
『ヒューマン・キャッチャー』
監督:
ヴィクター・サルヴァ
キャスト:
レイ・ワイズ
ジョナサン・ブレック
ギャリカイ・ムタンバーワ
エリック・ネニンジャー
ニッキー・エイコックス
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つれづれなる最近見た映像文化
クリーパーとハープーン
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- ■ エロスはほどほどに(B級映画の)
- むかしむかしあるところに、『ジーパーズ・クリーパーズ』というホラー映画がありました。製作総指揮に、名前を聞くだけであの「てらりらりらりらりらりら〜」というゴッドファーザーのテーマが聞こえてきそうなフランシス・フォード・コッポラを据えた、都市伝説ホラーという触れ込みのその作品、実際に観てみたらば、初めこそ触れ込み通り、田舎を車で旅していた姉弟が、廃墟の教会の地下で目撃したもののおかげで、何者かに追い込まれ始める…といういい感じの『激突!』風精神系ホラー映画な展開。ところがどっこい、観客が「これって何か新感覚のサイコホラー!?」とかいい感じにカンチガイをし始めた頃に現れた追跡者の正体は、
コウモリの羽とゴキブリ並みの生命力を持った
ステキ特殊メーキャップ怪人
(趣味:死体を使ってお裁縫)
- …という、実に直球勝負なお方なのだった。しかも、前半の押さえ気味の演出のウサを晴らすがごとく、後半バリバリに露出しまくりのメーキャップ怪人。キレて姉弟が車でひき殺そうとしたら、激突寸前にドタドタドタとボンネットを駆け上がって難なく車をやり過ごすメーキャップ怪人。それにキレた姉弟が今度はバックでひき殺そうとしたら、やっぱりドタドタドタとボンネットを駆け上がって難なくやり過ごすメーキャップ怪人。果ては警察署に逃げ込んだ姉弟を追って自分も警察署に突入、SWATチームに囲まれても慌てず騒がず被害者を拉致って超高速で空へとバイバイキーン。すごいぞメーキャップ怪人。大活躍だぞメーキャップ怪人。これのどこが都市伝説ホラーだ。
- というわけで、製作総指揮フランシス・フォード・コッポラのはずが、映画の途中で、観客も知らないうちに製作総指揮ロジャー・コーマンになってしまったかのごとき展開が一般ウケしようはずもなく、公開当時の評判は賛否両論…というか、否ばっかりだったような気がしたりしなかったりするのだが、たまーに、むしろその後半の展開がイイ!なんて物好き(ワタシだ)がいたりするのであった。つうか前半いらないよボク!養分っつうか怪人分が不足してマス!もっと怪人を!それこそ映画冒頭からクライマックスまで出ずっぱりなほどの怪人を!俺にもっと怪人分をよこせーッ!
- でも一般の評判はアレだったみたいだし、さすがにもうこの怪人にお目にかかることはないだろうな…とか思ってたら、なんとあの『リベリオン』のパンフレットの、とある一文で状況は急転直下。製作のルーカス・フォスターのプロデュース新作が『LIKE HELL JEEPERS CREEPERS 2』…って続編作ってるのかよ!そしてなんかアップルのトレイラーサイトでも公開される『JEEPERS CREEPERS 2』のトレイラー。嗚呼、なんか怪人が出ずっぱりデスよ!? す、ステキだ!ステキな作品の予感だ!
- そんなわけで、世間はどうだか知らんがワタシは待望していた『JEEPERS CREEPERS 2』がついに日本でも拝める日がやってまいりました。ところがどっこい、何故か日本での公開タイトルは『ヒューマン・キャッチャー』。続編のぞの字すら匂わせないタイトル変更の前に、危うくチェック漏れするところであった。あぶねぇあぶねぇ。
- ■ 高校生!怪人!親父!怪人!
- 決勝戦に見事に勝利し、凱旋帰還中の州代表ハイスクールバスケットボールチームの面々。ところがどっこい、ポホ郡ハイウェイ東9号線のど真ん中で、彼らの乗ったバスがパンクしてしまう。見渡す限り平原が広がるハイウェイで立ち往生したまま夜が来る。ところがどっこい、パンクの原因は、お手製の牙手裏剣でタイヤに向けて手裏剣しゅっしゅっしゅっしゅしゅーしたお馴染み怪人クリーパーの仕業だったのだ!引率の先生方を速攻でお空にバイバイキーンした怪人クリーパーは、バスに立てこもった高校生達をメインディッシュに超決定。23年ごとに、23日間獲物を求めてさまよう怪人クリーパーだが、よりにもよって今日がその23日目。夏休み最後の日まで宿題を先送りにしてしまった小学生のような状態の怪人クリーパーに狙われた高校生達の運命やいかに!?
- というわけで、すっかり開き直って最初っから製作ロジャー・コーマン風でイケイケの本作、ワタシのようなB級映画スキーにとってはたまらない快作に成り果てていたのであった。被害者が高校生!怪人クリーパーの説明は、同行していたチアリーダーの一人に夢のお告げが来て即終了、あとはひたすら高校生が雁首揃えて怪人クリーパーにガクブル!わ、分かってる、監督分かってるよ!なにをだ。
- とにかくこの映画は怪人クリーパーのキャラクターが出色。オープニングアクトの、農家の息子をさらってくシーンから既に、奴の特殊すぎるユーモアセンスが発揮されまくりデス。いまだかつて、ここまで白昼堂々と被害者に襲い掛かる怪人がいただろうかいやない。つうか白昼堂々すぎ。しかも、普通こういう映画のモンスター役は、被害者を同行者から分断しておいてから襲い掛かり、被害者の仲間が助けに来た頃には姿を消してる…っつうのが常道だってのに、こいつは襲い掛かる前からしっかり顔見せる。もう見せまくる。バスのリアウインドウに逆さに張り付いて獲物の品定めをするシーンなんか最高。その姿を見てバスの中でビビりまくってる高校生ズを尻目に、これと思った高校生を目にするたびに満面の笑みで答える怪人クリーパー。しかも獲物を選り好む怪人クリーパー。気に入らない獲物には渋い顔の一方、気に入った獲物のときはリアウインドウをベローンと舐めて熱烈ラブコール。ステキだ、怪人クリーパー…。
- しかもこの怪人くんの重要な特徴として、割とすぐ肉体損壊するところが挙げられますですね。だいたい、第一の獲物を狩ろうとして、いきなりチアリーダーに鉄棒で頭貫かれてるし。ところがどっこい、先にも記したように、こいつの生命力はゴキブリ並みなので全然堪えないし、そもそも、この怪人クリーパーの身体は犠牲者の肉体をパッチワークすることで構成されているので無問題。しかもしかも今回は、
損壊した部位の原材料を現地調達して即修復
- という荒業まで披露するのであった。つうか、新たにパッチワークされた部分が周囲の組織と速攻馴染んでるのにすげーワラタです。馴染みすぎだ。まあ最後のほうは修復おっつかなくてホッピングで犠牲者追っかけてたりするんですが(笑)。
- てなわけで、そんな怪人クリーパーに狙われた高校生ズは、獲物に選ばれた(と思われる)人間とそうでない人間とで適度に疑心暗鬼してみたり、一か八か逃げてみたりして、そんな高校生ズと怪人クリーパーとの駆け引きが続いたり続かなかったりするんですが、困ったことに、何かの形で事態の打開を図らないと映画のオチがつかない。で、この高校生達はどうやって怪人クリーパーから逃れるのかな…とか思ってたら、打開策はやってきたのだった。明後日の方向から。
- 映画の冒頭、可愛い息子を怪人クリーパーにさらわれてしまった農家の親父。普通の映画だと、こういう役回りのヒトは「ああっあれは伝説の怪人クリーパー!奴にだけは関わっちゃなんねぇ!」とかそんな類のことを言ってガクブルして映画からフェードアウト、というのが常道なんですが、何を思ったかこの親父、いきなりガレージに篭って、T.M.Revolution『魔弾』のPVで、娘を芸能人に盗られたと知った町工場の親父が、工場に篭って対芸能人用兵器の開発を始めたときのごとく、対クリーパー用兵器の開発を始めてしまうのであった。そして、改造軽トラにその武器を載せ、さらわれた息子の兄ともどもお礼参りに出撃!そして今まさに、バスに立てこもった高校生ズが絶体絶命のときに颯爽と到着!おかげさまで、怪人クリーパーのもとに田舎親父が到着するシーンは、まるで別の映画のような格好良さ。そして、ついに田舎親父の手作り新兵器が怪人クリーパーに火を噴く!
田舎親父最強
- おいしい所を全部持っていく、映画の枠組みすら壊しかねない田舎親父の活躍と、それでもなお頑張るゴキブリ以上の超生命体クリーパーとの丁々発止のやりとりを見た瞬間、この映画はワタシ内名作映画にランクイン。ちなみにこの親父、エンディングまで出ずっぱり。前作を見た人間にはおよそ想像すらつかない(ある意味)衝撃のラストを前にして、アメリカの田舎親父の底知れぬ生活バイタリティに畏怖の念を禁じ得ないワタシなのだった。ちーん。
- ■ 怪人ファンタジック!
- というわけで、他のヒトは知らんがワタシは大変楽しんだ『ヒューマン・キャッチャー』でございました。もしアナタが、B級ホラー映画スキーなんて因果な好みの持ち主だったらチェキする価値は十分な映画だと思うデスよ。つうかワタシ内部では、怪人クリーパーがジェイソンやフレディより順列が上になってしまったんですがどうしたらいいでしょう。いやそんなこといわれても。もうなんつうか、この映画に足りないのは、TPOを弁えずに木陰でいちゃついて第1の犠牲者になるカップルくらいのものでございますですね。あと、怪人クリーパーの設定上、次の物語は23年後になってしまうので、もし続編ができたら『ジェイソンX』みたいな話になるんじゃないかと今からガクブルです。そして、それでもいいから続編出ないかなぁ、とか思ってるワタシがいるのであった。とっぺんぱらりのぷう。
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