかいない。絶対に。ついにやったのだ。全体の完成度を高く保ちつつ、そこに今まで培ってきた剛直なパワーを乗せて、話をさらなる高みにもっていくことに。小さくまとまるはずなど…あるはずなかったのだ。
- 音楽も、冬の舞台にふさわしく、澄んだ、どことなく物悲しい曲調のものが多く、要所要所でいやというほどツボを押してくるのでたまんないッス。「pure snows」「冬の花火」「残光」…今となっては、聴いているだけで泣けてきそうな曲の数々。主題歌「Last regrets」は既に俺的名曲認定ものである。なんでシーンとは直接結びついていないはずのOPソングでグッとこなきゃならんのだ。うう。「the fox and the grapes」…名前見るだけでじーんとくる…(涙)。OdiakeSとKey(うーん、スタッフみんなで曲を作ったってことかな?)の手がけた曲にいい曲が多いっすね。折戸サン不調(笑)?っていうか、このひと、絶対『MOON.』の時みたいな殺伐とした曲が得意に思えるんだけどなぁ(笑)。
- 音楽で言えば、初回限定版のみに付属するオリジナルサントラ『anemoscope』は必聴。OP・EDのフルコーラスバージョンに加えて、ゲーム中のBGMのアレンジの数々が収録されている。曲はもちろんのこと、付属の冊子も必見。曲のタイトルに振られている短い詩が…ああ、また思い出してしまう(涙)。アレンジの質もいいし、単体での売り物でないのが不思議なくらい。初回版はまだそれなりに出回っているようなので、手に入れるならば初回版をぜひぜひ。ちなみに、anemoscopeとは風向計。これまた意味深。
- さて、今回は5人のキャラごとにそれぞれ別の話が用意されているので、ストーリーを語る上ではそれぞれのキャラの解説は欠かせませんですね。というわけで、ここからはお約束、各キャラ別のご紹介。でもね…今回はキャラクターの魅力というより、そのキャラクターの上で展開されるストーリーの方が重きをなしてますよ。そこら辺を頭の片隅に残しておいた上で読んでいただけるとよろしいかと…。
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- 水瀬 名雪
- 主人公のいとこにして幼なじみ…っていうか、
- みさき先輩まんま(爆)。
- ああぁ、彼女の仕種が、言動が、いちいちONEのみさき先輩をホーフツとさせまくるぅ!これはミサキスキーなワタシに対する精神攻撃なのか!なのか!?おぉ?ああ、積年の夢が一つ叶ってしまった。なにがだ。あぁぁぁ…って、「ストーリーの方が重要」とか言ったそばから全部ぶち壊しにするような取り乱し方をするな(笑)!
- しかし、これははっきり言ってワタシ的には大反則(笑)。見ているだけでも心休まるようなのほほん娘の上に、こやつは「低血圧」という究極ボケ兵装を装備している。主人公をも喰ってしまう「くー」ネタが発動するたびに、死ぬほど笑わかされると同時に込み上げる「ういやつういやつ」というキモチ。それでいてツッコミどころはしっかり押さえているという心憎さ。さらにそれでいて、他のシナリオの時にすら時折見られる心優しさ。待ち続けるけなげさ。ああ、
- 俺にこの娘を放っておけというのか!?っていうか、俺をあのやる気のなさげな目覚しの声で毎朝起こしてくれ(爆)!
- これでシナリオがONEみたいな完全に常軌を逸した内容だったら、完璧にコロんでしまっていたかもしれませんが、ありがたいことにシナリオ内容は、それこそ東鳩か何かに出てきそうな正統派のラブストーリー(笑)。あゆシナリオをやっておかないと、話にひとつ穴があいたままになる上に、すげー急転直下な展開な気がしないでもないですが、小道具の目覚しで不覚にもじーんときてしまったので超合格。無類の猫好きにして猫アレルギー(笑)だけど、この娘っこ自体が猫っぽいところがあるよなぁ…ともかく、Kanon中、キャラクターでは一番好きかもだ。『朝〜、朝だよ〜。朝ご飯食べて学校に行くよ〜』…ああ、いきますいきます…ふらふらふら…。
- 美坂 栞
- ふとしたことから主人公と知り合うことになった一つ下の後輩。病気がちでずっと学校を休んでいたらしいが…。
- 礼節をわきまえたアイスクリーム娘(笑)。さぁ、アナタは「病弱+恋愛」という式からどんなストーリーを予想する!?たぶんそれで正解(笑)。しかし、気合の入ったKanonの演出をなめてはいけない。実にせつなげな話に仕上がっております。できるのは、静かに、いつまでも共にいてやることだけ。
- 「起きないから、奇跡って言うんですよ」
- だが、ワタシは主人公の肩を持ちたい。
- 「起きる可能性があるから、奇跡って言うんだ」
- わたしゃ妹を思う姉の気持ちにも打たれました。うう。またこのキャラは、全体のストーリーの鍵の一つを握っているキャラでもある。やっぱあゆシナリオの後にやるのが吉?
- …しかし、あくまで個人的な予想なんだけど、世に言ういわゆる「妹属性」の方々は、片っ端からこのキャラに転ぶような気がするのだがどうか(笑)。
- 月宮 あゆ
- たい焼きを食い逃げしていたところで主人公と激突したことにより知り合う。しかも、彼女と主人公は7年前に既に出会っていた。しかし、主人公の記憶の中には…。
- うぐぅ娘。ボケをツッコまれてはうぐぅ、食い逃げを咎められてはうぐぅ、主人公にからかわれてはうぐぅ。ころころ変わる表情が見ていて飽きません。たい焼きをくわえた姿が可愛いし(笑)。主人公とは違う学校に行っているらしく、たい焼きを買った帰りによく主人公と遭遇する。たい焼き…学校…。
- …そして、全ては最後に収束する。オープニングのなにげない絵から何から、全部が一つにつながったとき、あゆが最後の願いを願うとき。「…約束、だよ」が、どんな時に交わされていたのかが知れたとき。泣ける。そして最後に…季節が巡り…。
- Kanonの中でも1、2を争ういい話、だと思う。物語全体の鍵を握る重要なキーパーソンなので、一番最初にこのシナリオをクリアしておくと、他のシナリオの見通しもよくなりますですね。しかし…あゆを一番最初にクリアしておいた方がいいってのは、頭ではわかるんだが、そうすると、他のシナリオの痛みが全部2割増しになるぞたぶん…。じわじわくるっす、たぶん…。
- 川澄 舞
- 川澄舞シナリオとかけて、映画『ブレイド』と解く。その心は?どちらもカタナを持ってます、その上どちらもクライマックス以外は必要ありません(爆)。
- …いや、さすがにいらんとは言わないけど…。でも、キャラ紹介から明らかに思いっきり異彩を放っていた彼女。「…私は魔物を討つ者だから」って、ワタシ的には凄まじくツボな台詞なんですが、こういうネタは、うまく料理すればすごく面白いシナリオになりうる(ちなみに、このネタをこの上なくうまく料理したのはアトラク=ナクアね)けど、同時に安易に使うと、話から浮き上がるだけの存在になってしまう諸刃の剣だと思うですよ。他のキャラにはほとんどこんな匂いはしないだけに、どう料理するのか楽しみにしていたのだが…。
- 浮いたままかよ、オイ(笑)!
- いきなり魔物の存在は前振りらしい前振りもなく全肯定。「この戦いには終わりがあるのだ。じゃあ手伝おう」って、そりゃあアンタなんぼなんでも…(苦笑)。途中から佐祐理さんというおいしいサブキャラも登場し、数々のサブエピソードも展開されるが、どーもそれらも浮き上がっている感が拭えず…だいたい、高校の生徒会って、あんな大人の世界をも巻き込んだ権力闘争の舞台になるデスカ(笑)?個々のエピソード自体はそれなりなんだが、つながりが…。
- しかし、こりゃヤバイか、という思いが濃厚になってきた後半辺りから、いきなり物語はヒートアップ。魔物との最終決着をつけようとする舞、共に戦おうとする主人公、そして明かされる魔物の正体とは…。
- 月じゃあ、月が来たぁ〜!
- と思わず絶叫したくなるほどの『MOON.』節が突如展開するのである。割とキレイな話ばっかり作ってるから、もうこの頃のノリは綺麗さっぱり切り捨てられていたかと思いきやさにあらず。っていうか、Kanonからこのスタッフとお付き合いを始めた方々は、果たしてこのノリについていけるのでしょうか(笑)?今が過去へと飛び、過去が未来を作り出す。でも、押さえるべきところはきっちり押さえてあるので、わたしゃ大いにこのラストは気に入りまくったのだった。わしAKIRAの6巻とか好きだし(笑)。クセは抜群なので、このクライマックスが受け入れられるかどうかがポイントですな。わたしゃ実は大好き。でもこれ、考えようによっちゃ相当なギャフン落ちだよなぁ。
- というわけで一つアドバイス。最終選択肢(剣の背でいなす)を超えたら、今までの展開は全部忘れて、これからを楽しみましょう(笑)。エンディングだけ見るんならすげー好きなんですわ、これ。テーマ曲「少女の檻」も幻想的でいい曲。アレンジバージョンだともっとよくなるぞ。
- 沢渡 真琴
- 何も言うまい。内容に関しては決して言うまい。そう誓った。
- これほど悲しかったのは初めてだ。これほど痛かったのは初めてだ。これほど人の強さ弱さを見据えさせられたのも、これほど優しさが身に染みたのも。思い出すだけで喉が詰まる。
- 最初はなんでもない話だったのだ。ちょっと変わってるだけの話だったのだ。しかし、全てが知れた瞬間、できるのはただ、見守ることだけ。そして全てが知れたのはあまりにも早かった…。割りばし。歯ブラシ。鈴。悲しくなる。最後のプリクラのシーンを見た瞬間、涙でモニタが見えなくなった。終わりはあまりに綺麗で…主人公がプリクラに書き込んだ、それだけならどうということのない単語があまりに悲しくて…それでも皆、前を向いて…。
- もし、痛みを受け入れるのが嫌いならば、あなたはこの話を進めるべきではない。痛みが分からないのならばなおさらだ。しかし、そうでないのならば…心に残る、素晴らしい物語が待っていることは保証する。悲しい、あまりに痛い、そんな話だけれど…やってよかった、と心から思う。本当に。
- 番外・秋子さん(爆)
- 名雪の母親。年齢不祥。職業不明。容姿端麗。料理一流。趣味はジャム作り。
- …いい味出しすぎ…。
- いろいろなシナリオで重要な役割を果たす秋子さん。その役割はまさに母であり、全てを優しく受け入れる。
- …千鶴さんデスカ(涙)?
- 一つ屋根の下で、みさき先輩と千鶴さんと一緒に暮らしているところを想像してみよう。
- …俺に悶絶死しろというのか!
- なぜ主人公は高校生のクソガキなのでしょうか。なぜだんでぃな大人の男ではないのでしょうか。ワタシは全員ほったらかして、秋子さんと大人のお付き合いがしたかったデス。うう。
- Kanon…もし、ここまで読んでもらっても、興味が引けなかったのならば、ワタシはこの後どんな言葉を続ければよいのだろか…。Kanonは傑作だ。ン年に一回あるかないかの傑作だ。ワタシ的には東鳩すら超えたかもしれない。絶対に損はない。しかし、百の言葉も実物には勝てない。だから、結局、こう言うしかないんだろう。
- とにかく買え!そしてやれ!
- このゲームは一つの到達点…とはあえて言わない。Keyのスタッフには、これからもずっと前に進み続けて貰いたいしね。ともかく、やってみてよ、ホントに。
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